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錯誤・詐欺・脅迫どう覚える?(民法)

前回に引き続き、

民法の試験勉強で必ず出てくる
錯誤・詐欺・心裡留保・虚偽表示など
意思表示に関する問いについて

ごっちゃになってしまって中々覚えにくいので、
自分なりの理解の仕方、覚え方をまとめてみました。

錯誤

イメージは、
錯誤=勘違いです。

勘違いには以下2パターンあります。
①表示の勘違い
②動機の勘違い

①表示の勘違いは例えば、
同じマンションで101号室と102号室を所有していたAが、
101号室をBへ売るつもりだったが、
102号室で意思表示をして契約をしてしまっていた
みたいなケースです。

②動機の勘違いは例えば、
ある有名建築家が建てたマンションだったために、
買主Bが売主Aからそのマンションを購入しようとしたが、
有名建築家が建てたというのは買主Bの勘違いであった
みたいなケースです。

勘違いで行った契約は有効?無効?
以下3つの条件を満たしていることを条件として、
勘違いした人(表意者)は契約を取り消すことができます。

・その勘違い(錯誤)が契約行為において重要な事項であること
・その勘違い(錯誤)をした人に重大な過失がなこと
・動機の錯誤の場合は、その錯誤が契約の意思決定で重要事項であること

※取り消さずに有効のままにもできます。
※取り消す選択肢を持つのは表意者のみです。
※心裡留保・虚偽表示はそもそも取引意思が最初から存在しないが、
錯誤の場合は、自分の意思で一旦取り引きをしているので、
「無効」ではなく「取り消す」という扱いです。

第三者がいるケース
勘違いを元に取引が行われてしてしまった不動産について、
その事情を知らないCがBからマンションを購入した場合、
Cへも契約の取り消しは効力が及ぶのでしょうか?

結論、事情を知らなかった(善意)のCへは
取り消しの効果は及びません(対抗できない)。

ただし、錯誤には当事者保護という意向が強く、
Cが事情を知らないことに過失がある場合には
CへもAB間の契約の取り消し効果が及びます。

詐欺

イメージはそのまま
詐欺=詐欺(騙されて契約をさせられた)です。

例えば、
Aが知人Bに騙されて自分が持っている不動産を知人Bへ売ってしまった
みたいな感じですね。

騙されて行った契約は有効?無効?
騙されてしてしまった契約について、
騙された人(表意者)はその契約を取り消すことができます。

※取り消さずに有効のままにもできます。
※取り消す選択肢を持つのは表意者のみです。
※詐欺の場合は、自分の意思で一旦取り引きをしているので、
「無効」ではなく「取り消す」という扱いです。

第三者がいるケース
AがBに騙されて、Bへ不動産を売ってしまった。
Aは騙されたことに気づいて契約を取り消したが、
既にBが事情を知らないCへ売ってしまっていた。
このとき、
AとBの間の契約取り消しの効力は、
Cにも及ぶのでしょうか?

結論、事情を知らなかった(善意)のCへは
取り消しの効果は及びません(対抗できない)。

ただし、詐欺にも当事者保護という意向が強く、
Cが事情を知らないことに過失がある場合には
CへもAB間の契約の取り消し効果が及びます。

第三者がいるケース(番外編)
BがAを騙して、Aの不動産を何も知らないCへ売らせたという場合、
Aはこの契約を取り消せるのでしょうか?

結論、事情を知らなかった(善意)のCへは
取り消しの効果は及びません(対抗できない)。

よって、BとCがグルであれば取り消せるが、
Cが本当に何もしらなかった場合には取り消せないということになります。
(Cが知らないことに過失があれば取り消せます)

強迫

これもイメージはそのまま
強迫=強迫(誰かに強制的に契約を強いられる)です。

例えば、
怖い先輩Bに強迫されてAは自身が所有していたマンションを先輩Bへ売らされた
みたいな感じですね。

強迫されて行った契約は有効?無効?
強迫されてしてしまった契約について、
強迫された人(表意者)はその契約を取り消すことができます。

※取り消さずに有効のままにもできます。
※取り消す選択肢を持つのは表意者のみです。
※強迫の場合は、自分の意思で一旦取り引きをしているので、
「無効」ではなく「取り消す」という扱いです。

第三者がいるケース
AがBに強迫されて、Bへ不動産を売ってしまった。
Aは強迫されたことを理由に契約を取り消したが、
既にBが事情を知らないCへ売ってしまっていた。
このとき、
AとBの間の契約取り消しの効力は、
Cにも及ぶのでしょうか?

結論、第三者のCが強迫の事実を知っていたかどうかに関わらず、
AとBの契約の取り消しは、Cへも効力を持ちます。

錯誤や詐欺以上に、強迫された者を
民法では非常に強く保護していることが分かります。

まとめ

◾️当事者間
心裡留保=冗談・・・・冗談だと気づかず、そのことに過失がない時に限り有効
虚偽表示=共犯詐欺・・契約はそもそも無効
錯誤=勘違い・・・・・契約は取り消し可能
詐欺=詐欺・・・・・・契約は取り消し可能
強迫=強迫・・・・・・契約は取り消し可能

◾️第三者へ
心裡留保=冗談・・・・第三者が事情を知らなければ、無効にはできない。
虚偽表示=共犯詐欺・・第三者が事情を知らなければ、無効にはできない。
錯誤=勘違い・・・・第三者が事情を知らず、過失もない場合、無効にできない。
詐欺=詐欺・・・・・第三者が事情を知らず、過失もない場合、無効にできない。
強迫=強迫・・・・・第三者が事情を知らず、過失がなくても、無効にできる。

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