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【関東甲信越アライアンス】公民連携施設視察ツアーレポート📝@千葉県旭市・おひさまテラス🌻

関東甲信越アライアンス主催!公民連携視察ツアー🏳‍🌈
令和4年度では3回目の開催となりました!

レポートいたしますのは、目黒区保育課の吉本でございます🙋
大学時代には児童福祉関連のゼミに所属、「子どもに優しいまちづくりとは?」をテーマに、子どもの権利条約に基づいて子育て・子育ちを支援する地域の取り組みについて研究しておりました!

今回の視察先が「子育て支援施設」だと小耳にはさみ、満を持しての(?)参加となりました。
ところがどっこい、現場に行ってみると開いた口が塞がりません。
ただの「子育て支援」「多世代交流」施設ではなく、子どもから高齢者まですべての人の「豊かな暮らし」を実現し、生きる力を育む「エンパワーメント『タウン』」なのでした!🌱


目次

  • プロローグ~視察ツアーの概要

  • 「生涯活躍のまち・みらいあさひ」

  • 2階・おひさまテラス

  • 1階・デイサービスわだち&めとはな

  • 公民連携とは?自治経営メンバーがレクチャー!

  • エピローグ~豊かな暮らしを追い求めて


プロローグ~視察ツアーの概要

東京駅からバスに揺られること1時間半、「旭中央病院前」バス停を降りると、その「タウン」は現れました。

イオンタウン外観。でかい!
お隣の旭中央病院は、公立病院で全国トップクラスの規模を誇るとのこと。これまたでかかった。

イオンタウン入口のエスカレーターで2階へ上がり、「おひさまテラス」へ!

おひさまテラス入口

集合場所は、施設内のミーティングスペース。
おひさまテラス運営関係事業者の皆さまがお越しくださいました。

本日のツアーをアテンドしてくださったのは、旭市から管理者指定を受け、おひさまテラスの管理・運営を行う、イオンタウン株式会社・永井大輔さんです!
まず最初に永井さんより、事業実施の趣旨や経緯についてご説明を頂いた後、おひさまテラスの施設内をご案内いただきました。
そして当日は、みらいあさひ協議会の第一回会議の日。神奈川県住宅供給公社の一ツ谷さん、草加市の高橋さん、さいたま市の宮本さんを講師とし、協議会の皆さまへ公民連携の取組事例・意義についてレクチャーの機会を頂きました!

「生涯活躍のまち・みらいあさひ」

イオンタウン株式会社・永井さんより事業についてご説明

平成27年度に旭市の重点施策として掲げられた「生涯活躍のまち構想」を体現するべく、旭市は事業者の公募を実施し、平成30年度にイオンタウン株式会社を代表とするグループ4事業者が最優秀提案者に選定されます。
少子高齢化による人口減少が進む中でも「日本一の安心と生きがいのある暮らし」が営まれることをゴールに、旭中央病院を核とした医療・介護と、周辺地域の農業が事業連携して「持続可能な多世代拠点」が生まれることになりました。

旭市が提供する「行政コミュニティゾーン」のおひさまテラスを中心として、その周辺には、スーパーマーケット等の物販店により展開される「商業ゾーン」、イベント開催が可能な「広場」、フィットネスやクリニック(開業予定)で健康増進する「健康ゾーン」が展開されています。
そして令和5年度には、特別養護老人ホームや移住者・高齢者向け住宅が建設され「居住ゾーン」も新たに加わる予定です。
「食」「居住」「活躍」「挑戦」「賑わい」のいろどりを添えて、「持続可能な多世代交流拠点・みらいあさひ」は豊かな暮らしを提供しています。

おひさまテラスは、子育て家庭だけをメインターゲットにした「子育て支援施設」ではなく、様々な世代の人が生活を楽しめる「多世代交流施設」。
そうなっているのは、「大人が活き活きとしている姿を見せるのが、良い子育てに繋がる」という考え方に基づいているから。活き活きとした子育て=「個育て」が街を育むというサイクルになっています。

令和4年度には事業の企画実施を担う「一般社団法人みらいあさひ」が設立され、今後の「生涯活躍のまち・みらいあさひ」における新たな価値創造、持続可能なまちづくりへの取組が期待されています。

2階・おひさまテラス

永井さんから事業のご説明を頂いた後は、施設内をご案内いただきました。

まずはミーティングスペースを出てすぐの、コワーキングスペース。
個室もあり、住民の「自由な働き方」をサポートしてくれます。
ここで生まれた協働によって、新たなビジネスも生まれたら素敵ですね!

