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チーム仲は悪くないのに「何となく一体感がない」時に試してもらいたい3つのこと

こんにちは。こがねんです。ファッションテック企業で「組織開発」をしています。

「組織開発」とは何でしょう。これにはいろいろな定義がありますが、僕は「人の集まりが同じ目的に向かって協働するチームになるためのあれやこれやの働きかけ」くらいに考えています。

会社全体・特定部門・特定チーム・特定個人と、人・組織の課題はあらゆるレベルで起こります。その課題発見や解決を自分や自分のチームがリードして行ったり、他の人が行うのをサポートしたりする仕事。それが「組織開発」です。

そんな仕事をしている関係で、現場マネジャーからもよく人・組織に関する相談を受けます。先日も現場のマネジャーからこんな相談を受けました。

「チームの一体感が低下していて困っています。別に仲が悪いわけではないですが、リモートワークになった頃からメンバー同士の関わり合いが減ったこともあり、横のつながりが薄くなってしまったように思います。業務上は特に問題ないのですが、閉塞感や疲弊感みたいなものがあり、体調不良のメンバーも出始めました。自分とメンバーは1on1などで定期的に話せているのですが、メンバー同士のメンバーの関わり合いをどうやって増やしたらいいでしょうか」

いやー、これありますよね。「何となく一体感がない」という組織課題。業務上問題があるわけじゃないけれど、何となくチームとして一緒に働いている感じがない状態ですね。

これ、リモートワークが始まる前のリアルなオフィスで対面中心に働いていた時から起こっていた問題ですよね。ただリアル時代は会議などで物理的に集まる機会が定期的にありましたし、何気ない声がけなんかも出来ましたし、それでも一体感が薄まった時には「よし、今日はちょっと皆で飲みに行くか」とやるなどで対処してきた問題とも言えるかと思います。

問題なのは、今はこれがリモートワーク中心の世界で起こっていることですよね。オンライン会議の時にしか顔を合わせない。PC画面でしか顔を合わせない。なんなら画面オフの人もいる。会議が終わればまた一人。自分の作業に戻るだけ。必要なコミュニケーションはすべてチャット。異動や入社でチームに新しい人が入って来てもすべてオンラインで完結。そもそも一体感が生まれないし、多少生まれても気を抜くと一体感はなくなっていく無理ゲー感。そんな状態に悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか。

そんな風に、特にリモートワーク下において、チーム仲は悪くないのに「何となく一体感がない」時に試してもらいたい3つのことを、今日はご紹介したいと思います。

まず試してもらいたいことの1つ目は「メンバー同士の1on1」を実施することです。やり方は簡単で「メンバー同士で1on1してね」とお願いするだけです。人数にもよりますが、できるだけ全員が総当たりになるようにやってもらうと効果的です。

どちらが話し手・聴き手とは決めずに定期的(週1回30分など)にフラットに話してもらう感じです。話の内容は仕事でもプライベートでもいいですし、話の粒度も壁打ち相談からモヤモヤ共有まで、とにかく好きなテーマで話してもらいます。僕は「僕(マネジャー)への不満や愚痴なんかも元気に話してねー」なんて言っています笑(実際、色々言いたいことあると思うので)

この「メンバー同士の1on1」の目的は「とにかく対話を増やして一体感を生むこと」です。マネジャーとメンバーの間だけで1on1を行っている限り、チームのタテの糸は強化されていきますが相対的にヨコの線は弱まっていきます。そのヨコの糸も強化することで健全に情報が流れるようになっていきます。テーマも自由にすることで仕事だけじゃなくプライベートも、ロジックだけじゃなく感情情報も流れるようになり、チームとしての一体感が生まれる土台ができます。

「メンバー同士の1on1」でタテヨコの糸を強化したら、次に試してもらいたいことは「定期的なチーム合宿」をすることです。こちらもやり方は簡単で、3ヶ月~半年に1回程度、チーム全員で集まって何かのテーマについて対話の場を持ちます。

本来であれば、合宿施設やコワーキングスペースなどで非日常感を演出したいところですが、今日はリモートワーク下の前提なので、合宿も「長めのオンライン会議」をするスタイルになります。「長め」とはどれくらいの時間かと言えば、これは扱うテーマにもよりますが、最低でも半日以上、できれば丸一日、盛り上がるテーマであれば丸二日くらい時間を確保してもいいかと思います。

テーマはチーム全員で話してみたいことならば何でもアリだとは思いますが、関係づくりが目的ならば「モチベーショングラフ」や「Will・Can・Must」みたいなフレームを使ってお互いのキャリア観を話し合っても良いと思いますし、よりチームビルディングに寄せるならば「チームのミッション・ビジョン・バリューを考える」とかでもいいと思います。僕のチームでは「自分のモヤモヤを持ち寄って発表し合うモヤモヤ共有会」というテーマでやってみたりしましたが、これはこれでとても良い時間になりました。笑

