1年間、ありがとうございました!
おはようございます!
毎週ご高覧いただきありがとうございます!
2023年9月24日(日)より、54週連続 毎日曜日更新
1年間休まず続けてこられたのも、ご高覧いただきました皆さまのおかげです
改めてお礼を申しあげます
最初の投稿冒頭で
「37年間の教職、6年間の校長経験をふまえて、後期中等教育(高等学校)の可能性、方向性、課題について、特に「授業改善」と「教員の働き方改革」を中心に思うところを綴りたいと思いno⁺e をはじめてみました
お付き合いいただくとともに、一緒に考えを拡げ深め合っていっていただければ大変嬉しく思います」
と記し、以下の6つの大テーマと7つの小テーマについて拙論を展開してきました
1)教員の働き方改革と一体にした授業改善をめざすカリキュラムマネジメントについて(1)~(7)
2)総合的な探究の時間を創る(1)~(6)
3)教員研修を創る!(1)~(7)
4)教員の働き方改革への提言(1)~(6)
5)コロナ禍の高校生(1)~(8)
6)「地域に根ざす社会科教育」から社会科教育の現在地を考える(1)~(9)
7)やはり「教員の働き方改革」の劇的な改善への思い(1)(2)
8)3つのポリシー ~後期中等教育諸学校はもっと真剣に取組まなければならない ~
9)再び「教員の働き方改革」 ~ 大阪府の取組みを例に ~(1)(2)
10)「教員の働き方改革」~ 高校の部活動を考える ~
11) 今こそ、教科外教育活動を大切にしたい
12) 文化祭 「垂れ幕」に込めた思い(1)(2)
13)「パレスティナ問題の起源」について学んできたことを書き綴る
少しは当初の目的を達成することが叶ったでしょうか
2024年9月23日付け「朝日新聞DIGITAL」に、私が尊敬してやまない 京都大学 大学院 教育学研究科 教育方法学研究室 教授 西岡 加名恵 先生が『混乱招いた「意欲」の評価 次期学習指導要領では「観点見直しを」』のタイトルでインタビューに次のように答えられています
評価の3観点「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」のすべてを教科に盛り込んだことが、混乱を招いた部分があります。
すべての教科で、自らの学習を調整し、粘り強く「主体的に学習に取り組む態度」を見て成績づけするとなると、先生方も子どもたちも苦しい状況に陥ります。各教科で、子どもたちが自ら独自の問いを立てて探究するには、時間も足りません。
どうしていいかわからず、挙手や発言の回数、板書を写したノートの提出、毎時間の振り返りなど、保護者にも説明しやすい「意欲」的なデータを取って成績づけしてしまう例も見られます。
教科については、「知識・技能」「思考・判断・表現」の2観点に統合することを提案します。
大切なのは「パフォーマンス課題」です。板書して一方的に講義する形式で知識・技能を教えて、いきなり総合的な学習で自ら課題を設定して探究せよと言われても、手も足も出ない子どもたちがたくさん出ます。
例えば、中学地理で、各国の産業に関する知識と輸出量などの資料を活用した学習をする。その後、生徒自身が自動車会社の海外事業展開部のチームの一員だと仮定し、地理的条件を踏まえて事業展開をどこの国ですればよいかを考えるといった「パフォーマンス課題」を、教師が与えます。こうした課題で教科の学びを深め、思考・判断・表現を見る。
注意して欲しいのは、「パフォーマンス課題」は、発展的な付け足しと考えて宿題などにするのではなく、むしろ単元の中心に置き、しっかり教科の理解を深めることです。知識・技能はそのために必要な内容として教え、テストなどで確認することができます。
その上で、総合的な学習や探究的な学習で、主体的に学習に取り組む態度を身につける。
現行学習指導要領において西岡先生が主張されてきたことがわかりやすく整理されています
私が、
1)教員の働き方改革と一体にした授業改善をめざすカリキュラムマネジメントについて(1)~(7)
4)教員の働き方改革への提言(1)~(6)
を中心に論考を展開してきたエビデンスのひとつがここにあります
また、学校全体(全教科科目、教科外教育活動の総て)で、「ディプロマポリシー(グラデーションポリシー)」の共有と実践を進めていくことの重要性も訴えてきました
これは、関西学院大学 高等教育推進センター 教授 時任 隼平 先生のご助言のもとに、私が校長として実践してきた、大阪府立箕面高等学校・大阪府立東百舌鳥高等学校でのマネジメントにエビデンスを求めています
私は、校長時代、授業から離れて久しいのですが、「先生方と一緒に授業づくりをしたい」という思いを語り続けてきました
「授業改善」は、私のマネジメントのキーワード(教諭・首席時代も含めて)です
これに関連して
2024年9月27日付け「朝日新聞DIGITAL」に、千葉大学 特任教授 天笠 茂 先生が、『次期学習指導要領の改訂 現場にどう伝えるか、教科書も議論を』のタイトルでインタビューに次のように答えられています
実際のところ先生方は、教科書会社が編集し検定を通過した教科書や準拠した教師用指導書を見て授業をなさる。さらに、教材会社などが作った副読本をはじめワークブックなどを利用し、子どもたちの評価に用いることもあります。日本の学校教育は、学校の先生方をはじめ、文部科学省や教育行政関係者とともに、こうした教科書会社、教材会社などの一連の人々も関わることによって成り立っている。これら様々な関係者をつなぐものとして学習指導要領があるわけで、その趣旨や基準の共有が大切になってきます
いまの教科書や教師用指導書は、経験の浅い先生方に配慮して丁寧に作られています。ただ、その丁寧さがかえって先生たちの指導力や成長を阻むことになっていないか。考え直さなくてはならないところもあると思われます。
では、現場の先生方が自身の成長と「授業改善」のために必要なことは??
――学習指導要領や解説を読まない先生もいらっしゃるという声もあります(インタビュアー)
これについては、学習指導要領の内容を学校現場に伝える仕組みを理解する必要があります。
「ゆとりの時間」が生まれた1977年の改訂にあたり、小学校では学習指導要領、現在の「解説」にあたる「指導書」、そして事例集や指導資料の「教育課程一般指導資料」が公刊されました。この学習指導要領から事例集までの枠組みは現在まで大きく変わっていません。これをどう編成して活用をはかり、学校現場に伝えていくか、改訂のたびに問われてきました。
その後の経過で、教育課程の編成の基準を示すことと、趣旨を説明することにおいて、学習指導要領と「解説」の関係に関心が集まり、今日においては「解説」の分量の多さを指摘する声が聞かれます
僭越ながら、様々な教育関係者をつなぐ「学習指導要領」とその「解説」を読み込み、発達段階に応じた教育内容の趣旨、その理念と学習内容の深い理解をもとに、日々の授業づくりをされている先生方はどのくらいいらっしゃいますでしょうか
さらに、僭越ながら、国研(国立教育政策研究所)の『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』を参考にして、学習評価の基本的な考え⽅や、評価規準の作成及び評価の実施を学んでいらっしゃる先生方はどのくらいいらっしゃいますでしょうか
1年間の総括として、ここ一週間の「朝日新聞DIGITAL」に掲載されていた西岡先生・天笠先生のインタビュー記事を紐解いて後輩の先生方に伝えたかったことを記させていただきました
何かのきっかけで、現場の生徒たちや先生方が幸せになっていくような議論が拡がればと願います
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします