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どうして書くの

どうして書くかというと、自分が分からなくなるからだ。思考は、帆を張っている。帆は風を受け、同時に船体も進路を変える。でも、風はいつも心地よいものではない。時々適当だし、誰かの意図で強風が吹きつけられることもある。実は風なんてなかった、というときもある。この揺れやすい状況を、僕は良く思っていない。友達に誘われたからというだけで、変わった本屋さんを訪れたときを思い出す。退屈だった。

帆は下ろしてはならない。小さなエンジンを積むのだ。それが「書く」をさそう。書くと、自分に輪郭ができる。今は他人の借り物の表現かもしれない。けれど、自分の内面に光を当てた影のような文章を、いつか僕はかかなくてはならない。小さな自前のエンジンをふかし、風を受けながら旅に出るのだ。


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