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4/10 ニュースなスペイン語 Coronavirus y Política:コロナと政治

既報のとおり、厚生省(Ministerio de Salud)と各自治州は7日、アストラゼネカ社のワクチンを60歳未満の人に接種することを中断することで合意した。これは特に若い人の間で同社のワクチン接種後に血栓が発生する率が高いためだ(『4/7 ニュースなスペイン語 Coronavirus en España(5):スペインのコロナ事情(5)』を参照)。

唯一この決定に反対票を投じたマドリード州では、同社のワクチンに対する不信感(desconfianza)は大きく、同州の厚生衛生局(Salud Pública )所長アントニオ・サパテロ(Antonio Zapatero)によると、同社のワクチンを接種予定の人の60~70%の人がここ2日間で予約をキャンセル(cancelación)したという。以前のキャンセル率は僅か2%だったという。

もともと、中央政府とマドリード州は犬猿の仲で、コロナ対策をめぐっても、まったく歩調が合わない。セマナ・サンタ(=聖週間=3/28~4/3)の間、外国や他の地域からの観光客を積極的に受け入れたり、ワクチン接種会場を閉鎖したり、アストラゼネカのワクチンを接種し続けると主張したり。すべて、国策の逆を行く。

だが、ついに、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相がマドリード州政に噛みついた。サンチェスは現在、アフリカ諸国を歴訪中だが、新聞記者たちとの談話の中で、マドリードの「衛生データはでっち上げ(falsedad de los datos sanitarios)」と述べたらしい。非公式の雑談だったため、テキストデータが残っていないので、言ったかどうかも含め、検証はできていない。

しかし、名指しされたも同然のマドリード州知事イサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)は黙っているわけにはいかない。

「泥棒はみんなが泥棒だと思っているんですってね(Se piensa el ladrón que son todos de su condición)」ー。記者たちの取材にこう切り出した。自分が悪事を働けば、皆も同じことをしていると思ってしまうー。こんな真理をついたことわざだ。サンチェスこそ、厚生省発表のデータをでっち上げている、とでも言いたいのだろう。

怒りの収まらぬアジューソはあるテレビ番組にも出演し、「首相には謝罪をしていただきたい。国外にいながら、メディアにそんなことを言うのは卑怯です(Debe pedir disculpas porque es desleal aprovechar que está fuera de España con prensa para decir eso)」と述べた。

また、同番組で「絶えずウソをついているのは首相の方。国民の70%のワクチン接種を目指すだの、8000万本以上のワクチンが入ってくることになっているだの、今週おっしゃっていましたけど、あれ、ウソみたいなものですから(Es él que el que está mintiendo constantemente. Esta misma semana decía que iba a tener al 70% de la población española vacunada, y que iba a traer más de 80 millones de vacunas, algo que es mentira.)」とも述べた。

コロナであろうと、相手を責め立てる道具に仕立て上げる。公共の場で、政敵とは言え、「ウソつき」呼ばわりする。日本人の感覚とはずいぶん異なる選挙戦だ。

写真はPolítica紙(4.9)より。ペドロ・サンチェス首相(左)とイサベル・ディアス・アジューソ(右)マドリード州知事。