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つぎはぎキャリアの活かし方

ぎだらけの人生だなあと、我ながら思う。

わたしに一番遠い肩書きは「専門家」だろう。なにかひとつを長く続けたり、極めたりした経験が、ない。

客観的に見たら圧倒的なジョブホッパーだし、わたし自身も「これだけを極めていきたい」と思ったことがない。

今は自分で立ち上げた『じぶんジカン』というブランドを運営しているけれど、これだっていろいろできる・・・・・・・から楽しいのだ。もしも「ノートの専門家にならなければいけない」のだったら、わたしはたぶん飽きてしまう。

ひとつの道を極めている人のことを格好良く思うし、そういう生き方もしてみたかったけれど、「どうやら自分には向いていないようだ」と早めの段階で悟った。

それならば継ぎ接ぎだらけの「唯一無二な自分」を活かして生きていこう!と、いつしかポジティブに捉えるようになっていた。

継ぎ接ぎ人生の良いところは、掛け算で可能性が無限に広がることだ。

「ちょっとできること」がたくさんあると、それらを掛け合わせたら、新しく「こんなこともできる!」が生まれ続ける。

何か「やりたいこと」が生まれたときも、「ちょっとできること」の掛け算をすることで「どうしたらできるか」を考えやすい。

よく「やりたいことがあるのだけど、到底できるとは思えない」という相談を受けるのだけど、個人的には「そりゃあそうだよ、やりたいことってつまり “今はできないからやってないこと” なんだから」といつも思う。

今すぐできるのなら、きっと誰しもやってるよ。現状では何らかの事情や不足があってできないから「やりたいこと」なのだ。

そんな時は、過去に集めた「ちょっとできること」をいろんな引き出しから引っ張り出して、並べて、掛け合わせてみる。そうしてさまざまな角度から「やりたいこと」に近づく方法を考える。

これが、ジョブホッパーで、飽きっぽくて、器用貧乏なわたしの、生存基本戦略である。

実際どうやって掛け算するの?という具体例を、今まさに進めているわたしの「やりたいこと」から。

まず「こんなことをやりたいなー!」が、わたしの頭の中に浮かぶ。

【やりたいこと】
じぶんジカン5周年で、ユーザーさんに感謝を伝えられるもの、楽しんでもらえるもの、記念として手元に残したいと思えるものをつくりたい。

これがなかなか、アイディアが思いつかなくて半年ぐらいずっと、いろんな事例を見たり、自分の「ちょっとできること」の引き出しを開け閉めしたりして考え続け、ついに先日「これなら実現できる!」に到達。

その時に掛け算したのが、こちら。

【実現のためのスキルの掛け算】
・文章が書けること
・本をつくれること
・問いを生み出せること

この3つに加えて「5周年という今だからできること」も掛け合わせたら、「わたしだからこそできること」になった。

どんなものが出来上がるかは半年後のお楽しみだけれど、つまり「感謝を伝えられて、楽しくて、記念に残る、問いが詰まった本のようなもの」をつくることにしたのだ。

ちなみに冒頭に書いたように、わたしのキャリアは本当に継ぎ接ぎなので、たいていのスキルは「ちょっとできる」のレベル。本をつくるスキルだって、専門のエディトリアルデザイナーさんには全く劣る。他も高い専門性を有しているとは言えない。

けれど掛け算をするにあたっては「ちょっとできる」でも十分だと思う。なぜなら、それ一本で勝負するのではなく、こちらは継ぎ接ぎの総力戦だから。

それともうひとつ大事なのは、掛け算のアイディアは「すぐに見つかる時もあれば、そうでない時もある」ということ。

割と「すぐに見つからないから」といって諦めてしまう人が多いような気がする。もっと長い目で、自分の「やってみたい」を温めてあげても良いんじゃないかな。

継ぎ接ぎ人生だったり、器用貧乏だったりすることは、何だかネガティブな文脈で語られやすいような気がするけれど、わたしは全然ネガティブなことじゃないと思っていて。

裏を返せば「いろんなことができる」であり、「さまざまな世界を齧っている」であり、その組み合わせこそが「自分らしさ」になる。

興味があることや、好きなことを寄せ集めて築かれた継ぎ接ぎの自分。それはきっと、素敵なパッチワークとして、誰とも被らない唯一無二の存在になっているはず。

まだ自分の継ぎ接ぎの美しさに気づいていない人は、もっと見つめてみてもいいと思う。

それは自分にしか出せない味になっているし、それらのすべてが、これからの自分の「やってみたい」を助けてくれるかもしれないのだから。


おわり


●エッセイ集を出版しました
「自分はどうかな?」と考えるきっかけとして、文章が届いたら嬉しいです。


運営している「じぶんジカン」では、自分と向きあう時間をつくるノートをお届けしています。もっと心地よく自分を生きるための一歩目に、よかったらどうぞ。


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