【政策③】実は意外と知られていない?アベノミクスにおける日銀の役割とは
前回、法人税増税が財源として成り立たない理由をご説明しました。
今回は近年盛んに唱えられ、それをメインで主張する政党も出てくるような意見、「財源なんて心配ない!国債の発行で補えばいいんだ」という考えについて考察していきたいと思います。
第2回目でも指摘した通り、政府が発行した国債残高は1000兆円を超えており、過去最多となっています。対GDP比では約260%であり先進国の中では最悪の水準です。(財政の持続可能性を考えるときは、税収を生み出す元となる国の経済規模(GDP)に対してどのぐらい借金をしているかが重要です。その国の稼ぐ力が、結果的に借金を返済する力となるからです。個人でも、例えば同じ100万円の借金でも、200万円の収入の人(債務対収入比50%)と1000万円の収入の人(債務対収入比10%)で返済する能力は異なりますよね。それと同じことです。日本は下記の図ように、対GDP比債務残高は先進国の中で最悪の水準となっています。つまり、稼ぐ能力に対して借金が先進国の中で一番多いということになります。)
国債は政府の借り入れです。買い手がいなくて需要がなければ、金利が上がり(=値段が下がり)、目標の額を調達することができません。少子高齢化が進行し、納税の主役となる現役世代が減っている中で、主要国の中で一番債務残高比率が多い国の国債が、人気商品とは思えません。
しかし、政府は毎年巨額の国債を低金利(=値段が高い状態)で発行することができています。
とくに2020年に新型コロナが流行して以降、経済対策やコロナ対策と銘打ち、下記の図のように今まで以上に巨額の赤字国債を発行しています。
一体誰が、巨額の国債を買っているのでしょう?
それが日本銀行(日銀)です。2012年に始まったアベノミクスによって、日銀は巨額の国債を買い入れることとなりました。
現在日銀の保有する国債は今年6月末時点で約520兆円であり、実に国債発行額の約50.4%にのぼる額となっています。
(※その前に、、、
アベノミクスとは何か?アベノミクスとは、2012年衆議院選挙で大勝し政権に復帰した安倍晋三首相が始めた政策で、①異次元の金融緩和、②機動的な財政出動、③民間投資を喚起させる成長戦略、を指します。当時安倍総理は、このアベノミクスにより日本経済の復活を目指しました。先ほどまでお話していた日銀の大規模な国債買い入れは、翌年日銀総裁に就任した黒田東彦氏が始めたものでした。)
日銀が巨額の国債を買い入れていることは分かったけれど、一体それの何が問題となるのだろう?
そう思う方も大勢いらっしゃると思います。やや長くなってしまいそうなので今回はここまでにして、次回以降日銀が巨額の国債を買い入れる問題点を指摘していこうと思います。
やや難解になるかもしれませんが、なるべく分かりやすさを心がけてみますのでぜひお付き合いください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?