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先延ばし癖を治す、究極の等式

「やらなきゃならない」
と頭では理解していても、ついつい先延ばしをしていませんか。会社でも学校でも、とかく面倒に感じてしまうタスクは後回しにしてしまいがちです。ボクも自分の修論の経過報告でさえ、つい取り組むのを後回しにしていました。

今回は、そんな「先延ばし癖」を治すためにとても有効な情報をお伝えします。世界中で約1000万人がチャンネル登録している「Crash Coursre」の動画を基にしてますので、信頼できる情報源だと言えますね。

情報といっても、最も重要なものはたった4つです。

▲今回の動画が含まれているシリーズの紹介記事

▲Crash Course全体の紹介記事

1.なぜ先延ばしするのか?

はじめに、「先延ばし」は英語で「procrastination(プロクラスティネーション)」といいます。

では「やらなければいけないのは重々承知している」ことを、なぜ私たちは先延ばししてしまうのでしょう。

Frank(2015)はその理由を一言で表しています。

I don’t feel like it.
(訳:気が向かない)p.54

気が向かないことをする心的負担を回避して、短期的には気持ちを楽にしようというのが先延ばしをする理由です。

しかし、先延ばしを繰り返すことでかえって苦痛が増してしまいます。なぜなら、先延ばしで得られる快楽は極短期的なものでしかないから。Oakley(2014)はこのことを、次のように表現しています。

Procrastination can be like taking tiny amounts of poison. It may not seem harmful at the time. But the long-term effects can be very damaging.
(訳:先延ばしは少量の毒を摂取するようなもの。その時は無害に見えても、長期的にはとても危険な影響を及ぼすおそれがある。)p.90 

では先延ばしを止めると、具体的にどのような利点があるのでしょう。

最も大きな利点は、先延ばしを止めることで、自分がしたい作業により集中できること。先延ばしをすることは、それだけで精神的なエネルギーを消費することにつながるからです。

例えば、ゼミの先生からのメールの返信を先延ばしするとします。そうすると、レポートを書いていてもブログを書いていてもメールの返信のことが頭を離れず、結果的に集中力や作業効率の低下をもたらします。

今回紹介する情報をヒントに、先延ばしを止めると、今まで以上に生産的創造的な仕事にエネルギーを使えるのです。

2.(予習編)先延ばし癖を治すためのキーワード

では、先延ばし癖を治すための具体的な方法を探るためにCrash Courseの動画を観てみましょう。(もちろん、時間が無ければ、そのまま復習編に飛んでください。)

動画を観るときには、次の問の答えを探しながら視聴してみてください。理解が深まります。

「先延ばし癖等式」(Procrastination Equation)とは、具体的にどのような式でしょうか?

「誘惑」(impulsiveness)を抑制する方法として、どのような具体例が挙げられていますか?

以上2つの問を頭の片隅に置きながら、動画を観てみてください。

3.先延ばし癖対策動画

では、実際に講義動画を観てみましょう。再生時間は約10分です。音声は英語だけですが、英語とアラビア語字幕が選べます。Let's give it a try!


4.(復習編1)キーワードの確認(先延ばし癖等式)

今回の記事で最も伝えたい内容でもある「先延ばし癖等式」とは次のようなものでした。

やる気(motivation)=
実現可能性(expectation)×やる価値(value)
/ 誘惑(impulsiveness)×遅れ(delay)

ここでは各変数の意味を、Frank(2015)を参照しながら確認します。

Expectancy: Your perceived odds of being able to complete the task and get the reward. How confident are you that you can succeed?

訳)実現可能性:タスクを終えて、報酬を得られる主観的可能性。タスクを達成できる自信。
→タスクが簡単なら上昇

Value: How valuable the task’s reward is to you. Do you really care about what you'll get when you finish?

訳)価値:受け取る報酬がどれくらい価値を持つか?本当にその報酬を得たいのか
→苦労に見合う報酬であれば上昇

Impulsiveness:How likely you are to get sidetracked. For me, this could be rewritten as: How close am I to people who are playing Smash Bros?

訳)誘惑:作業への集中を妨害する要素がどれほどあるか
→作業環境に余計なものがなければ低下

Delay: The time it’ll take to achieve the task and get the reward. This may be defined by a hard deadline/due date, or it may be defined simply by how long it'll likely take you to do the work required.

