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“好き”に関わる仕事の見つけ方の記録

「好きなことを仕事にしていてかっこいい」と、人に言ってもらうことがある。

みんながみんな、好きなことで食べていないからこそ、世の中が成り立っていると思う。
そんな中で、わたしがそう言ってもらえるのは、好きなことを仕事にしているというより、好きなことでしか働き続けられないと感じ、そういう道を選べるように行動してきたからだと思う。

ものを作ることと、音楽が好きなわたしは、新卒で入った会社は音楽関係のデザイン会社で、転職した今は音楽業界でプロモーションの仕事をしている。

両方とも、結果的には好きだからこそ続けられているような気がする。
残業多いし、準備してきたのに無駄になることもあるし、直前に変更になるし、即座に対応しないといけないし・・・(これはどこの業界にも共通することではあるけど)
結果的に好きなことに関わってるという実感がなければ、わたしは簡単に仕事を変えていたと思う。
もちろん、好きなことを仕事にすることで、それが嫌いになってしまうという懸念点も忘れてはいけない。

そういう意味で、初めての就活よりも転職活動の方が圧倒的にやりやすかった。
業界や業種等、自分の進みたい方向が明確だったから、あとはそれをやっている会社に飛び込むだけ。

就活のときに苦しんだ理由の一つとして、やりたいことが明確化していなかったからだと今では思う。
大学では建築を勉強して、周りは当たり前のように建築関係に進んでいくから、自分もそうだと思っていた。
最初は、何の迷いもなく建築関係の会社を探し、応募し続けていたのだけど、驚くほどうまくいかない日々が続いた。
設計課題はちゃんと提出はしていたものの、微妙な評価をされ続け、それでいて模型が綺麗なわけでもなく、デッサンがうまかったわけでもなくて、要するに格別秀でたものもなく、特に自信もなかった。

心身ともに弱っていったとき、わたしは褒められた数少ない事柄を思い出した。
そして、それは好都合なことにそれらはわたし自身が好きなことで、楽しく取り組み、尚且つ周りにも認めてもらったという共通点があった。

イラレで作ったプレゼン用のパネル、自分でテーマを決めてデザインした店舗の内装。

それから、仕事の探し方、望む業界を変えた。
図面を引くソフトではなく、イラレを使う仕事に絞り、探していくうちにグラフィックデザインに挑戦したいと思った。(もちろんそれ以外も受けた)
一言でグラフィックデザインといっても、本当に幅が広い。
例えばスーパーや塾の折り込みチラシもそうだし、街中に大きく貼られるポスターだってそうで、ジャンルや大きさも様々。
その中でもわがままなことに「捨てられないもの」を作りたいと考えていた。
本の装丁やCDやDVDなどのジャケット、ポスターなど・・・

そういう具体的なことが決まれば、あとは応募して面接を受けるだけだった。
学校の課題だけではもちろん足りなかったので、やってみたいジャンルのグラフィックを作り始めて、ポートフォリオのアップデートも日常的に行なった。
そして、やりたいことが決まっていれば、言葉がどんどん出てくる。
面接はもちろん緊張して吐きそうになってたけど、以前よりも圧倒的に手応えを感じることができた。

学部内では異色の進路を進むこととなったが、結果的にグラフィックデザイナーとして採用してもらった。
そして、わたしはCDジャケットやブックレット、フライヤー等のデザインを主に担当しながら、編集、校正、ときには撮影に参加したり、先方にプレゼンしたりして、ひょんなことから本の装丁までやらせてもらった。
超絶忙しく、残業代も出ない上にずっと下っ端だったが、周りのみんなは忙しい中ちゃんと教えてくれ、次なる目標も生まれた。
そして、デザイン業界から、音楽業界へ転職する。

今は、次なる目標の地で仕事ができている。
音楽が好きなだけではもちろんダメなので、本や業界の人のインタビュー等を読み、音楽を商業的に見られるように努力した。
日頃から自分に入ってくる好きな音楽の情報だけではなく、それ以外の情報にもアンテナを張るようにした。
今はプロモーションを担当しているので、各所との調整、情報解禁、社内でデザインの仕事もやりつつ、ときにはライブを見ることも仕事になる。
仕事は忙しく、終電で帰路につくこともしばしばあるけど、結局は自分自身も好きな音楽やライブが生きがいだし、エンタメを仕事として人に提供できることも嬉しいし、ライブ会場に行けばお客さんが喜んでいる姿も見られるし、職場の人がいい人だし、続けられる理由がたくさんあるから何とか乗り越えられている。
そして、周りを見渡してもやはり音楽が好きな人がたくさんいる。
この業界は、好きだからこそ成り立っているのだな、と実感する場面も多い。
同僚は、「好きの搾取をされている」とも言っていた。

友人には、プライベートを充実させるために如何にかこうにか仕事をしているという人も多い。仕事内容より条件面の優先度が高い。
それも仕事の選び方の一つとしてある。
わたしの仕事の選び方は、わがままを突き通しただけと言ってしまえばそれまでなんだけど、様々な理由でそういう仕事の選び方ができない人もいる中で、好きなことに関わっていると実感しながら仕事ができる点については恵まれているなと思う。

今はコロナウイルスの影響をもろに受けている業界だけど、今までのように音楽が楽しめるような日が来たら、たとえ仕事をしている身だとしても、嬉しくて泣いてしまうかもしれない。





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