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消えゆく北海道の鉄道

 北海道の鉄道の歴史は1880年に小樽から始まった。三笠の幌内炭鉱から石炭を輸送する目的で敷設されたのだ。次第に道内各地で開墾が進み、主に石炭や木材、農作物の輸送のために縦横無尽に張り巡らされていった。ところが1950年代にエネルギー革命が起こり、石炭の需要の低下とともに数々の炭鉱が閉鎖されると、その輸送を担っていた鉄道も役割を失っていった。ピーク時はおよそ4000㎞あった線路も今では2500㎞程である。

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 現在のJR北海道の路線のほとんどは不採算路線であるが、その中でも特に利用者が少ないとされる路線が、2018年6月に行われたJR北海道と道、国土交通省の三者で行われた協議で発表された。この協議では石勝線夕張支線(新夕張~夕張)、札沼線(北海道医療大学~新十津川)、留萌本線(深川~留萌)、日高本線(鵡川~様似)、根室本線(富良野~新得)の5つの路線の名前が挙がった。この5路線のうち既に石勝線夕張支線(新夕張~夕張)、札沼線(北海道医療大学~新十津川)は既に廃止され、この中で現在(2020年5月)も普通列車が運行されているのは留萌本線(深川~留萌)と根室本線(富良野~東鹿越)だけである。日高本線(鵡川~様似)、根室本線(東鹿越~新得)はバスでの代行輸送となっている。

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 前置きが長くなったが、私は道内で鉄道と風景を絡めた写真を趣味で撮っている。特に先に挙げた路線を中心に撮影している。夕張支線や札沼線の廃線の話を聞くまでは、あまり撮影する路線にはこだわりがなかった。私の出身の関東地方では鉄道の廃線の話などほとんどないので、鉄道が無くなるということ自体あまり考えたことがない。だから別段いつどの路線を撮りに行っても、また別の機会にほかの路線を撮りに行くことはできる訳で、撮影する路線の優先順位など考えたこともなかった。しかし、今の北海道では北海道新幹線の延伸を除けば、線路はどんどん短くなるばかりである。だから私はここから二年後の卒業まで、それまでに廃線になってしまうかもしれないが、留萌本線、根室本線の撮影に取り組んでいきたい。かつて鉄道がここにあったことを後世に伝えるために、なんて言ったら大げさだが、今ある鉄道を記録することが将来きっと価値のあるものだと信じている。

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