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スローライフを送るために必要なこと

「スローライフって、どうしたら実現できるのかな」

心地よい潮風がふうわりと頬に触れる、お昼過ぎの茅ヶ崎の海辺。アイスコーヒー片手に隣に座る友達が、ぽつりと呟いた。

「ミキさんって、毎日のように海辺でのんびりしてたりして、時間に追われていないように見えるなあと思って。だから、聞いてみたかったんです」

スローライフ。
わたしは、もらった問いを頭の中でリピートしながら、海と空の境目をじいっと見つめた。

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「スローライフ」という言葉をわたしが知ったのは、6年前の2015年のこと。

新婚旅行でイタリアを旅しているときに、夫とスローライフについて語ったから、鮮明に記憶してる。「わたし達にはスローライフがあっているよ」といったような話をして、そこから数年間は、お互いに時間に追われたり焦ったりしているときに「スローライフだよ」と声をかけあってきた。

ただ最近、特にここ1年は、スローライフという言葉自体を思い出すことがまったくなかった。それは、わたしが忙しくなったからではない。むしろ逆で、たぶん、意識しなくてもスローライフが送れるようになったからだと思う。

そんなときに、友達から「スローライフはどうしたら実現できるのか」という問いをもらったから、改めて考えてみたことをまとめてみようと思った。


スローライフって何だろう

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スローライフという言葉は和製英語で、比較的新しい概念だから、けっこうぼんやりしたところがある。

でもだいたいは、こういう意味合いで使われていると思う。

時間に追われずに、余裕をもって人生を楽しもうという概念、あるいはこの概念に沿った生活様式をさす。
コトバンクより引用

時間に追われないこと、ゆっくりと生きること。

もちろん「万人がスローライフを送るべき」というものじゃない。ゆっくり生きたい人もいれば、激動のなかで生きる方が楽しい人もいるはず。

でも、たぶん今の社会においては、スローに生きることの方が難しい

次から次に流れてくる情報や、いまだに残る大量生産/消費の流れ。Amazonで頼んだものは翌日に届くし。スマホに飛んでくるメッセージは既読がついたらすぐに返信することが求められている(ように感じる)。

まだまだ、速さは価値なのだ。それも、わかりにくいものが多い世の中において、数少ないわかりやすい価値なんだと思う。「ゆっくりであること」よりも、よっぽど。

だからこそ、スローライフを送りたい派のわたし達は、「スローライフを送るぞ」と決意しなければ、なかなか実現が難しい

そして、決意してもなお、実現するのはけっこう難しいことだったりするのだけど。


田舎暮らしはスローライフなのか

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「スローライフはどうすれば実現できるのか」という問いをくれた友達が、とても興味深いことを言ってた。

「スローライフは、田舎に住んでいるからって実現できるものでもないと思う」

田舎暮らし=スローライフっていうイメージ、たしかにある。Googleで「スローライフ」と検索すると、「田舎でスローライフを送ろう!」みたいな検索結果が並ぶ。

でも地方出身の友達いわく、田舎に住んでいても時間に追われている人はいるらしい。だから、田舎で暮らしているからといって、スローライフを送れるわけじゃない。

つまり、住んでいる場所が田舎なのか都会なのかは、スローライフを送れるかどうかの決定的な要素ではないのかもしれない。

それと、もうひとつ。
「裕福だからって、スローライフが送れるわけじゃない」とも友達は言っていて、それも本当にそうだなあと思った。

お金をたくさん持っていても、時間に追われている人はいる。裕福さも、決定的な条件ではないということだと思う。

じゃあ、スローライフを実現するためには、どうしたら良いのだろう?


「ゆっくり生きたい」と思う自分を許すことがスローライフにつながる

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「スローライフを送るには」

わたしは、「ゆっくり生きたい」と思う自分を許すことが第一条件だと思う。

「時間に追われずに生きたい」と思いながらも、仕事に追われながら必死に生きていた頃の自分は、「ゆっくり生きたい」と思う自分を本当の意味では許せていなかった気がする。

「ゆっくり生きたい」は、わたしにとって、なかなか許しがたい考え方だった。

だってそれって、怠けてるじゃん。みんな頑張ってるのに、一人だけラクしようとしてるじゃん。そんな風に生きていけるほど、この社会は甘くないよね。

…というのが、「ゆっくり生きたい」と思いながらも、わたしの頭の中にあった自分の声だ。頑張ることが価値。ラクせずに努力するのが正しい道。怠けるなんて許せない。そんな価値観。

