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ハリネズミの距離

わかって欲しくて、
ずーっと、わかって欲しくて、
訴え続けていた。

時には諦め、時には苛つき、
時には逆ギレされ。

そんなよくわからない怒りが、本当はどこにあるのか、
わたしは、とっくに気づいていた。

わたしの怒りは、目の前のあのひとに対してではない。
あのひとの、家族を取り巻くものだと。

家族関係なんて、意識しない頃は、よかったな。

純粋に、あのひとだけのことを、考えてられたもの。

好きか、嫌いか。
惚れるか、惹かれないか。

そんな単純なスケールでよかった。

時を経て、あの頃はどうだったろう?

あのひとの家族が自死したのは、あのひとのせいではないのに、
わたしはわたしで、2回もそんなことがあって、
怒りの気持ちがどこかで収まらなくて、
でも、あのひとのせいではなくて。

あのひとの両親への怒りも、散々口にした。
関連性は、いっさい口にすることなく。

あのひとにとっては、理不尽だったろう。

最近になって、あのひとなりに、あのひとの母が救いだったと聞いて、
かわいそうなことをしたと思った。

あんなことになったのは、親にも原因があるだなんて、
言ってはいけないことだった。

でも。

わたしの立場からは、言わないと、どうにかなりそうだった。

あのひととの関係を繋ぐことに、わたしは必死だったけど、
あまりにいろんなことがあって、
わたしは、あのひとすらどうでもよくなっていたというのが、事実だ。

でも。

なんだか、ここにきて、ストンと落ちた。

わたしの、わたしなりの、落としどころというか。

なんだろう。
年齢なのか、経験なのか。
わたしを取り巻く、変化のせいなのか。

ともかく、わたしは、なんだか達観したような気持ちでいる。

なんだか、これはこれで、うまく回っていくような。

そんな気持ちでもいる。

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