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多才なコンテンツプロデューサーに聞く|"使える"情報を手にいれるマルチ・インプット術

多方面で活躍するコンテンツプロデューサー・高瀬敦也。フジテレビ社員時代は、『逃走中』『Numer0n』といったヒット番組を生み出し、独立後も様々な企画や商品開発に携わる。活躍は非常に多岐にわたるが、その情報源はどこにあるのか。多忙を極める氏のインプットテクニックについて尋ねた。

──現在のエンタメ業界との関わりについてご紹介ください。

仕事の基本は企画・プロデュース業ですが、依頼内容によって異なります。経営面から顧問やメンターっぽくアプローチすることもありますし、プロモーションであればより戦略視点からのアドバイスや提案をしていきます。そこから紐づいて外部の方にお願いしたり、結びつけたりすることもあります。あとは自分で本を書いたり、漫画の原作を作ったり、Tシャツのブランドを立ち上げてみたり。ほかにも、あるエンジニアと組んで新しいSNSを開発したので、それも間もなく正式にリリースされる予定です。いろいろな仕事に携わっていますが、要するに「企画業」というフィールドでそのアウトプットが異なるだけです。僕の頭の中では全部同じというか。

今までやってきたことを含め、僕はそれらを「コンテンツ」と呼んでいますが、テレビ局にいた頃から「番組」という言い方に若干の違和感を持っていました。結局、テレビ局にいる以上、良くも悪くもテレビ局の業務領域の範囲内でしか仕事ができない。これからの時代はもっと変化していくのではないかと思い、自分の好きなことをやろうと飛び出したわけです。

<代表作品>


僕が考える「コンテンツ」のコンセプトや具体的な事例については近著『人がうごくコンテンツのつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)に詳しく書いてありますので、ぜひ手にとってみてください。

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──多忙な毎日だと思いますが、どんな媒体から情報収集をしていますか?

もともと、ものすごい雑誌&新聞ジャンキーだったんですよ。それこそ週刊誌からビジネス誌、情報誌、科学雑誌、夕刊紙、青年漫画誌まで、1日4~5冊は移動中や空き時間に読んでいました。ピーク時は月5万~6万円は雑誌や新聞に使ってましたね。スマホで雑誌記事を見られるようになった今は、通勤の合間に「Yahoo!ニュース」や「グノシー」をチェックしています。"エゴサ"することでユーザーの生の意見を知ることも情報収集のひとつです。

テレビ番組だと『NHKスペシャル』(NHK総合)、『ガイアの夜明け』(テレビ東京)、『未来世紀ジパング』(テレビ東京)、『有吉ジャポン』(TBS)、『水曜日のダウンタウン』(TBS)、『ゴッドタン』(テレビ東京)、『アメトーーク!』(テレビ朝日)、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日)、といったところは必ず見ています。特に『有吉ジャポン』は、今一番の有益な情報源。知らなかった流行りのことを芯をとらえて全部教えてくれます

しかしながら、最も生きた情報を得られるのはやっぱり「人と会話すること」だと思います。情報ひとつをとっても、すでにその道のプロがキュレーションしてくれているから、深度や確度的に非常に有用性が高いんですよ。僕は今ほぼ毎日のように会食していますが、人との「会話」から得られる情報は、これからの時代も非常に価値が高いと思います。

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──エンタメ業においてマルチな活躍が目立ちますが作品作りに大切なこととは?

正直なところ「エンタメ」ってしんどいものなんですよ(笑)。何より正解がないですし、すごく主観的なものですし。外の人からは派手で楽しそうに見られるけど、エンタメ業界で本当に心の底から「楽しい!」と思いながらモノ作りができている人って、ほんのひと握りだと思うんです。「好きなこと」と「お金にすること」のバランスのとり方って、すごく難しいじゃないですか。どのレイヤーの人に聞いてもほぼ「完全に好きなようにはできない」って答えると思いますよ。でも世間の人たちからは楽しそうにやってるように見えている。そこのギャップが超しんどい(笑)

そこで頼りになるのは、もはやリアクション・反応だけです。だから僕はエゴサしているのかもしれない。自分自身も「面白い」と思ったことにはなるべくリアクションするようにしています。これからの時代、ダイレクトにユーザーに届けることができる分、モノ作りはより自己責任が増え、より評価がシビアになっていく。ただその分、余計なストレスはないし、むしろ健全になっていくと思います。

そしてこれは残念なお知らせ(笑)ですが、僕は若い人たちのほうが人間として優秀だと思うんですよ。迎合しているつもりではなく、悔しいけど。だから若い人たちには学ぶしかないし、ついていくしかない。なぜなら今の小学生くらいの年代、真の意味でのデジタルネイティブ世代と僕たちの世代って決定的な差があると思っていて。ですから僕と同年代の人たちに言いたいのは、そういった新しい世代に排除されないよう、自分の持っている情報やノウハウを「シェア」し、手を取り合って生きましょうと。もはや人を蹴落としてのし上がる時代ではありません!

■PROFILE■
株式会社ジェネレートワン 代表取締役CEO
高瀬 敦也(たかせ あつや)

1975年生まれ。株式会社ジェネレートワン代表取締役CEO。1998年フジテレビ入社、営業局でスポットセールスプランニングに従事。その後、編成制作局で『逃走中』『戦闘中』『Numer0n(ヌメロン)』など企画性の高い番組を多数企画。フジテレビ退社後、さまざまな業種の新事業企画、新商品企画、広告プロモーション戦略立案など、幅広いコンテンツプロデュース・コンサルティングを行っている。2018年8月に『人がうごくコンテンツのつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)を上梓。


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<発行日:2019/09/17>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。

Writer:中村裕一
Photographer:橋口慶

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