今までに見た夢の記録集

 自分が記録していた分の夢を簡単にまとめてみました。
 友だちが夢の話をするとき、自分が全く見ないタイプの夢であることがよくあり、実は自分の見ている夢も他人にとってはそうなのかもしれない、と思ってまとめることにしました。

 夢の記録ですが、タイトルは改めて簡単につけたものです。内容はメモを読みやすくしているだけですので、破綻しているものもあります。気になったものだけでも、ぜひ楽しんでいただければと思います。
(指定なく、Aが〜している、という文のとき、自分はAになりきっているときもあれば、俯瞰的に神の視点で見下ろしている場合もあります。また、*が付いている箇所は、夢についての補足です。)

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船出

 ある家で、ある母とその息子が昼にくつろいでいる。息子は積み木を組みたてていて、てっぺんに、三角の積み木を置いた。そして両手を合わせて、天井を見て、「猫って美味しいのよね」と言う。
 その母は、息子が35歳であることを思いだす。母はくたびれてしまって、その格好のまま家を出て、今にも出ようとしている船に乗る。

天井が低い

 夢のなかで行けるショッピングモールに今日も行き、初めて4階まで上がったが、天井が低すぎて這ってしか進めなかった。

水と硝子

 硝子が並ぶお店に行くと、何やらたぷたぷしている液体があって、店員に聞けば「触ったら分かります」と言われ、触ったら、水と硝子が半分半分で、濡れた手に自分の顔が反射していて、どうやって作ったんですかと聞くと「作ってみれば分かります」と言われて、作らずに分かりたい!と思って夢から醒める。

ピアノ

 一面の雪のなかで、白鍵だけのピアノを弾いている。それに誘われたようにして、雪の中から赤色の死体が浮かび上がってくる。
(*雪と死体は、麻耶雄嵩『夏と冬の奏鳴曲』が下敷きだと思います。)

 顔だけが後ろを向いている兎(の着ぐるみを着けた人間(性は不明))五匹に輪姦されている。

 私はとても猫が好きで、その猫を祖母が触ろうとするので、汚いという目で睨んでいたら、父親にその目を怒られた。思っていても目には出すな、と言われる。

言葉ではなく

 人が話そうとする言葉を、聞かなくても分かるようになり、まだ名前も知らない未来で出会う恋人の愛情が読み取れて、一人で泣きつづけた。

テトラポット

 高校の同級生に会って、海辺のカフェに入ったら隣の席の家族が服毒自殺する。その事件の秘密を追ううちに、町の150kmマラソンを走ることになり、その後解決する。気持ちよく海辺で遊んでいたら、姉が行方不明に。近くの大きな建物に助けを求めたらそこは暴力団だった。数分後には血まみれの自分がテトラポットに引っかかっていた。

いい汽車

 海の真ん中で釣りをするために、自分の汽車を持っていって真ん中に浮かばせる。そこを通りかかったおじいさんが「そんないい汽車、盗られるぞ」と心配してくれる。
(*おじいさんの汽車はぼろぼろで、それもまた味わいがあると思った記憶があります。)

立方体

 友だち五人と、誰かの家で遊んでいる。ゲームに熱中しているとき、ピンポンとインターホンが鳴る。はーいと言って誰かがそれを見に行く。(自分はその子の視点になる)宅急便のお兄さんが、ここにサインを、と言うので書いていると、お兄さんが巨大な黒い立方体に変形して、そこから伸びた舌で一瞬にしてその中に誘拐される。
 あまりにも一瞬のことだったので物音もせず、他のみんなは気付かずにゲームをしている。

書けない

 夢のなかで手紙が届き、その返信に自分の名前を書くが、自分の名前がうまく書けない。その瞬間、自分が自分ではなく、夢の中の自分なのだと気づき、目が覚める。

ヘミングウェイ

 知らない町の、ローカル局の夕方の番組MCを任される地方アナウンサーになった。今日も仕事で、そろそろ番組が終わるかというときに時間が三分余ってしまい、ゲストに「好きな本はなんですか?」と聞かれる。何故か背伸びして、読んだこともないのに、「ヘミングウェイの……」と言い出す自分。読んだことないのに……と強く思いながら、ヘミングウェイについてでたらめを喋った。

