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ITシステム開発初期段階における上流工程の空白。

重要度が高く緊急度の低い仕事は、障害者雇用と相性がいいかもしれない。
それをITでやれば、高度な仕事を作ることができる。
前回のインタビュー記事では、そんなことを話しました。

では、実際の運営はどんな感じなのでしょうか?

↓全4記事へのリンクはこちら
障害者雇用でDX推進って、どーゆーこと? 【社長×副社長対談】(第3弾・1/4)
重要度が高く、緊急度の低い仕事をやる。 【社長×副社長対談】(第3弾・2/4)
ITシステム開発初期段階における上流工程の空白。 【社長×副社長対談】(第3弾・3/4) ※本記事
顧客のゴールそのものを受注すること。 【社長×副社長対談】(第3弾・4/4)

(執筆:ミッションパートナー ちひろ)

志高くスタートしたJPTの一年を振り返って、実際の運営はどうでしたか? 当初のコンセプトどおりに業務は進んでいったのでしょうか。

(成川)
正直なところ、打率は4割といったところです。

緊急度と重要度のバランスに関しては、実はそれなりに緊急性のある仕事だったり、依頼を受けた仕事がさほど重要ではなかったりすることもありました。納期やクオリティに関して、顧客の要望を満たせなかった反省点もあります。

逆に、成功したプロジェクトもあります。
「この仕事は、日揮グループに対してITの分野で価値を提供できた」と自信を持って言える仕事です。

1つは、もともとグループ企業が古いシステムを使って管理していたものを、新しくクラウドベースのWebアプリに置き換える仕事です。
いずれ使えなくなったであろうシステムをリノベーションすることで、生産性や保守性を向上させることができました。

すでに古いシステムがあるので、とりあえずの緊急性はなく、それでいていつかは着手しないといけない重要な業務でした。

別の事例では、機械学習などのデータサイエンスを事業適用する取り組みをサポートする仕事も継続して依頼をいただいています。

1人で1プロジェクトを担当するということでしたが、依頼を受けて開発したシステムを、今後もずっと1人の社員で見ていくということですか? それとも、単発で終わるような種類の業務なのでしょうか。

(成川)
JPTの社員は、就労移行支援などでスキルは身につけているものの、全員が実務未経験のエンジニアなんです。
だから実際は、いきなり上流から下流まですべての工程を担当するということは難しい。

そのため、初期にあたる今の段階では、開発部分のプログラミングだけを担当できるのがベストです。
依頼元の部門にIT担当の人がいて、開発の上流工程にあたる部分を担当してもらい、運用と保守はできればその人に引き継ぎたいというのが本音です。

(阿渡)
実際、それはなかなか厳しいんですよね。
IT部門から依頼を受けているならまだしも、人事部門などからの依頼だと、部門としてITに精通している人がいない場合が多い。

運用や保守もそうだし、上流工程の要件定義、設計などが空白になりがちなんです。

顧客と開発者の間に立つ、翻訳担当がいないんですね。障害者雇用の現場のみならず、他の技術職でもありそうな問題ですが、解決への道筋は見えてきているんでしょうか?

(成川)
最初の8ヶ月間は、社員たちが、わからないなりに模索しながら進めていきました。

でもそれではやはり限界があり、2021年12月に外部のテクニカルアドバイザーに入ってもらうことになりました。

ITシステムの開発における流れをレクチャーしてもらい、実際の開発には手を出さないでもらって、そこは社員が責任を持って担当します。

アドバイザーに入ってもらってから、仕事がぐんとスムーズに運ぶようになりました。
おかげで、社員もずいぶん成長しています。

今4割しかない打率は、将来的に7割くらいまで上げたいと思っています。

→次回「顧客のゴールそのものを受注すること。 【社長×副社長対談】(第3弾・4/4)」に続く

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