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#16 省エネ基準改悪!? 公営住宅の脱炭素化を阻むものとは….

 こんばんは。脱炭素マニアな地方公務員・梅木です。
 さて今回は、公共施設のうちボリュームの大きい施設ランキング1位か2位にどの都市も入ってくる「公営住宅」の脱炭素化についてお話ししていきたいと思います。


1.断熱化を阻むもの

(1)公営住宅の断熱基準

 公営住宅は、ほとんどの場合、国土交通省の補助金を使って建てられますが、その補助要件がR4年度に改正され、以降に新築される公営住宅はZEH水準で整備されることになっていきます。
 これは、2030年に民間建築物も含めてZEH(等級5)が義務化されることに先駆けて、行政施設は積極的に取り組む姿勢なので、それ自体はよいことだと思います。

(2)共同住宅の省エネ基準・評価方法の見直し

 ところが、R4.7.11の省エネ法改正で、下記資料「共同住宅の住戸間の熱損失の取り扱いについて」のとおり、共同住宅の評価方法が見直しされてしまいました。
 〇2つ目に記載のある「隣接空間が住戸の場合の熱損失が無いものとして取り扱う」とは、簡単に言うと、壁や天井・床の断熱性能をこの世には実在しないくらいメチャクチャ良い性能(U値=0)と見てよいということです…汗

【出展】国土交通省資料

 これは、事実上の緩和です。今まで、安全側に基準が設けられていたのを合理化しただけだという言い分なのですが、この影響はあまりにも大きく、下記の図をみてもらえばわかる通り、従来の評価方法と同様の仕様で新評価を行った場合、等級が2つも上がってしまうケースもあるのです。

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