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COOL CREATOR COLLECTION 01|異才を束ねる若きプロデューサーの原点[前編]

気鋭のクリエイター集団「PERIMETRON(ペリメトロン)」。多彩な表現を用いたビジュアル制作を武器に、スタイルに縛られないアートディレクションをおこなう。
エンタメ界で注目していきたい新進のクリエイターを紹介する不定期連載「Cool Creator Collection」。その第1回は、前後編で「PERIMETRON」のプロデューサー・佐々木集を取り上げる。

──まずは「PERIMETRON」について簡単に紹介していただけますか。

現在メンバーは自分を含め7人ほどいますが、いわゆる会社組織とは違い、フリーランスのクリエイターの集合体です。プロジェクトごとに関わり方やメンバーの構成を変えたり、時には外部の人たちと組んだりしながらチームで進めていく、というのが基本的な仕事のスタイルです。PERIMETRONメンバーの1人である常田大希がバンマスを務める「King Gnu」のMVやビジュアルのプロデュースをはじめ、彼の新しいプロジェクト「ミレニアム・パレード」の総合演出などを手がけています。

大希との出会いはやはり大きく、「PERIMETRON」というチーム自体、もともと彼がインディーズのレーベルで立ち上げた中から変化していったものですし、自分の中の基準が明確な彼の決断力や実行力にはいつも影響を受けますね。もちろん、他のメンバーたちにも常に刺激を受け、また刺激を与える存在でありたいと思っているし、なにより仲間でありライバルである彼らを「驚かせたい」という気持ちをみんなそれぞれ持って活動しています。個人だとどうしてもやれることに限界が出てくるけど、「チーム」という単位なら、よりクオリティの高いモノを作り上げることができると思うんです。

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──佐々木さん自身のこれまでの歩みを振り返ってください。

15歳の時に高校を3週間で辞めました。教師という職業から、ものすごく理不尽な「大人」を感じ取ってしまって。でも、まったく悔いはありません。その決断が他の人よりちょっと早くて両親がびっくりしたくらい。
小さい頃から英語が好きで、海外で生活することに漠然とした憧れもあって、その後、バイトをして資金を貯め、18歳の時にロンドンへ渡りました。もともとベースを弾いていたこともあり、バンド活動などをしながら1日食パン1枚の極貧生活を送り、時には暴動に巻き込まれながら(笑)、エキサイティングな毎日を過ごしていました。そういうこともあって、割と早いうちに肝が据わったところはあったかもしれません。

20歳の頃に帰国したのですが、地元の京都・宇治ではやっぱり退屈してしまい、すぐさま上京して原宿へ。そこでたまたま見つけた好きなブランドのショップに「働かせてくれませんか」と飛び込み、UKカルチャーが大好きなディレクターの目に留まって採用され、まだ20歳でしたがすぐに店長に抜擢されました。
アパレルの仕事と並行してイベントのオーガナイザーをしたあと、独立後にイベントのPR事業をしていました。クライアントとのやりとりや仕事の進め方など、今の活動のベースになるようなさまざまな知識や経験を積ませてもらいましたね。振り返ってみるとこの頃から少数で仕事をすることのスピード感や、共通認識を持つための最大人数とは、みたいな感覚が培われていったのかもしれません。

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──クリエイティブにおいて佐々木さんが大切にしていることは何ですか?

特にクリエイティブにおいては、人数とかあまり関係ないと思っていて、少数精鋭主義なところは確実にありますね。チームが大きくなりすぎると確認作業ばかり増えて伝言ゲームのようになってしまい、モノづくりの「純度」がどんどん薄くなる恐れがある。だったら「核」となってイニシアチブをとる人物を1人決めて、その周りに2、3人置いてすべてを共有すればそれで十分ではないかと。仲間内で「いいよね」と口頭で確認し合うくらいのキャッチボールができると、自ずとスピード感も生まれてくると思うんですよ。

僕たちが作るモノが他の人たちと何が違うのか考えてみた時、より「子供っぽい」のが特徴というか。こちらからあまり説教っぽく訴えることをしない代わりに、伝えたいことをわがままなくらい押し出すことで、それが自分たちの「色」になってきているのかなと。また、ひと昔前の、いわゆる「情報をそぎ落とす」広告とは違い、情報量が多すぎて最終的に何を言っているのかわからないけど「何回も見ているうちに伝わる」という僕たちのやり方が今、世の中に少しずつ受け入れられてきているのかな、とは感じますね。

物事を客観視する視線と大胆な行動力を兼ね備えている印象の佐々木氏。今後ますます彼らの活動に注目が集まっていくことは確実だろう。次回[後編]ではさらにその頭の中に潜るとともに、彼が考えるこれからのエンタメ界にとって必要なチカラについて迫っていく。


■PROFILE■
PERIMETRON Produce / Design
佐々木 集(ささき しゅう)

1991年京都府生まれ。クリエイティブレーベルPERIMETRONのProducer / Designer。18歳の時に単身イギリスにわたり、ベーシストとして音楽活動をする。20歳の頃に帰国し上京しアパレル業と並行してイベントのオーガナイザー、プロモーターなどを経験した後、プロデューサーとなる。その後、「King Gnu」の常田大希と出会いPERIMETRONを立ち上げる。現在は、King Gnuのクリエイティブプロデュースをはじめ、映像・グラフィック・ライブ演出・空間演出までスタイルに縛られないアートディレクションをおこなう。


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<発行日:2019/09/02>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。

Writer:中村裕一
Photographer:橋口慶


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