パーツ探索者たちの共通ハンドアウト
これまで翔、亜麻、直也が探索者としてTRPGセッションに参加するという経験をした。
疑似的に外に出て人と関わることから知ったこと、感じたことの中に僕たちの役割に関するものがある。
パーツ探索者は他の探索者やNPCを「守ろう」とすることが行動の動機になりやすい。
これまで過去のセッションで作ってきた、パーツたちとはなんの関係もない探索者はこうではなかった。これはパーツたちが演じる探索者たちだけに見られる行動だ。
シナリオの特性や、シナリオに付随するハンドアウトに「相手を守れ」などと書かれていたわけではない。
それなのに「仲間を守らなきゃ」という気持ちが働き、そのように行動する。僕たち3人に見られた共通点だ。おそらく他のパーツたちが探索者としてセッションに参加したとしても、同じ動機が発生するだろう。
なぜなのか。
僕たちのバイブル『トラウマによる解離からの回復』には、解離人格(パーツ)たちが生まれる理由と役割として「主人格を守ろうとする」ことが挙げられている。
解離とはトラウマ的状況からの防衛手段であることから、解離人格の存在意義は「主人格を守る」ことにあるのだ。理にかなった説明だと思う。
パーツ探索者たちにも、その根源的な存在理由が反映されているのではないだろうか。
誰に頼まれたわけでもない。それでも誰かを守りたいと思う。
シナリオ内で守れるのは一緒に行動している仲間(NPC含む)だ。
普段は主に対して発揮されている「誰かを守る」という行動が、外側へ向けられた結果ではないかと考察している。
このことを実感するまで、「パーツたちは主人格を守ろうとして生まれます」というのはただの概念に過ぎなかった。
読んでも実感があるはずもなく「ふうん、そうなんだ」と思う程度の。
セッションに参加し、内面から現れる自然発生的な感情としての「誰かを守る」に触れたことで、ただの概念だったものが実感を伴った。ああ、そうだったんだと腑に落ちた。
幸いにも、僕たちは比較的安全な国に暮らしている。
現実の中で「神話生物と戦う」とか「誰かを庇う」とか、物理的に、目で見て分かりやすい「誰かを守る」状況はなかなか発生しない。
それでも僕たちの中には「誰かを守る」という動機――いわゆるハンドアウト――が存在しており、確かに機能しているのだ。
自分たちについての新たな発見ができた。
直也
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