これだけは知っておきたい!「ERPソリューション」
ERPとはEnterprise Resource Planning(企業資源計画)の略であり、企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念となります。これを実現するのがERPソリューション(統合基幹業務システム)です。
ERPソリューションでは円滑な経営判断を行うために企業の各部署に点在する「ヒト・モノ・カネ」の情報を一元的に管理し、企業全体の情報をリアルタイムに把握できるようになることが大きなメリットとなります。
また、業界的にコモディティ化された業務がベストプラクティスとして提供されており、ERPソリューションを導入することで各業務の効率化を図ることができるといったメリットもあります。
欧米では1990年代中頃からERPソリューションを活用したベストプラクティス導入が普及し、日本では1990年代後半から2000年代にかけて盛んに導入が進められました。
ERPソリューションの類型
ERPソリューションは大別してパッケージ型とSaaS型の2つのタイプに分類されます。
パッケージ型ERPは大規模な開発(数億円~百億円以上の開発規模)が必要になることから、大企業を中心に採用されるケースが多くなります。
グルーバル市場では独SAP社や米Oracle社がシェアの上位を占めており、日本国内に限定するとそれらの2社に加え、富士通社やOBIC社などの日系ベンダーのソリューションが上位シェアに食い込んできている状況にあります。
SaaS型ERPはその名の通りパブリッククラウド上で提供されるERPソリューションとなります。
パッケージ型ERPのようにシステム環境を構築する必要がなく、企業の導入方針によってはクイックかつ低価格で利用を開始することができるため、費用が足かせとなってパッケージ型ERPの導入を見送ってきた企業も利用できるところが大きな特徴となります。
下表はパッケージ型ERPとSaaS型ERPの比較したものとなります。
今後の動向
ITR社からリリースされたレポート(ITR Market View:ERP市場2020)では、2018年度時点ではSaaS型ERPの市場規模はパッケージ型ERPの4分の1程度となっていますが、2023年度には市場規模が逆転しパッケージ型ERPの1.5倍になると予測されています。
実際にパッケージ型ERPの雄である独SAP社や米Oracle社も「SAP S/4HANA Cloud」、「SAP C/4HANA」、「Oracle SaaS cloud application suite」などといったSaaS型ERPの提供を開始しており、今後のERPソリューションの主流はSaaS型にシフトしていくものと考えられます。
最後に
本記事では企業の事業運営を強力にサポートする「ERPソリューション」の概要と今後の動向についてお伝えしてきました。これからERPソリューションの導入やシステム更改を行う企業はSaaS型ERPを主軸に検討を進めていくことになっていくものと考えます。その際には本記事でご紹介しました特徴を踏まえ自社のIT戦略に沿ったソリューションを選定していただければと思います。
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