映画は貶すより褒めろ!

脚本家を目指し始めた頃、私は自分のことを天才だと信じていました。なにしろ書くことを意識してからは、観る作品、観る作品、粗ばかり気になるようになり、しかも改善策(少なくとも私にはそう思えた)まで思い浮かぶのですから。そんな日々を過ごしていくと、こう思うようになります。

脚本家って大したヤツいないんじゃない?

ここまで読んで、私の何がおかしかったのか気づけない方は要注意!あなたも私と同じ過ちを繰り返そうとしているのかもしれません。

どれだけ名作と言われる作品でも、多少の欠陥(と感じられる部分)はあるものです。それをあげつらって自分の方が上だと考えるなんて愚の骨頂!人間誰しも、叩き台さえあれば様々なアイディアが浮かぶものなんです。私のような凡才でも。

また、世間から駄作認定されているものでも、おそらくアナタの作品よりも上です。だって、アナタの作品にはまだ買い手がついていないのでしょう? 映像化させてほしいってプロデューサーは現れないのでしょう? ならば、たとえ駄作であっても、アナタの作品よりも見るべき点があるってことです。その脚本家は幾ばくかのお金を得ているんですから。

私たち人間は他人の欠点には敏感ですが、美点には鈍感になりがちです。本気でプロの脚本家を目指すのならば、放っておいても目に入る欠点ではなく、プロならではの美点を見いだす努力をしましょう。

これからは最低でも5つ、作品の褒めポイント、すなわちアナタが《盗むべき技術》を見つけて下さい。これを続ければ、書くスキルが上がるだけではなく、自分で書き上げた作品の欠点にも気付けるようになります。

ついでに、もう1つだけ厳しいことを書きますね。アナタが今「これは斬新で天才的なアイディアだ!」と信じているものは、十中八九「先人たちが捨てたアイディア」です。パッと浮かんだものなんて、大抵先人たちも一度は検討しています。自分のアイディアにこそ、鋭い批評眼を向けて下さい。そして、原石のままではなく、磨いて磨いて磨いて下さい。時には捨てて下さい。それも成長には必要な過程ですよ。

というわけで、今回は少々耳が痛い話になってしまいました。でも、20歳の頃の私みたいになってほしくないから書いたことです。アナタは天才ではないかもしれませんが、オンリーワンの人生を歩んでいます。謙虚に勉強を続ければ、アナタにしか書けない物語を手に入れられるはずです。先人たちから様々な技術を盗み、必ずや脚本家になって下さい。私は全力で応援します。

合言葉は《じぇれの屍を越えてゆけ!》

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※不定期ですが、週1を目安に更新していきたいと考えています。暫くは体系的に書くのではなく、何かの作品を観て思いついたテーマについて記す予定です。扱ってほしいテーマがある場合は、コメントをいただければできる限りお応えします。


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