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中国のリモートってうまくいってるの?課題は?

さて。昨日アベマプライムに出させていただき、中国のリモート対策から見えるメリットデメリットについて色々お話すべく、資料まとめて準備をしていました。が、隣にいたドワンゴの夏野さんがキレッキレだったので結局あんまり喋らずに終わった山下ですw

今みなさんもされているリモートワークですが、この実態について何人かの中国在住の方からヒアリングしてみたのでまとめてみますね。


1.対応できてる会社や高齢者の方が少ない

中国ITスゲーってなりがちですが、IT関連や若者中心の会社のリモート対応率は高かったみたいですが、公務員や高齢の方を多く抱える会社ならびに製造業ではなかなか実装できていないパターンが続いているようです。

年配の方はこの期間「休業」となるか最低限電話で重要事項決定のミーティングに留めて、作業は若者中心に進めるという感じが多いようです。

これ意外ですよね。中国はめっちゃ進んでいる!みたいなイメージがありますが中国は広い国。ノーインターネット生活している人がまだ4割(数億人!)もいます。

CNNICの第43次中国互聯網絡発展状況統計報告(2019年2月)によると、2018年12月時点でインターネットユーザー数は8億2851万人。 普及率では全人口の59.6%となる。 1年間で5633万人増加した。 近年は毎年4、5000万人利用者が増えているので、2019年内にインターネット普及率が6割を超えそうだ。出典:https://spc.jst.go.jp/hottopics/1904/r1904_yamaya.html

そして実際に実店舗や工場は超ヤバいことになっています。順次出勤が解禁されてきていますが、これから経済の爪痕が見えてくると思うと恐ろしい気さえします。


2.以前の状態に戻ることを想定した一時的なリモートだった

中国現地もあくまでも1~2か月でもとのオフィス環境に戻るだろうという認識で「その場しのぎ的」にリモートをしている感覚が強いとのこと。あくまでも今回は緊急時対応で、同時に無人化・自動化の技術はどこまで役に立つかなど、これまで中国が積み上げて来たものが、最悪のタイミングで大胆に実装された感じです。逆に、この状況を言い訳に色んな非接触型テックを生活の中に入れられたのは素晴らしいと思います。

もちろん諸々問題は出てくると思いますが、国民が「この状況なら仕方ないか」と思っている中で社会実験ができるというのは、転んでもただでは起きない強さだと思います。(実際のコロナウイルスの脅威については、専門家ではないので言及を控えさせていただきます)

鎮静後、つまりこれからリモートを継続するか以前の状態に戻るかは意見が分かれるところだと思います。番組内で夏野さんがおっしゃってましたが、中間管理職の方などはリモート期間中存在感を発揮できない可能性があり、組織の中でのあり方を問われたりするでしょう。後述する評価制度にも関係してきます。


3.中国での課題は労働環境と外出禁止

中国リモート開始時は、自宅謹慎になっても仕事があって給料がもらえることが安心材料であり、社員のモチベーションは高かったとのこと。しかしオフィスで働くことを前提に借りた部屋は、労働環境が良いとは言えません。友人とのシェアだったり家具がベッド一つだけだったり、良い椅子も机も大きなモニターもありません。挙句外出できないのです。

仕事と私生活を分ける生活を想定していた人が割を食らう結果となっています。外出禁止でなければ定例でオフィスやフリースペースに集まれば良いし、自由に散歩や会食行けると精神的には耐えられますが、結局リモートワークに対してちょっとネガティブな思い出がついちゃった気もします。

当面の解決策としては、夏野さんも言ってましたが、普段のコミュニケーションはネットつなぎっぱなしにするとか、やっていく中で考えて最適解を探せばよいと思います。とにかく中国は一か月以上まともに外に出られないのが辛かった模様です。


4.サボり対策はどうする?評価制度は「結果主義」

弊社もリモートワークを実施しています。スタッフは東京・上海・シンセン・ブリスベンなどに散らばっており、チャットや通話で定期的にキャッチアップをしながら仕事を進めています。なので仕事は基本的に「締め切りベース」となります。

中国でも現状評価制度は各社模索中とのことですが、何人かにお話を聞いたところ、やはり間に合わなければ頑張ったプロセスは評価されない。これに尽きてしまいます。

サボってるように見えても時間内に完璧に仕事すればよい。そうなると自然にできない人はふるい落とされてしまいます。そうならないために個々が早く環境に慣れて仕事を効率よくこなす循環ができれば監視に経費を割く必要はありません。終身雇用という制度が当たり前ではない中国だからこそフィットしやすいかなとも思います。日本も時間で人を拘束する雇用形態を見直すべきタイミングかもしれませんね。

5.関係性の希薄化は避けられない?

中国はベンチャーなどの小さい会社を除いて基本的に家族との時間、恋人との時間、自分の時間を大切にするので、そもそも社内での濃密な関係ってあまり無いです。会社が職場の雰囲気を良くして仕事しやすくするために懇親会や忘年会を開くことはありますが、会社の食事会で二次会三次会は基本無いですし、強制されるようなものではありません。

中国の若者は、趣味や価値観の合う友人は別途ネット経由などで見つけますし、そうして交友関係を複数カ所に分散することで情報感度も上がります。転職にネガティブなイメージもあまり無いので、会社の流動性も上がりますし、他所から来る人が新しい情報を持ってきてくれることも多いです。日本では転職につきまとうネガティブイメージが消えていくと良いですよね。

仕事は自分が必要とされる場所で、効率化して短時間で要求の1~2割増しのものを仕上げることで信用してもらう余った時間は趣味や自分を高める時間に。そして面白い人と会う時間に充てることで、結果横のつながりが生まれ、仕事に幅と深みと新しいチャンスが生まれていきます。結果主義をポジティブに捉えるとちょっと明るい気持ちになってきます。つまり会社と家庭のたった二カ所に人生の全てがあると考えているとこれからの時代ツラいので、自分らしくあれるサードプレイスが複数必要だと思います。


以上です。何か虚偽や間違いの指摘などあればコメントいただけますと幸いですー!

ヒアリングに応じてくれた@けろっとさん はじめ友人各位、どうもありがとうございました!

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