そして牛丼に到る

 電車を何千回か乗り継いでやっと行ける、人がほとんど住んでいないロボットと戦車と雪の街に、僕はようやく辿りつく。退屈で退屈でしかたなかった。持っていった1000曲の音楽も何度もリピートした。
 お腹が減っていて、噂には聞いていたお店を探す。見つかる。
 この街で唯一人間がやっている格別の吉野家(牛丼屋)に入って、シンプルがいいと思って、牛丼(並)を頼む。噂どおり格別の味がした。
(*戦車と雪は、つくみず『少女終末旅行』からの連想だと思います。)

横断歩道

 横断歩道越しに、中学のときの体育の先生が立っていて、信号が青になると彼が大声で叫びだし、「お前は全く読めていない、あの作品も、お前自身についても」と詰られ、呆然としてしまい、道の真ん中で車に轢かれたくなって数歩前に進んだ。
(*創作をしている者として、この夢の言葉はかなり驚きました。もう一人の自分が諌めてくれている頼もしさも感じました。)

家族旅行

 家族旅行で訪れた夜の村の一面に違法のケシの花が植えられていた。

30年

 船の中の豪華なデパートが気に入ってしまって、そこで30年間暮らす。(30年分見た訳ではなく、暮らしたという事実と実感だけが手に取るようにわかった)

楽譜

 友達二人と先生一人で俳句と短歌を分析しているうちに、全員が同時に「或ること」に気づき、みんなが文字を音符に変換しはじめ、一つの楽譜が完成した。それを外国に行って教室でIKKOに聞かせたら、「凄いじゃない」と言われた。
(*IKKOさえ出なければ綺麗な夢でした。IKKOさんが綺麗でないということでは決してありませんが。)

橋の国

 上空の大きな橋の上に作られた国で暮らしていたら、突然両端が壊れ始める。解決のため奔走するも途中追いかけてきた一人の男性のために、僕だけ橋の外の階段に出てしまう。その瞬間橋が壊れて自分以外の皆が空に落下して死ぬ。
 実は追いかけてきた男はパラレルワールド(地球)の僕で、僕自身を助けようとしていたのだと夢にナレーションが入る。

双子トリック

 私は双子として生まれた。そして今殺したい相手が教室にいる。姉とも綿密に話し合って、完全犯罪の準備はできた。あとは自分が勇気を出すだけ。そのとき、隣の席の男の子が推理小説を読んでいて、ふと思いだした。「ミステリでは双子トリックは反則」だと。私は殺人は犯しても構わないが反則はしたくないため、諦めることになった。
(*西村京太郎『殺人の双曲線』を読んだときに見た夢です。この本では冒頭に双子トリックが使われることが明言されています。)

金色の部屋

 最古の文字資料が見つかったらしく、それを保管してある場所へこっそり見学に行く。地下10階くらいの場所にあって、道中ずっと側面はガラス張りで黄金の仏像が飾られてあって、その像は下に行けばいくほど表情が柔らかくなっている。着いた先の全面金色の小部屋で資料を見ながらごはんを食べさせてもらった。

プールの夜

 夜、校庭で人を殺し、手を洗おうとプールに行くと、既に誰かが泳いでいた。「私、ずっと見てたよ」と同級生の里村さんの声がし、泳ぐ彼女をよく見ると彼女は人魚だった。「黙っててあげるから、黙ってて。どうせなら泳ごう? せいせいするよ」と彼女は言い、二人だけのプールの時間が流れる。