コワーキングスペース。個室もありますよ!

お次はパブリックスペース。
買って帰りたくなる本がありましたが、館内での閲覧のみとのこと。(泣)
ジャンルごとに設置場所を分けていて、各活動スペース近くにそれぞれ親和性の高い内容の本を設置しているんだとか。

読書する青年、おしゃべりするママ友たちなどがいらっしゃいました。
ここはイベントステージとしても使うことがあるんだそう!かっこいい~
体を動かすスペースも!子どもに混ざって、大人も遊んでいますね★

ここはお子さまの一時預かりスペース。イオンの買い物客からの預かりはお断りしていて、おひさまテラス利用者だけが使えるとのこと。気持ちよく施設を使えるように工夫されていますね!

このほかにも、楽器演奏ができるミュージックスペース、工作ができるクラフトスペース、料理ができるキッチンスペースなど、わくわくするお部屋が盛りだくさん!イベントも実施予定です。
家族や友人、地域の人と暮らしを共有し絆を深めることは、心の豊かさにつながりますね。

学生時代に活動していたバンドを、このスペースきっかけで再結成させた
イケオジたちがいるんだとか。
ラジオもできます!
クラフトスペース。大きな機械や3Dプリンターもあり、驚きでした!
クラフトスペース前の机。気づいたらこうなっていたんだそう。芸術的ですね。
キッチンスペース。午後には実際に、子どもたちとママたちがお料理していましたよ!
イベントのチラシ。英会話教室は知人からJALの社員さんに繋いでもらい実現に至ったとのこと!


1階・デイサービス「わだち」&シェアキッチン「めとはな」

お昼を挟んで、今度は1階のデイサービスとシェアキッチンへ。
株式会社楽天堂・片平さんからご案内を頂きました。

デイサービス「わだち」。ほんとにデイサービス…?という外観。
シェアキッチン「めとはな」。当日は3店舗出店していました。
楽天堂・片平さん(写真右)。おひさまテラス内のカフェで奥様が働いているんだそう。

とてもデイサービスとはわからない、まるでお店のような外観。
だってお店だから。 (・・・?)

「わだち」には、デイサービスに通所している高齢者の方がおかずを作って売る、お惣菜屋さんが併設されているのです!
優しい「いらっしゃいませぇ~」の声に、行列ができる日もあるんだそう。

店頭のチラシ。ポップでかわいいです💛
わだちのキッチン。この奥にデイサービスのスペースがあります。
木の良い香りがしたお風呂。枠にくぼみがあり、利用者さんが手で掴んで
自分で出られるようになっています。まさにエンパワーメントの仕組み!

そして、参加者みんなが驚き感心していたのが、デイサービス「わだち」に囲いがないこと。他施設との境は床の色の違い・薄い線引きだけ。

ここまでオープンなデイサービス、前代未聞です。

多くのデイサービスは、閉鎖的なイメージ。ご家族からお預かりする以上、利用者を危険な目にさらすわけにはいかないのはもちろんのこと。
それでも、行きたい場所に行けない、同じ世代の人としか関われない、
それって人間らしい暮らしだと言えるのだろうか。

わだちの周りには、シェアキッチン「めとはな」や無印良品があります。
少しくらいデイサービスのスペースを出ても見守ってくれる人がいるので、今日も出ていったね、ふふふ、で終わり。誰もダメと言う人はいません。
イオンタウンの施設内を出ようとすると、利用者の背中についたセンサーの音が鳴り、スタッフもシステムで気づくことができるそう。