肝心の合宿内容をどう設計するかも色々なやり方がありますが、基本的な流れは「合宿の目的説明」→「アイスブレイク」→「テーマ共有」→「個人ワーク/対話ワーク(ブレイクアウトルーム機能を使用)」→「ワークの共有」→「振り返りとネクストアクションの決定」という形で構成します。時間配分などはリアルの時よりもゆったり目に進行できるように余裕をもったスケジューリングにします。

「合宿」というとちょっとハードルが高く感じられる人もいるかと思います。時間的コストもかかる、かけてもらうことになるから「ちゃんと設計しないと」「ちゃんとファシリテートしないと」と考えてしまう人もいるかも知れません。

「定期的なチーム合宿」の目的は「チーム全員で同じ時間を共有して一体感を生むこと」です。同じ時間を共有して「チームであることを体感する経験をすること」が重要です。なので多少、進行がうまくいかなかったり、想定外の流れになったりすることもありますが、細かいことは置いておいてまずはやってみることが一番大事だと思います。僕の経験上も「こんな合宿ならやらなきゃ良かった」となったことは一度もなく、むしろメンバーからは「良い時間になりました」と言われるパターンがほとんどです。なので是非やってみて頂きたいと思います。

そして、試してもらいたい最後の1つはチームのジョブアサイン(仕事の振り分け)をする時に「メイン-サブ制」を取ることです。チーム内の仕事を誰か一人に担当させずに、なるべく二人以上のタッグ・コンビで担当してもらうように設計して協力して進めてもらう方法です。

こちらもやり方は簡単で、表計算ソフト(Excelやスプレッドシートなど)にチームの仕事を「タスク」ベースで列挙して、近しいタスクを「プロジェクト」としてまとめて、そのプロジェクト単位で「PM(プロジェクトマネジャー・プロジェクト責任者)」「プロジェクトメンバー」を立てて組み合わせを作っていきます。星取表みたいにしてPMに「◎」、プロジェクトメンバーに「○」を打つなどして表現すると管理しやすいです。

「PM」をどう立てるかが1つの肝になりますが、ここも「Will・Can・Must」の3つの軸で考えると良いと思います。つまり「その領域を一番やりたい人は誰か」「その領域が一番得意な人は誰か」「その領域を一番やってほしい人は誰か」の3軸で考えて、何を優先するかで決める方式です。

難易度が高い領域はマネジャー自身が「PM」を担当してメンバーを「プロジェクトメンバー」として付け、任せられるものは積極的にメンバーを「PM」に立て、他のメンバーを「プロジェクトメンバー」としてアサインしていきます。また、場合によってはメンバーが「PM」でマネジャー(自分)をその「1プロジェクトメンバー」として構成するパターンもアリです。

この「メイン-サブ制」の目的は「仕事経験を複数人数で共有して一体感を生むこと」です。頭を使って考える企画系の仕事であれば一緒に悩んで考えて創っていく経験を共有できますし、実際に手を動かす運用系の仕事であれば声がけをし合って力を合わせて対応する経験を共有できます。またその結果として成功も失敗も常に誰かと分かち合うことができます。

ただ実はこれ、我ながらアブナイ提案でして、というのも、リモートワーク下では効率的に業務を進めることだけを考えれば、仕事は限りなく「作業」として分解して「個人」に割り当てていくことが重要になります。成果物や締切など明示的なアウトプット要件を、明確な役割分担で依頼し、依頼されるやりとりの中で、行き違いや手戻りを発生させないことがセオリー(正攻法)になるからです。

「メイン-サブ制」は、そんな「リモートワーク下の仕事のセオリー」に反するところがある仕事の進め方になります。複数人数の対話と合意形成は時間がかかるだけでなく、責任も曖昧になりやすいことから、チームとしてのアウトプットの量や質に影響が出る可能性があります。

ただそのリスクを加味しても「メイン-サブ制」が実現してくれる「仕事そのものが生み出す一体感」という価値は何物にも代えがたく、これがチームの前提になっていることで「メンバー同士の1on1」や「定期的なチーム合宿」という他の2つの打ち手も効果的になっていくことから、僕個人としてはリモートワーク下のチームビルディングにおける「必要な投資」と考えています。

ということで、今日はリモートワーク下において、チーム仲は悪くないのに「何となく一体感がない」時に試してもらいたい3つのことをご紹介しました。

「メンバー同士の1on1」でヨコの糸をつくり、「定期的なチーム合宿」で全員で同じ時間を共有し、「メイン-サブ制」で仕事を孤独な作業にさせない工夫をすることで、チームは本来発揮すべき一体感を生み出したり、取り戻したりできると考えています。

今日はこがねんが考えるコツを紹介しましたが、おそらくこの3つ以外にもチームの一体感を出すための工夫はいろいろあると思いますし、実際に取り組まれている人もいるかと思いますので、よかったらコメント欄やTwitterのリプライ欄などで共有いただけると嬉しいです。

皆でいい「チームの一体感」生み出していきたいですね。

それでは、また。

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