公助がない国におけるNGOの必要性
こんにちは。ネパールで農業関係の仕事をしています。
2月後半から忙しくなることを前に、なかなか行く機会がないネパール西端のエリアへ行き、あるローカルNGOの活動を拝見してきたのでそのあたりについて書きます。
片道21時間のバス旅を経てネパール南部西端エリアへ
今回訪れたのはDhangadhiというエリアです。
カトマンズから700kg弱、今回は片道21時間ほどかかりました。
もちろん飛行機もあるのですが、バス移動で疲れたりするタイプではないので今回はバスで行ってみました。
(道中はかなり激しいので、私はぐっすり眠れますが基本的にはおすすめしません)
バックパッカーならまず行かない。ネパール人でもなかなか行かないローカルなエリアです。
西南に位置しているためインド国境と接しており、双方の国からの出稼ぎなどによる往来もよくあるエリアです(インドーネパール人は双方の国境をビザなしで渡ることができます)
21時間もかけてネパール西端エリアへ来たのだから、さぞ町の違いにびっくりするかと期待しましたが、過去に行った南部のエリアと景色が似ていて、個人的にはあまり新鮮味がなかったのが第一印象です。
ネパール南部西端エリアが大して南部エリアと変わらないことを認識して、今回の主目的であるローカルNGOを訪問させていただきました。
低所得世帯や障害のある女性、シングルマザーを対象に現地のお土産を作って収入増加を図るプロジェクトをやっているNGOです。
活動自体は他のNGOと大きく変わるわけではないため詳細は書きませんが、こういった活動はネパールのような国では未だに必要性があると感じました。
社会保障制度が貧弱なため自助・共助が必要
NGOによる低所得者支援が必要な理由として、一番大きいのは社会保障制度がないことです。
日本であれば生活保護、障害者手当、年金、国民健康保険などの社会保障制度がありますが、ネパールではこれらがいずれもありません。
低所得世帯や障害のある女性、シングルマザーなどは特に上記のような社会保障制度があれば利用する機会が多いかもしれませんが、そういったものはないため、彼女たちが取り残されたないためには共助や自助で乗り越えていくしかないのです。
そして、その自助や共助の手助けを行えるのがNGOやNPOのような非営利団体だと思います。
そもそもネパールは会社自体が少ないため、社会的弱者と言われるような人でなくても仕事を見つけることは容易ではありません。
そう言った人にとっては海外への「出稼ぎ」が有効策となり得ますが、それができない社会的弱者は公助の仕組みがない中で生き抜いていかないといけないのです。
ビジネス領域のプレイヤーがもっと必要だが、ソーシャル領域も蔑ろにはできない
ネパールが発展できない構造的な理由として、株式会社よりも国際機関や国際NGOの方が給与が高いため、優秀な人がビジネスセクターに流れにくいということがあります。
そのため基本的にはその構造をどうにかしないといけないと考えているのですが、それでソーシャルセクターの人材が蔑ろにされていいかと言えばそうではないと思います。
ネパールや諸外国の格差拡大を見るとトリクルダウンは起きそうにありませんし、公助の仕組みがないため税収が社会的弱者に使われることも期待できません。
そうなると社会的弱者の受け皿としてNGOやNPOなどのソーシャルセクターの活動家が必要になり、ネパールという国の底上げを行っていく上では彼らの存在は必要不可欠だと思います。
「寄付があるからそれに依存する」というのはよくある話ですが、少なくとも自ら収入を生み出している今回のような活動自体は、寄付者への依存度は低いと思います。(国がそういった問題へ対処をしないことで国が寄付へ依存をしているという見方もできますが)
ビジネスと開発。この二つはネパールで併存している課題であり、そのどちらもが優先されなければいけません。そのためにも、まずは年間100万人とも言われている出稼ぎをいかに食い止めて国内雇用を作っていけるかが喫緊の課題と言えそうです。
今日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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