でもわたしは、そんな自分の頭の中の声に負けることなく、根気強く「ゆっくり生きたい」と願い続けてきた。

そして徐々に、頭の中の声も根負けして、「ゆっくり生きたい」と思う自分を許してきたのだと思う。
そうして、こんな風に考えるようになる。

ラクしたっていいじゃん。怠け者でダメなやつだっていいじゃん。楽しく生きてもいいじゃん。

これは「自分は怠け者で本当ダメなやつだから…」という後ろ向きな気持ちではなくて、どちらかというと「自分って怠け者だけど、それでも別に良いよね!」という前向きなあきらめというか。

自分に「ゆっくり生きる」ことを許せるようになった今、わたしは、スローライフを送れるようになったんじゃないかな、と思ってる。


スローライフを送るには工夫が必要

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「ゆっくり生きたい」と思う自分を許すことが、スローライフを送るための一歩目なんじゃないかと書いたけれども、実際にゆっくり生きるためには、けっこうな工夫が必要だとも思う。

なぜなら、やはり今の社会一般的な価値は「速さ」とか「多さ」にあるから。スローライフは、速さや多さを価値とする思考を手放したところに生まれるもののような気もする。そこに流されずに生きることは、芯がないとだいぶん難しい。

特に働き方に関しては、わたしはとても明確な目標を立てていて。

それが、短い時間の労働で、いかに生計を立てるかを考えること。

「労働」だと感じる時間は、極力短くしたい。だから、生計を立てるための労働をどれだけ少なくできるか。そればかり考えてきた。

これは、今の「じぶんジカン」というブランド運営の仕事はもちろん、前職のライター時代も。仕事と時間に追われずに生きるために、少ない仕事量で生計を立てるには、をめちゃくちゃ試行錯誤してきた。

誰かの参考になるかもしれないからちょっと詳しく書いてみると、量ではなく質を上げることを目標にしてきたし、あと何よりも重要なのは、お金の流れをよーく観察してきた。資本主義の価値観に流されないために、その対象をよく知る必要があった、というか。

どういう仕事をすると、自分の望む「ゆっくり生きたい」を叶えられるのか、そこを工夫してきたからこそ、今があると思う。スローライフを夢見る人にはあまり好まれなさそうな、ちょっとマッチョな話だけれども。

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ゆったりと人生を楽しんでいるように見える人って、たぶん、何もせずにそれが実現できた人よりも、たくさんの工夫をしながら、そこに行き着いた人が多いんじゃないかなと、わたしは思う。

だから「どうすれば実現できるんだろう」と考えることが、とても重要な気がする。


時間に追われない生き方は実現できる

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「ゆっくり生きたい」と思う自分を許し、どうすれば実現できるかを考えながら工夫することをあきらめなければ、時間に追われない生き方は誰にでもできるんじゃないかと思ってる。

でもたぶん、自分を許すのも、工夫するのも、一朝一夕でできることではないから、そこが難しいのだろうとも思うけど。

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あとはわたしの場合、ここに書いてきた働き方の工夫もそうだけれども、「辻堂で暮らし始めたこと」もかなり大きく影響してる。

さっき「田舎に住んでいることは決定的な要素じゃない」って書いたけれど、とはいえ、場所や環境によって「時間の流れ」って変わると感じていて。

その点、わたしが今暮らしている湘南の辻堂は、都会よりも時間の流れがゆったりとしている。平日の昼間に海でサーフィンをしている大人や、浜辺でコーヒーを飲む若者もいる。スーツの人はほとんど見かけない。それよりも上半身裸に短パンビーサンで日差しを浴びるおじさんの方が圧倒的に数が多い(!)。

「ゆっくりと生きること」を自分に許している人が、都会よりも多いんじゃないかな、という気がする。

だから、暮らす環境は絶対条件ではないけれど、もともと速さや多さの価値にずぶずぶになっていたわたしにとっては、こういう場所の空気感によって自分を許せるようになっている部分も大きい。

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あとは、こうして「スローライフ」について語れる友達や、そういった価値観を大事にする人に囲まれていることも大きいかな。

まとめると、スローライフを実現したいと願うわたしがやってきたことは、この3つ。

・「ゆっくり生きたい」と思う自分を許すこと
・ゆっくり生きるために働き方を工夫すること
・ゆっくりと時間が流れる場所に身を置くこと

これから「時間に追われない生き方」を模索しようとしている人に、何か参考になったら嬉しいな。

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今回「スローライフ」についての問いをくれた友達は、同じく湘南に移住してきたえみりさん。また近々スローライフについて話そうねと約束しているから、楽しみ。

おわり
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毎週火曜&土曜に発送します。自分を見つめるきっかけに、ぜひ。



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