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読書メモ16

76.差別はたいてい悪意のない人がする:見えない排除に気づくための10章

表題の通り、悪意のない差別が生む見えない排除について書かれている。
差別は差別主義者だけの行為ではなくて、自分自身は差別していない、と思ってるような人も気づかずに加担していることが多いのがわかる。

差別について考えないこと、気にしないことが誰かを排除してしまっている。

中でも今まで自分に無かった観点が、「人は自分の持っている特権には気づけない」ということ

例えば自分は駅から自宅までの徒歩10分程度の距離をたとえ終電の時間帯でも特に不安もなく歩ける。これが女性だったり子供だったりすると不安を感じるだろう。
成人男性としての特権に守られて不安感なく夜道を歩いているな、と考えながら歩くわけでもないし、気にしない。

差別はこういう小さな気づけない特権の延長線上にあったりする。

無意識の差別を全く無くすことはできないかもしれないけど、知るだけで変わることもあるので、ぜひいろんな人に読んでもらいたい一冊

77.ふちなしのかがみ

辻村深月さんの短編集
色んな作品があるけどこれはホラー

学校の怪談系から不可解系までバリエーションに富んでいて面白かった。

巻末の作者コメントで、「これを読んでくださっているあなたが、できれば今、後ろめたい気持ちでありますように。」とあって、
後ろめたさというか、こっくりさんみたいなイケナイ遊びをしてしまった時のような感覚を刺激されてよかった。

78.身近な疑問がスッキリわかる理系の知識

サウナは100℃もあるのにどうして火傷をしないのか、なんでカミナリはジグザグに落ちてくるの、というような身近な疑問を一問一答形式でどんどん答えていく本

軽いウンチクとか好きな自分は気軽に楽しく読めた。
普段から気になったことはその場で検索しがちだけど、気にもならなかった事柄を、疑問として受けることができてよかった。

79.目からウロコの木のはなし

これはめっちゃ面白い。
きっかけは著者のツイートがちょくちょくTLに流れてきたこと。木に関する小話をツイートしてて面白い。

木にフォーカスした小話が50 話ほど収録されていて、木についての間違った常識を訂正したり、木材や林業について素人向けに紹介するような内容
新聞か雑誌かで定期連載されているような内容で、1話3ページ程度なので気軽に読める。

先述の「身近な疑問がスッキリわかる理系の知識」では幅広い疑問に答えていたけど、今回は木の専門家が木にフォーカスして話してくれているので素人向けながらも深くて面白い。

なかでも「年輪を見ると方角がわかるというのが嘘」とか「林業がなぜ必要か」「日本における木造建築の歴史」あたりの話が面白かった。
あと、仕事柄、金属や樹脂は扱うことが多いけど、木材は扱うことがないので、材料としての性質について興味深く読めた。

80.工業デザインのための材料知識

大学の頃の教科書として採用されていたものを読み物として再読
「目からウロコの木のはなし」を読んで材料性質に幅広く触れたくなって読み直した。

デザインは絵を描いて終わりでは無く、どのように作られるかまで考える。最低限の材料の知識がなければどんな加工があるか、どんな材料が適しているかを考慮したデザインはできない。

この教科書の面白いところが、「やってみよう」みたいな実験コーナーで、樹脂を燃やして煙の違いやにおいの違いを実際に感じて学べるようになっているところ。

実際にやってはいないけど、生で経験すると記憶に残りやすい。自分も業務で扱ったことのある素材とそうでない素材では解像度が結構違う。

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