ラベンダー事件

2023.10.11


特筆すべきことはない。今日はこれに尽きる。そう書こうと思ったけど、(書いたけど、)
事件はあった。

家の植木が誰かによって切り取られていた。今朝起きると母が俯いて悲しんでいて、話を聞くと、ラベンダーの花が切られていたという。二つ花が咲きそうだったのに、見れなかった、と母は言っていたが私が気掛かりなのは"切られた"ということだった。そのラベンダーが置いてあったのは、家の外で道に面している敷地内であり、植木鉢で育てられていた。今は玄関内に持って来られていたが、確認すると根本からハサミでちょん切られていた。子どもが悪戯に引っ張るのであれば、ハサミは使わない。わざわざハサミを持ってきて、犯人は切り取って行ったのだ。

母は、花のことを心配して悲しんでいるのであったが、私は怖くなった。誰かが故意にこの家の植木を選び切り取ったということ。誰かが恨みを持ってやったのか、どこの家の花でもいいから切り取ってみたくてやったのか、どうしてもその花が欲しかったのか。どれを考えても、その行為は良くない何かが裏にあるように思えた。ある時にテレビのニュースで専門家の人が言っていた、動物への無差別な殺傷事件は、人間への無差別殺人の実験的段階であったり、そういう計画的な犯行でなくても、好奇心から人間を殺すという行為へと発展する、というような話が頭をよぎった。いずれにしても、ハサミを持ってわざわざここへ来た、ということが怖かった。

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それでも、そのことばかり考えていられない。生活は、時間は進む。頭の片隅にずっとラベンダーのことがあったが、仕事が忙しくなるにつれて、いつしか考えなくなった。

しかし、今、これを書き始めて、改めて、おかしいな と思うのだった。


犯人は、うちの花であることにこだわりがあるのか、それとも、ラベンダーにこだわりがあるのか。


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明るい話を書くとするならば、ダフトパンクの音楽が好きだ。いつしかエレキギターの音だけで、旋律をなぞるだけでもいいから、カバーしてみたい。

彼らの音楽を聴くと、街の風景が艶やかに見える。




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