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心のレストラン
いつの間にか日本テレビの24時間テレビが今年も終わっていた。
時代と共にその内容は変化し、小さい頃私が楽しみにしていた番組ではなくなってしまった。
現在はその内容が果たしてチャリティーとして意味があるものかわからないマラソンや、某アイドル事務所のアイドル同士の手紙でしらけてしまい、それからは見ないことにしている。(番組に出る前に事務所、やることあるだろって思う。)
以上は私の個人的な意見だけれど、この番組を楽しみにし、励みになったり、勇気づけられたりする人がいるのもまた事実である。私も番組は見ないが、街中で『愛は地球を救う』のステッカーが貼ってある福祉車両などを見かけると、皆さんの善意が色々な形で役立っているのだなと感じる。
話は変わるが、私はヨーロッパの国を色々旅したり住んでみたときに、路上でお金を恵んでもらっている人の多さに衝撃を受けた。
特に忘れられないのが、ポルトガルのジェロニモス修道院で見かけた女性。
服装から移民の人だと推測したが、両足がまるで象のようにパンパンに腫れており、鬱血した紫の足は裸足だった。きっと誰かに支えてもらわなければ1人では歩けないだろう。1日そこに座って観光客からお金をもらい、生活の糧を得ていたと思う。
フランスでもあちこちでそういう人を見かけたが、ずいぶん長いことヨーロッパに行っていないので、もしかしたら現在は状況が違うかもしれない。
そんな時、フランス語の授業で『Les Restos du Cœur〜心のレストラン〜』について勉強をする時間があった。
ふーん、フランス版の24時間テレビね、と思っていたけど、その志はもっと高く、その映像を食い入るように私は見入ってしまった。
この心のレストランについてわかりやすく解説された文章がある。フランス在住日本人向けのOVNIという雑誌の記事だ。
2010年の記事だが、私が見た映像は、この記事にあるチャリティーコンサートだった。フランスの名だたる歌手がボランティアで参加し、CDの売り上げをチャリティーとして寄付する。またこの活動によって法律まで作ってしまうのだから、フランス人のこういうことへの俊敏さはいつも感心する。
私が以前フランスで訪れたエイズ患者のための施設も、篤志家からの寄付で成り立っている。昔からこうしたチャリティーが根付いている国なのかもしれない。
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心のレストランでもう一つ思い出したチャリティーがあった。
2015年のミラノ万博開催時、イタリアの星付きレストランの超スターシェフたちが、廃棄される食材を使い、ホームレスや失業中の人に料理を振る舞うという番組を見た。
そもそもこのレストランの開催のきっかけはローマ法王フランシスコからの一本の電話だった。2015年ミラノ万博のテーマは「地球に食料を、生命にエネルギーを」であり、法王フランシスコは貧困に苦しむ人々を料理の力で救えないかとボットゥーラ(有名シェフ)に相談したのだ。キリスト教の「喜捨の精神」に基づく共通理念の下、ボットゥーラには多くの人々や申し出が集まりはじめた。アンジェロ・スコーラ・ミラノ大司教と慈善団体カリタス・アンブロジアーナは、荒れていたミラノの教会をボットゥーラに無償提供し、多くの建築家や企業の協賛によって地元の恵まれない人々に無償で料理を提供する食堂「レフェットリオ」として生まれ変わったのだ。
硬くなったパンや熟しすぎて捨てるしかないバナナを、シェフたちはあっという間に美味しい料理に変えていく。
そこに集まってくる人たちは、毎日の食事も難しい中でこのレストランに招待され、最高のサービスを受けており、料理の味もさることながらそのおもてなしに感動していた。
フランスもイタリアのどちらも食に関するチャリティーだが、食べることは心と体の栄養となり、明日への活力につながる。こうしたチャリティーの方法もあるのだなぁと感じる。
チャリティーで大切なことは、継続して支援をしていくことだと思う。
フランスの心のレストランも、日本の愛は地球を救うも長きに渡って活動している良い例である。
だが残念なことに、日本の番組に心から感動することがなくなった。
きっと素晴らしい活動をしている人たちもいる、頑張っている姿を見せたいと参加されている障がい者の方もいらっしゃる。
しかし全然見たい気持ちにならないのはなぜなのだろう。
私の心の栄養が足りていないのだろうかと毎年思う8月の終わりである。
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