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他者を変えようとするのは不毛だ

嫌いな相手の性格を、自分好みの性格に矯正することができるだろうか。
おそらく、いや絶対に不可能だろう。

極端なハナシ、大金を積めばある程度は自分の思い通りに相手をコントロールすることができるかもしれない。
しかしそれは相手の性格が変わっているのではなく、欲のまま合理的な選択をし、合理的な振る舞いをしているにすぎない。

先日、妻が職場から病院に搬送された。
知らない番号からの着信はムシするようにしているのだが、何か虫の知らせを感じる。
「〇〇生命のタナカ(仮名)と申します。旦那さんでしょうか?」
「はい」
「奥さんの〇〇さんが急に手が震えて顔色が悪くなってきたので、救急車を呼んでいるところです。また搬送先の病院がわかれば連絡します。」
と、突然のことすぎてあまり頭がうまく回らなかった。

それからしばらくして連絡があったため、急いで会社を早退し、搬送先の病院へ向かう。
何事もなくいてくれと願いながら、交通量が多くなり始める夕方前の国道をできる限りのスピードで車を走らせる。
結果、ぼくが到着した頃にはすっかり症状が落ち着いて、ロビーのベンチに座っていた。

ホッとした。その次に思ったことは、もうこれ以上ストレスのある仕事は続けさせられないということ。

以前から年に数回は謎の体調不良を患っていた。その原因も本人曰くストレスだろうと。
ぼく自身もサラリーマンではあるものの、全くストレスの溜まらないスーパーホワイトな会社に勤めているため、妻の気持ちを完全に理解することができないのが本音。

妻のストレスの原因は、やはり「上司」
人間の抱えるストレスの大半は「人間関係」に起因するものである。その中でも大手生命保険会社の上司となれば、かなりの強者なのだろう。

ぼくの場合は上司であろうが、先輩であろうが、ストレスが溜まるような扱いを受ければ、たちまちに爆発してしまう。
要するに社会人としてはあまり器用なほうではない。
その反面、思いやりの気持ちを持つ人とのコミュニケーションを最重要視している。

八方美人になれば、得るものと消耗するものでプラスマイナスゼロ

自分の軸を持っていれば、つまらない人間に嫌われようと全く気にならないし、むしろ嫌ってくれた方がありがたいとさえ思う。
誰と付き合い、誰と離れるか、社会を生き抜く術の基礎となる。

つまり、嫌いな相手を好きになる必要もなければ
嫌いな相手を理解しなくても、生きていくのに全く困らないのである。
しかし、妻の思考はこんなに都合よく解釈できていない。

どうでもいい人間に日々ストレスを与えられ、蓄積されたダメージが定期的に飽和して身体の不調として現れる。
タイミングが悪ければ電車のホームからの脱落だってないわけではない。

身を削って、魂を削って、そこまでしてでも続けたい仕事なのか。

妻の答えは「ノー」であった。
またホッとした。

妻が仕事を辞めれば収入は半分になる。
今の生活レベルは維持できないかもしれない。

それでもいい。
お金がなくても。時間がなくても。心の底から信じ合える家族さえいれば。

今まで妻の体調に本気で向き合わなかった自分に猛反省している。
でも、取り返しのつかない事態になる前で気づけたのはよかった。

これからどんな人生が待っているかはわからない。
それでも、一生安定した生活が約束されているより、山あり谷ありの人生の方が、振り返ったときに後悔は少ないと思う。

まずは妻に、「本当にやりたいこと」をじっくりと考える時間を。

それからどうすれば家族みんなが幸せでいられるかを話し合って、オリジナルの未来設計図をつくろう。

34歳、人生はまだ始まったばかり。

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