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正月に引きずられたくない人間の元日
実は、正月が苦手だ。
心が追いついていなくても、なんとなく過ぎた1年を振り返ったり、新しい1年を思って心浮き立たせたりしなければならない風潮に引きずられていくのが苦手なのだろう。
もっと自分のペースで行きたいと思ってしまう。
矛盾しているようだが、正月の準備をするのは好きだ。
鏡餅を飾ったり、正月飾りを選んだり、大掃除の名のもとに家がいつもより綺麗になったりする。スーパーでごちそうが並んでいるのもわくわくする。
できれば一生「正月前」であってくれないかと思う。
時間を作って、過ぎた1年を振り返るのはもちろん意味のあることだ。
人間の時間感覚なんてあいまいで、数年前だと思っていた出来事が実は今年に起きたことだったり、最近会っていない誰かのことを思い出したり。
同時に人間の時間はあいまいなので、大切な思い出や記憶は何年経とうが鮮明によみがえってきたりする。わざわざ振り返ろうと思わなくても、だ。
何気ない瞬間にあふれ出てくる、そういう記憶を大切にしている。
それは過去からの不意打ちだったり、贈り物だったりする。
景色、光、香り、色。五感が受け取り、思考が連想していった先で予期せず過去と再会する。
もしかすると僕は「頑張って生きてきた今年1年を振り返ろう」と身構えるよりも、そうやって突然起きる過去との再会の方を大切に思っているのかもしれない。
だから過去と未来に思いを馳せることを強制されるような、正月の気配が苦手なのかもしれない。
お祝いムードに水をさすようで、なかなか口に出しては言えないけれど、それでもこういう考えの人がいたっていいじゃないかと思う。
地球には時差があることを言い訳にして「僕としては、まだ正月の気分ではない」なんて屁理屈をこねてみたりもしたくなるのだ。
May you have a good 2023!
Jessie
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