先生

 知らない先生に首締められたから首絞め返した/仲良くなってそのまま温泉に行くことになった/性別が違うのでそれぞれ違うお湯に入った/先生、結局だれなんだろう

卒業

 中学の卒業式を来週に控える教室にいた。もう一度、卒業式の前の不思議な、切ない一週間を楽しむ。せっかくなので、卒業してから夢から抜ける。

卒業2

 高校の卒業式が嫌すぎて抜け出して、スーパーで白菜を買って、ひとりで鍋を食べる。おいしいと思っていたら、夜になっていた。

うまくいかないこと

 僕は女の子で、男の子が「僕はもう今日ここを出ていくから、最後に……」と言って、二人で町中を探って走り回った。邪魔がたくさん入って、二人きりがいいのに、と拗ねると、彼は「うまくいかないことの方が多いんだから、うまくいかないことを愛そうよ」と笑ってはしゃいでいた。
(*彼は凄くはっきり喋ったので、その言葉通りにメモができました。その通りだな、と感心しました。この世に存在しない彼に。)

あいみょん

 あいみょんと同級生の私がひとりでブックオフに行っていたら、「さっきブックオフいた?」とあいみょんからLINEが来る。いた、って返そうと思ってやめた。

セグウェイ

 友人がセグウェイを乗りこなしている。僕は「いつの間に!」と言っている。

お告げ

「あなたは嫉妬している/嫉妬は良くない、何もいいことがない/嫉妬せず、嫉妬させないように前へ行きなさい」と言われる。誰が言っているか、顔がぼやけて見えなかった。

金鳳花

 谷川俊太郎に怒られて不貞腐れて、俺が詩になろうとして、山の頂上からパラシュートで空を飛んで、伏崎という場所に降りたら、そこ一帯に金鳳花が咲き乱れていて眩暈がして、目覚める。
(*夢で伏崎という看板が見えたので、起きてすぐ調べましたがありませんでした。もう二度と行けない場所の一つです。)

ヤンキー

 ヤンキー二人と緑茶を飲んでいた。途中私が他の男の人に絡まれて困っていたら、そのヤンキーが助けてくれた。ヤンキーAが酔いながら「生きていくなかで、他人の意地悪な攻撃を受けて、人が傷ついていいなんてことあるか?生きるってのはもっと難しいことなんだよ」と言っていた。その後、お礼におでんパーティーをすることになり、ヤンキーBは大根から食べていた。

 学校内でやっていた友だちとのかくれんぼからひそかに抜けて、鬼と僕で隣町の祭に行き、二人で風車と独楽を買った。
(*その祭はむしろ鬼の方が多く来ていて、人間の自分がアウェイなのだと思っていました。)

祭2

 友だちと植物の祭に出かけて、あらゆる植物を見て回っていた。盆栽コーナーを抜けると密林コーナーになり、日本人が消え、リオのカーニバルみたいな催しが始まる。横に逸れて逃げると、慎ましいインドの方がやっているカレー屋さんがあり、ふたりでカレーを食べた。しかしどこか気持ち悪く、食べたもの全てを吐いてしまった。

X

 夢を見たあとの自分のスマホの検索履歴︰「地図」、「浅倉町」、「泉区」、「線路の近くのお菓子屋さん」、「マスカット屋」、「夢占い 汽車」、「夢占い 箱を渡される」、「夢占い 半地下」、「夢占い 部屋から出られない」

XX

 夢を見たあとの自分のスマホの検索履歴︰「ナイフで刺し殺される夢」、「夢 感覚ある」、「殺されて血が流れる夢」、「殺されそうになって逃げる夢」、「誰かと一緒に逃げる夢」、「父と母が離婚する夢」

空という敵

 ある日空が敵になってしまって、みんなで悩む。あんなに大きい、常に上にあるものが敵になるなんて思っておらず、誰もすぐには解決出来なかった。
 ある人は、空に匹敵するほど大きい海を使ったらいいんじゃないかと、巨大な機械を作った。海の水を引き上げて、空に向かって放つ。そんなことをしたって噴水みたいに返ってくるだけだ、と非難が集まり彼は喋らなくなる。
 そこで僕が、もう地球ごと爆発させるしかない、もしくは負けるしかない、と諦める提案をした。すると皆がこぞって賛成してきて、いそいそと地球を壊す準備をし始めた。それが怖くなって、できるだけ暗いところで日々を過ごした。

