愛せる人#1

 俺の名前は元次 琢磨(げんじ たくま)。大学一年生。俺は人しか愛せない。つまり、家族、友達、恋人、そして俺。人以外には興味がないから、動物も植物もその他もろもろ知識が全くのゼロ!そんな俺の人生物語。

入学式

 今日は大学の入学式。初日にドキドキしつつも、人間大好きだから全員に話しかけちゃうぞ!俺は一番に教室に入り、入口で他の人の待ち伏せをした。男女関わらず教室に入ってくるクラスメイト全員に挨拶と自己紹介をした。まだ入学式も始まっていないのに。俺は全員と一回は話す事が出来てもう満足した。あとは、先生。さすがに空気を乱してはいけないから、タイミングを見計らって入学式終了後に声を掛けに行った。初日からこんなに目立ってしまったため、案の定一瞬で同学科の噂になった。大抵の人はそれを嫌がるだろうが、俺は期待通りでとても嬉しかった。一瞬でわかったと思うが、そう、俺は変人だ。でもそんな俺のことも人だから大好き。仲良くなった友達と一緒に帰り、ご飯も食べに行った。大学生の良いスタートを切る事が出来た。

食事

 友達とご飯を食べていた時のこと。俺は人間にしか興味がないため、お店に入ってまず確認するのは人。席に座る前に俺は店員さんに自己紹介からなんやら雑談をしてしまう。友達は皆困った顔をしていて、さすがに反省した。この後も問題は起こる。食べ物は動物や植物だらけ。俺は全くの知識がなく、何が美味しいか分からなかった。メニューの名前からもどんな食べ物か想像がつかない。ひとつひとつ友達に確認してから頼んだ。これだけであっという間に1時間過ぎてしまった。俺はいつもの事だから何も気にしていなかったが、友達はあきれていた。
 翌日、学校終わりにまた友達をご飯に誘った。だが、二人とも気まずそうな顔で目を合わせ、断った。その時の俺はまだ理由が理解できなかった。

つづく…

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