アクセシビリティから考える、誰もが参加できる社会 第5回ミッション研修レポート
「真っ暗闇体験」がつないだバトン
ダイアローグ・イン・ザ・ダークで真っ暗闇体験をした前回のミッション研修。
私たちはそこで
・全盲の方の世界って、こんなふうになっているんだという体感
・声に出して自分の位置や状態を発信し、コミュニケーションをとる大切さ
・「情報」を得ることの難しさと、アクセシビリティの重要性
そんな気づきを得ました。
研修終了後、参加者のおひとりから「友人に杉崎さんという全盲のプログラマーがいる。お話を聞けると全盲の方をより身近に感じたり、業務について新しい発見があったりするのでは」とのお話があり、ぜひ次(第5回)のミッション研修にお招きしたい!と今回の企画に至りました。
(執筆:ミッションパートナー あきこ)
杉崎さんってどんな人?
情報があふれる社会における、アクセシビリティの重要性
晴眼者で、プログラミングの知識も経験も全くない私にとって、杉崎さんの話は「初めて知ること」が盛りだくさんでした。
画像化されたホームページには文字情報がなく、何が書いてあるのか分からないこと。
最後に出てくるパズル認証によって、確認に進めないことが何度もあったこと。
特に「アクセシビリティの良し悪しでチームから疎外される人がいる」というお話にはショックを受けました。
障害者がグループウェアを使えないときに、「じゃあこの人も参加できるようにグループウェアを改善しよう」ではなく、「グループウェアが使えなくてもできる仕事を与えよう」という方向に周囲が動く…
こんな悲しい話はありませんよね。
でも、杉崎さんにとっては「身近に起こりうること」。
なんでもスマホやネットで行う現代社会において、情報を得られないことの厳しさや障壁を感じました。
自分のためじゃなく「みんなのため」に
そうした「壁」を取り除くためには、どうしたらいいんだろうか?
エンジニアである杉崎さんが大切にしているのは、「障害者のため」ではなく「みんなのため」と主語を広げることだそうです。
たとえば、片手でプッシュして適量が出せる洗剤は、赤ちゃんを抱っこしていても使える。
片手が麻痺して動かなくても使える。
高齢者もカンタンに決まった量が出せる。
目を使わなくてもいいから、視覚障害があっても使える。
これは洗剤の例ですが、グループウェアも同じこと。
けして「障害者のため」ではなく、「こうしたほうがみんなが使いやすいよね」と対象者を広げて伝えることでアクセシビリティを「自分ごと」にしてもらい、開発の優先順位を上げてもらえるように働きかけているというお話には、とても共感しました。
JPTは特例子会社ですが、あらゆる人が働きやすく、やりがいを持って働ける状態を目指して制度やルールをつくってきました。
それは、けして「障害者のため」ではなく、すべての人のためだと考えています。
同じ情報を得られることは、対等に働くためのスタートライン
杉崎さんから「アクセシビリティはチームワークの土台」だというお話がありました。
会社組織では、知っておくべき情報がものすごい速度で大量に流れてきます。
その中で「自分だけ」が読み取れない情報があったら?
情報量が同じでないと、チームメンバーとの前提があわない。会話が成り立たない。
私にとっては死活問題です。
いまは、小学生でもグループウェアを利用する時代。
息子(小1)にはクロームブックが貸与されており、クラスの連絡事項や、音読する教科書の画像などが送られてきます。
アクセシビリティはけして障害者のためだけのものではなく、すべての人にとって重要なものであることを痛感しました。
研修を終えて
今回嬉しかったのは、社員の方が「みんなで聞きたい」と杉崎さんを紹介してくれたこと。
ちひろさんの記事にもあるように、JPTのアンバサダー(ミッションパートナー)は仕事を与えらるというより「こんなことをやったらいいのではないか」と自分で何をやるか考え、成川さんとすり合わせながら仕事をつくっていくスタンスで活動しています。
私も、JPTに参加した当初「こういう研修をやったらどうですか?」と提案してミッション研修をスタートしました。
参加してくれる社員の皆さんが「参加してよかった」と感じてもらえるように工夫しているつもり…ですが、自分がやりたいだけの企画になっていないか?
自問自答しながら活動している中で、声を上げてもらって本当に嬉しかったです。
社員から出てきた企画だからこそ、同じ社員の皆さんにとって有意義なものになった、そんな手ごたえも感じることができました。
▼発案者のKさんからのコメントもぜひご覧ください!
発案のきっかけ ~JPT社員Kさんの思い~
杉崎さんは3年前にあるインターンシップに数ヶ月間参加したときの同期です。
チーム活動で私がリーダーを務めたときも杉崎さんがリーダーを務めたときも、同じチームだった彼は本当に頼りになりました。
議論の際は的確な意見を頂けて、アプリ開発の際はプログラミング技術で皆を支えてくださいました。
3年前はプログラミング経験の無かった私がアイデアを実現する力を得るためにプログラマーを志そうと思ったのも、精神的に成長できたのも杉崎さんのおかげです。
皆で様々な場所に遊びに行ったときの、鶏料理と梅酒が大好きな杉崎さんの笑顔は今も心に残っています。
先日ダイアログ・イン・ザ・ダークを体験したことで、そんな尊敬する杉崎さんのエピソードを社員の皆様にぜひ聞いて頂きたいと思いお声がけさせて頂きました。
私がかけがえのないたくさんのことを学ばせて頂いたのと同じように、皆様にとっても素敵な経験となっていましたら幸いです。
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杉崎さん、JPTの皆さん、ありがとうございました!
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