目の前の情報は限られている。さあ、どうする?
「うわー、そのカード、今出てくる?」
たった今山札からめくられて場に置かれたカードを見ながら、Aさんは頭を抱えました。
遊んでいるのは、「宝石の煌めき」。宝石カードを買い集めるボードゲームです。それぞれのカードには得点が割り振られており、各プレイヤーが集めた得点の合計で勝敗が決まります。
カードの中には、もらえる点数の割に簡単に買えちゃうお買い得なものもあれば、逆にあまりコスパがよくないものもあります。また、集める宝石の種類 - ルビーが欲しいのか、サファイアを狙うのか - も重要。手持ちの宝石の組み合わせがその後のお買い物の鍵となるうえ、ボーナス点にもかかわってきます。
そんなわけでプレイヤーは欲しいカードに狙いを定めるのですが、宝石カード90枚中、一度に売り場に出ているのは12枚のみ。残りは山札の中に隠されていて、場のカードを補充するタイミングで初めて表に返されます。
たとえばエメラルドを集めたいと思っていたとして。場にはエメラルドのカードが出ていますが、手持ちのカードとの相性や点数を考えると、そこまで魅力的ではありません。
「いま出てるカード、そこそこだなぁ。今回の手番ではカードは買わずに、買い物の原資になるトークンを増やしておこうかな。でもエメラルドは早く揃えたいし、やっぱりあのカード買っとくかぁ、トークンはけっこう払うことになるけどしょうがない、、、」
などとぶつぶつ呟きながらエメラルドのカードを買い終え、代わりに新たなカードを場に補充してみると、なんとそれはトークンを1枚も払わずに買える上に得点も高いエメラルドだった!それがわかってたらもう少し待ったのに・・・
なんてことが起こり得るわけです。
もちろん、逆のパターンだってあります。奮発して買ったエメラルドがその直後から大活躍し、「やっぱりあの時買っといて正解だった」という結果になるかも知れません。
どちらに転ぶかは運次第。私たちは先が見えない中、限られた情報を便りに行動を選ぶことになります。
その点、ゲームと人生って似ていると思いませんか?
人生やビジネスだって、限られた情報をもとに判断しなければいけないことだらけですよね。新規事業に手を広げるべきか、コア事業を固めるべきか。転職か、今の会社でのキャリアアップか。結婚や出産のタイミング。賃貸と持ち家。引越し先。コロナの影響がまだまだ続くとみるのか、もうすぐ収束する前提で動くのか。
「宝石の煌めき」に限らず、ゲームも情報が限られている場面だらけです。他プレイヤーの手札が見えない。山札に隠れているカードが読めない。次にどんなサイコロの目が出るかわからない。正体隠匿系ゲームだと、味方の人数がわからないことだってあります。
それなら勝敗も運次第かというと、そんなことはなく。強い人は何度対戦してもやっぱり強いし、日本選手権や世界選手権が存在するゲームだってあります。
じゃあ私たちはどうやって、先が見えない世界をわたっていけばよいのでしょう。
ひとつには、「決断」をくりかえし、その結果から学ぶことでしょう。
人生の決断では、結果がわかるまで数ヶ月とか数年単位で時間がかかりますよね。その点ゲームでは、自分の一手が吉と出るか凶と出るか、ものの数十分から数時間もあれば決着もつきます。「限られた情報をもとに決断をくだし、その判断について答え合わせをする」経験を、短いスパンで何度でも繰り返せるわけです。
決めるのが苦手、不確定要素があると延々と迷ってしまう、という方は、ゲーム会で「決断する練習」をしてみてはいかがでしょうか。
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