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COOL CREATOR COLLECTION 01|異才を束ねる若きプロデューサーが語る次代のエンタメ[後編]

気鋭のクリエイター集団「PERIMETRON(ペリメトロン)」。多彩な表現を用いたビジュアル制作を武器に、スタイルに縛られないアートディレクションをおこなう。
エンタメ界で注目していきたい新進のクリエイターを紹介する不定期連載「Cool Creator Collection」第1回の後編では、「PERIMETRON」のプロデューサー・佐々木集の現在を深掘りする。

──プロデューサーとして「PERIMETRON」の現状についてどう捉えていますか?

まだまだ全然足りていません。もっとも、僕らの年代が今の時点で「足りている」とか言ってたらおしまいですよね(笑)。僕たちは常に「それ以上のモノ」を求めて活動しているつもりです。まだ詳しくは言えませんが、近々、某有名少年漫画とコラボした映像作品が発表されますし、そのほかにもいくつかのプロジェクトが進行中です。

基本的には「やりたくないこと」をやるつもりはないんです。もちろん、時と場合によっては天秤にかけることはあるかもしれませんけど(笑)。規模が大きくなればなるほど、その「枠」の中でどう表現していくか悩むことは、どのジャンルの仕事でもある葛藤だと思うので、そんなに気にはしていません。ただ、単なる「下請け業者」のようには見られたくないんです。こっちが「お金をいただいている」と思ってしまうと、とてつもなくメンタル的にすり減ってしまうし、それって今の時代に本当に必要なのかなとも思うんですよ。

「あいつらあんなに自由に表現してるのに、ちゃんとお金持って楽しく暮らしてるんだ」っていうところを僕らがしっかり見せることが、僕ら以降の世代の人たちの「夢」につながると思います。将来的にはピンク・フロイドなどのアートワークを手がけたイギリスのデザイン・アートグループ「Hipgnosis」のようなアーカイブブックをPERIMETRONとして作るのが一つの目標です。

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──自分たちの世代についてはどう見ていますか?

同じ世代の中ではとび抜けた存在でありたいとは思っていますけど、わざわざライバルを蹴落としたりするようなことには興味がありません。と言いつつも、「そんな甘ったるいこと言ってられねえんだよ」っていう上の世代の人たちの熱量も理解できるし、年齢を超えてつながっていけると思います。こう見えて意外と、ジブリやピクサーに影響を受けていますし。彼らは作家の考えをしっかりインパクトある形に仕上げるアートチームとして素晴らしいし、僕らも作品のエッセンスとして意識している部分はとても大きいですから。

スタイリスト・ラッパーの歌代ニーナが手がける「PETRICHOR」や、NYを拠点にしている日本人2人のクリエイティブユニット「Margt」なんかは同世代で気になる存在ですけど、僕らの世代は敵対するよりも「一緒に上がっていこう」という意識のほうが強いかもしれないですね。下の世代のような完全なデジタルネイティブでもなく、上の世代が持つ昭和気質な人間でもない、ある意味、時代の「歪み」に生まれ育った感覚があるので、より強くそう思うのかもしれません。だからこそ、PERIMETRONはクリエイティブレーベルでありながら、世代間をつなぐ「接着剤」や「翻訳者」、「ハブ」のような存在でありたいと思っています。

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──集さんが考えるこれからのエンタメ業界に必要なものとは?

新しいアイデアを取り入れて扱うスピード感が圧倒的に足りていないのが現状だと思います。それに、クリエイティブにおいて「ポップ」や「エッジ」というキーワードをギリギリ共有できる最小単位の人数って絶対にあると思うんですよ。僕らはそこを見誤らないよう細心の注意は払っているつもりです。既存の考え方ではない形でアイデアを出し、それを実行する力がエンターテインメントの世界には絶対的に必要なのかなって思います。

もう少し詳しく言えば、今まで誰もやったことのないアイデアを実行できる形にする「デザイン力」を持った存在が少ないんだと思います。そういう存在に僕らはなりたいし、「エンタメ」や「アート」と「ビジネス」の接着点になれるような動きができる位置づけになりたい。衝突したり争ったりするのではなく、どの世代の人たちとも一緒に未来を作っていきたいですね。


■PROFILE■
PERIMETRON Producer / Designer
佐々木 集(ささき しゅう)

1991年京都府生まれ。クリエイティブレーベルPERIMETRONのProducer / Designer。18歳の時に単身イギリスにわたり、ベーシストとして音楽活動をする。20歳の頃に帰国して上京し、アパレル業と並行してイベントのオーガナイザー、プロモーターなどを経験した後、プロデューサーとなる。その後、「King Gnu」の常田大希と出会いPERIMETRONを立ち上げる。現在は、King Gnuのクリエイティブプロデュースをはじめ、映像・グラフィック・ライブ演出・空間演出までスタイルに縛られないアートディレクションをおこなう。


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<発行日:2019/09/05>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。

Writer:中村裕一
Photographer:橋口慶

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