【問29】何が終わり、何が始まるのか

 大学はオンライン授業が続き、部活などもない。この状況では、自然と自分との対話の時間が増える。そこで、「人と比べて生きる」が終わり、「前の自分と比べて生きる」が始まっていると感じる。

 今までの人生の中では、「偏差値」「順位」「代表選手」「ポジション争い」・・・などと、ほとんどの場面で人と比べて自分を奮い立たせていた。人に負けないといった気持ちを持つことで、結果として自分が成長することも多々あるので良い面もあるのだが、こうして人と比べるような習慣が身についてしまうと比べなくてもいいときに人との比較を自然としてしまう。人との比較が数値や指名でで明確にされてしまうと、「昨日の自分を超える」といったことを意識したところで、脳が勝手に「人に負けるな」という指令を出していた。

 ところが、最近は人と比較する要素が減り、昨日の自分・一週間前の自分・一か月前・数か月前の自分、との比較の方が多くなっている。この「前の自分と比べる」ことは、本やその他の媒体から様々な考えを学ぶ中で徐々に身についてきた面もあるが、やはり一番は今の状況が人と比べる要素が格段と減っていることであると思う。そこで、今後、生活様式が元に戻り始めたときにも「人と比べて生きる」のではなく「自分と比べて生きる」ことが継続できるかがポイントになると思っている。

 「自分と比べて生きる」ことで感じる最大のメリットとしては「気持ちの波が小さくなる」ことである。

 他人と比べてしまうとどうしても「その人の優れている面」と「自分の劣っている面」を見てしまう傾向がある。また、比較対象も上から下まで非常に広範囲であり、比べる対象を変えることで無数の捉え方が生まれ、切りがない。結果ばかり気にするようになる。

 しかし、自分と比べると、以前の自分よりは成長していることを感じられることが多く、もし前より落ちている・成長していないと感じてもそこから成長するための努力にはあまりストレスを感じない。むしろ、自分が成長していることを感じることができ、成長のプロセス自体に喜びを感じる。

 これによって、感情の波が減少し、思考もポジティブに変わっていく。

 「人と比べて生きる」が終わり、「前の自分と比べて生きる」が始まっている。

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