そら豆
東京の春は、花見をするのにも、上着が必要で、少し肌寒い。
肌寒さを感じながら、桜を見上げて、春が来たと、みんなで楽しむ。
春が終わると、つつじが咲いて、木々が新緑に色づき始める。
通勤であれ、レジャーであれ、外に出れば、なんとはなしに、移ろいを感じるが、
今年ほど、春から初夏への移り変わりを感じない日々もない。
とはいえ、季節が移っていくのを感じることができる。
例えば、そら豆だ。
物語のはじまりを告げるように、春から初夏への変わり目に現れてくれるのがそら豆だ。
そら豆は、ゆでるだけで食卓を彩る。
彩るだけではなく、薫りが最高だ。
豆本来の臭みというのか、独特のにおいが薫る。
食事の初めに、そら豆を食べて、これがやがて夏へと移れば、枝豆に変わるのだと思えば、それが、一つの豊かさだ。
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