「帰ってきた利用者さん、背中が『ピシッ』となってるんですよ」と嬉しそうに語る片平さん。なんと、要介護度が下がる利用者さんもいるんだそう。
小さいお子さんや子育て世代とのふれあいが、高齢者の方にも良い刺激となっているんですね。
「介護事業者にとって要介護度が下がるというのは、営業的にはマイナスかもしれないけれど(笑)、利用者さんの生活の質が上がったってことですよね。それってまちにとってはプラスじゃないですか。」と片平さん。
なんと公共マインドの高い民間事業者さんなんでしょう。

できることが減ってきても、最後まで人間らしい生活ができていいはず。
最低限の安全は担保しつつ、利用者の自由意志も尊重する仕組みがある。
もしそれで利用者の健康が増進されたなら?介護の本質って何だろう。

子育ても介護も「ダメ」「危ない」というワードであふれ、どうしても大人が上から目線に制御・コントロールする権力関係になってしまいがち。
「いいよ」「気をつけて」を言いたいなら、その環境は自分たちで作れるのではないか。
心も体も持続可能な、優しい社会を作っていきたいと思いました。

無印良品のショッピングカートとわだちの車いす。
夢のコラボレーションに、ついシャッターを押してしまいました。


公民連携とは?自治経営メンバーがレクチャー!

当日は、事業の企画運営を実行する「みらいあさひ協議会」勉強会の記念すべき第一回が実施されるとのことで、我らがNPO法人自治経営から3名が、公民連携の在り方についてレクチャーをさせていただくことになりました!
登壇者は、神奈川県住宅供給公社・一ツ谷さん、草加市・高橋さん、さいたま市・宮本さんです!

第一回勉強会の講師陣!オンラインと対面のハイブリッド形式で。

トップバッターの一ツ谷さんからは、NPO法人自治経営の設立経緯や活動趣旨について、そして神奈川県住宅供給公社が運営する相武台団地・若葉台団地での取組事例についてお話いただきました。

一ツ谷さんのレクチャー。
NPO法人自治経営は「プロフェッショナルスクール」OB・OGで設立されました。
公民連携事例が豊富のケーススタディブックvol.3もご紹介させていただきました。

二番手は、草加市で産業振興部門に所属の高橋さんから。
草加市での取組事例を挙げながら、自治体と民間事業者のそれぞれの役割についてお話いたしました。

高橋さんのレクチャー。民間事業者さんの取組も「公共」の一部。

そしてトリを務めますのは、さいたま市PPPコーディネーター・宮本さん。
自治体と民間事業者がそれぞれどんなマインドで事業に臨むべきか?
リスクなど現実的な視点も含めてお話しました。

宮本さんのレクチャー。旧大宮図書館を活用した「ハムハウス」の紹介もありました!

みらいあさひ協議会の皆さま、お疲れさまでした!
今後もぜひ、公民連携への理解を深めていただけると嬉しいです。


エピローグ~豊かな暮らしを追い求めて

「子育ち」という言葉を大学時代の恩師は使っていました。私の好きな言葉です。
子どもには自分で育つ力がある。それを引き出して見守るのが大人の役目。
介護も同じなのかも。サポートしているように見せて、実は高齢者の持っている力を奪ってはいないか?対等に向き合えているだろうか。

年齢、障害の有無、性別、etc。その特性にかかわらず、誰もが「生きる力」を持っている。その力があることを信じ、手を出すのではなく、導く。
「みらいあさひ」は、一人ひとりが生きたい暮らしを自分で選択できる環境が整った、「エンパワーメントタウン」でした。

そして公民連携事業は、イオンタウン株式会社さんや楽天堂さんのような、「パブリックマインド」を持った民間事業者さんの存在が不可欠だとわかったことも、今回の視察の収穫でした。

来年度は特別養護老人ホームを中心とした居住ゾーンが完成予定。
「1年後にまた来ようね!」と約束して、視察ツアーは幕を閉じました!

超大作となってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました!
最後に、今回のツアーを開催するにあたりご協力いただきました関係者の皆さまに、心からの感謝を込めてレポートの結びといたします。

おひさまテラス内カフェの名物・おじや!ドーナツつきです🍩


Writer 吉本葵
NPO法人自治経営関東甲信越アライアンス 会員
目黒区子育て支援部保育課 所属


NPO法人自治経営
〜ヒトづくりと地域事業から日本の自治を変える〜

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