訳)遅れ:タスクを終えて報酬を得るまでにかかる時間。
→締め切りが先であるほど上昇

先延ばし癖を治すために、この等式からわかることは・・・

①「実現可能性」と「価値」を上げて

②「誘惑」を抑える

必要があるということです。

※締切は変えられない変数と考えるので、「遅れ」は、今回は省きます。

では上記を実現するためには具体的にどうしたらいいのでしょうか。それを次に説明します。

ちなみにこの等式について詳しく知りたい人は、動画内で紹介されている以下の本を手にとってみてください。

▲紹介されていたPiers Steel氏の本と、その邦訳

5.(復習編2)先延ばし癖を治す具体的方法

ここでは、4の内容を踏まえて「実現可能性」と「価値」の上げ方と「誘惑」の抑え方を具体的に説明します。

ⅰ「実現可能性」の上げ方

1つ目はタスクの「ダウンサイジング」です。達成したいタスクを細かくサブタスクに分けることで、一つ一つのサブタスクの難易度を下げます。動画の中では、「レポートを書く」というタスクを、調査段階、下書き段階、編集段階の3つのサブタスクに分けていました。

2つ目は「人に助けを求める」です。古典的な方法ですが、そのタスクに詳しい人にアドバイスを求めることで、効率的なやり方がわかりタスクの難易度が下がるでしょう。

ここで注意しておきたいのは、何でもかんでも、すぐに他人に聞くのは考えものだということです。質問された側の人もこちらの質問に答えるために時間を取ってくれるわけなので、自分で調べればわかることをわざわざ質問するのは相手の時間を奪うことになります。

そこで、動画では説明されていませんでしたが、「15分ルール」というものがあります。
これは、分からないことがあったら、まずは15分間自分で考えてみて、それでも分からなかったら「必ず」人に聞くというテクニック。

15分は自分の頭で考えるので簡単なことはわかりますし、15分後には必ず誰かに聞くのでずっと頭の中で疑問がモヤモヤ残るという事態も避けられます。

▼ちなみに、この前紹介したマナブさん(@manabubannai)も、動画で似たようなことをおっしゃっています。

ⅱ「価値」の上げ方

1つ目は、報酬の質と量をより良くすることです。
では、報酬とは何を指すのでしょうか。動画内では、「自分が心から達成したいタスクをする」「映画を観に行く」「友達と出かける」ことが挙げられています。

そしてさらに、報酬には2種類あります。「低濃度」と「高濃度」です。

低濃度の報酬(low-density fun)とは、ネットサーフィンやSNSなど、5分くらいで手軽に得られる報酬。手軽な分、あまり気分転換にはならない。

対する高濃度の報酬(high-density fun)とは、新作ゲームを長時間プレイしたり、アウトドアスポーツを楽しむといった、時間も体力も使うがその分気分転換になり、その後の作業への集中力があがる報酬です。

1日の終わりに高濃度の報酬を配置し、それまでに1日のタスクを終わらせることが提案されています。

この記事を読んでくれているみなさんにとって、低濃度&高濃度の報酬とはそれぞれ何でしょうか?

2つ目は、そのタスクに取り組む経験の質を上げることです。動画内では、図書館やカフェで作業する、作業用音楽をかける、友だちと一緒に取り組む、作業前に簡単に散歩するなどが挙げられていました。

ⅲ「誘惑」の抑え方

誘惑を抑える上で最も重要なことは、「環境を整える」ことです。具体的には、作業中はインターネットを遮断したり、机の上に気が散る物を置かないこと?

また、「ポモドーロ・テクニック」という技術も紹介されています。

これはタイマーを用意して、最初の25分間は決められた作業に全力で集中する(他にやりたいこと(誘惑)がでてきたら、紙にメモしてまた作業に戻る)→5分休憩する→25分作業→5分休憩を繰り返し、作業を4回繰り返したら30分の長めの休憩を取るというテクニックです。

このテクニックの利点は、①タスクの全てを終わらせるのではなく「25分頑張る」だけなので、心理的な負担が減少することと、②何回作業をしたのかが分かるので、振り返りに活用できることです。

6.まとめ

今回は多くの人にとっての頭痛の種である「先延ばし癖」を解消するために次のことをお伝えしました。

①先延ばし癖等式
②先延ばし癖等式の「実現可能性」と「価値」の上げ方、「誘惑」の抑え方

この記事が少しでも、先延ばし癖解消のお役に立てれば嬉しいです。

参考文献

Frank, Thomas(2015). 10 steps to earning awesome grades(while studying less)

Oakley, Barbara( 2014). A mind for numbers : how to excel at math and science (even if you flunked algebra). New York, Penguin Random House.

人に言われたことを真に受けやすい、何でも馬鹿真面目に考えてしまう、そんなボクのように不器用な人でも楽しく生きられるような情報を発信していきます。まだnoteでアウトプットを始めたばかりですが、がんばります!サポート、よろしくお願いします(^o^)