夢の移動

 夢の中の私が、夢を行き来することを覚え、四つの夢を同時に並行して進める。(僕は四つも同時に見る能力はないため、一つずつ見る。その間にもほかの三つは進んでいる)
 その四つは、①友人が実家に来て水鉄砲で遊ぶ。②五時間怒られ続けてへとへとになり倒れて、知らない誰かに介抱される。それがあまりに気持ち悪くて殴る。③架空の修学旅行。④鯨を飼う。
 ついていけなくなった頃に目が覚める。

叫びの中の声

 視界の中心に女性が立っていて(戸田恵梨香に似ている)、こちらに向かって大声で叫んでいる。鼓膜が裂けそうと思って耳を塞ごうとしたら、その叫び声の中にもう一つ違う声が混ざっていることに気付く。絶叫のなかで、小さな声で何か僕に話しかけている。ただ、その声は何を言っているか分からない。

〈翌日〉
 また視界の中心で戸田恵梨香らしき女性が大声で叫んでいる。同様に、小さな声で何かを僕に言っている。なんで二日連続、と思ったとき、頭のなかで、その小さな声が完璧に聞こえた。
「続きが聞きたい?」
 その瞬間金縛りにあって、自分の目は開いているけど目の前の空間が夢の映像と一致して、ずっと向こうで叫んでいる。嫌だ嫌だ……と思っていると覚める。
(*夢のなかで現実の自分に話しかけられたことが初めてで、このときは焦って書きました。戸田恵梨香似なのは、中学か高校のとき、ドラマ「SPEC」を見ていたからと思われます。)

見える歌

 友だちが「俺、一個だけ怖い話知っててさ」と言って話しはじめ、それを自分は身を乗り出して、内容を想像しながら聞いている。

 その話はすごいあるあるで、Aさんが通話しながら廃墟に肝試しに行って幽霊の気配を感じて逃げようとする話。ここは危ないと思ったAは、通話越しの友だちに、「怖いからなんか和む歌でも歌って」とお願いして、Aの友だち(Xとする)は、歌を歌いはじめる。(僕は、Xが歌っている景色をありありと想像している。Xはそのとき見ていた歌番組の歌を、そのままそっくり歌っている。)
 そこで、Aが廃墟を逃げようとしながらXの歌を聞いていると、その音声が突然、「あ……あ……あ」と「し……し……し……」になる。おかしいと思ったAは、Xに、「今何歌ってる?」と訊ねるも、Xはテレビの歌どおりに歌っていると言う。
 それが一分ほど続いたとき、Aが裂けるくらいの大声で叫んだ。それを聞いたXは、歌うのをやめて「大丈夫か?」と聞く。するとAの声が途絶えた。(そこで僕の夢の映像はXの視界と一致する)XがAを心配したそのとき、テレビの画面に違和感を覚えた。流れている曲は普段と変わりないのに、映っている歌詞が、「痾……痾……痾……死……死……死……」になっていることに気づく。そこでXの意識は遠ざかる……。
 ──という話を、友だちがし終えて満足そうな顔をする。僕は怖い話だと思いつつも、肝試しに文字化けってありふれた話すぎると思って、そんなにか?と思った。

 翌日、その友だちとは他の友だちとカフェで会うことになった。とりあえず飲み物だけ頼むと、彼は楽しそうに、「俺怖い話知ってるんだ」と言う。こいつもか……と思ってその話を聞いていると、昨日聞いた怖い話と全く同じ展開の話をし始める。(この話流行ってるのか……?と思いながら聞いている)「で、Xはテレビの画面がおかしいことに気づいて……」とそこまで全く同じ。昨日の友だちはそこで終わったが、彼はそこに続きがあった。
 (僕の映像がXの視界と一致する)テレビには「痾」と「死」が流れている。まずいな、と思った瞬間、頭の中に爆音の音声が流れ始める。それはテレビの中の歌ではなく、Aの声で、「痾」と「死」を不規則に組み合わせた声だった。Xは内側から鼓膜が破裂して、気絶する……。

 そこで話は終わり、彼は満足そうな顔をする。僕は、違う人物が同じ話をして、そして少しずつ話が延長されていることが不気味で、彼とはすぐに別れて帰った。

 数日後、他の友だちと会うと、同じように、「怖い話がある」と言い、同じ話をして、また最終部が延長されていた。私は怖くなって帰って一人で家にこもった。
 暗い部屋でテレビを見ていたとき、テレビに音楽が流れ始めた。そのとき、音楽なのに、「聞いたことがある」ではなく、「見たことがある」と思った。その瞬間、(僕の意識はXと一致する)歌詞が「痾」と「死」に組み代わり、脳の中に誰かの声で「痾」と「死」の羅列が爆音で流れ始める。「痾……死……痾……」まずい、鼓膜が裂ける、「痾……死……痾……」(そして僕がまだ聞いたことのない話の延長上にある恐怖が、僕の身に連続して起こってしまう!)叫びながら目を覚ます。
(*本当に怖くて、怖かったことを必死に伝えようとメモしていたものですが、文として読むとあまり怖くないかも知れません。VRとかで他人の夢を見られるようになればいいのですが。ちなみに、「痾」の字は、麻耶雄嵩『痾』、アニメ「神霊狩」の誘拐犯の名前「宿痾八千世」が影響したのだと思います。)

雪と列車

 私は飛行機のパイロットを夢見て学校に入るが、余りにも練習や先生が厳しくて、仲良しの子と三人で脱走しようとする。雪の中、いろんな建物に隠れながら逃げるが、途中で指揮官に見つかってしまう。ふたりが犠牲になってくれて、私だけがなんとか脱走する。
 出た先は砂浜で、海に沿ってとりあえず遠くに向かって走る。田舎の街に入って、そこの人々に駅の場所を聞いて、ひたすら歩く。でもお金を持って来てないことに気付き、疲れ果てて雪の道に倒れる。すると近くを通ったある男性が私を救ってくれて、家まで連れていってくれる。そこで私は暮らす。

 そして十数年後、私は小学校の先生になっていた。テストの返却をしていたら、ある子が受け取るときに一枚の折り紙を渡してきた。授業後に開いて読むと、話があるとのことで、相談室に彼を呼ぶ。彼は未来という名前で、冷静な子だと思っていたからこのやり方にはびっくりした。
 相談室に来た未来くんは、だしぬけにキスをしてきた。私は混乱して彼の目を見たが、なんだか悩んでいるような、悲しい目をしていた。なんだか雪の道で助けてくれたあのときの男の人を思い出すなと思った。何も言わずもう一度キスしてきて、未来くんは走って逃げていった。私は追いかける。

 彼を追いかけていたら、突然視界がぼやけてきて、学校の廊下の端の壁が、外の山道のようになっていた。彼は迷わずそこへ進んでいく。私も無意識について行った。しばらく山道を進むと彼は走るのをやめて、私に捕まえられるのを待った。私は、さっきのキスよりも、今の状態が気になって、それを尋ねた。
 どうやら未来くんも知らないらしい。一緒に横になって歩く。道の傍にはいろんな花が咲いている。コスモス、マーガレットなど小さい花が無数にある。その中でときどき入るハイビスカスがあまりに季節外れで、大きい赤が目に入る。雪はしきりに降りだして、花はその度に揺れていた。
 未来くんとふたりで静かに歩いていたら、後ろから私と彼を呼ぶ声がした。振り向くと、彼の友だちが三人走ってきていた。廊下の向こうが変になってるのに気づいて来たらしい。わいわいしながら、今日返したテストの話をした。川の仕組みで、川が蛇行して膨れているここは……と話していたら、近くに川が流れはじめた。もともとそこにあったはずだが、全然気づかなかった。未来くんも驚いていた。あの科学者の名前は……と言っていたら、後ろから車が来て、皆避けると、一瞬運転手の顔が見える。それが今言った科学者だった。どうしたの先生、と皆が言う。さっきの、今言った人だよと説明する。

 なんだかこの空間は変だぞ……と思ってはいたけど、未来くんたちと一緒にいるこの時間は、どこか懐かしかった。昔友だちと一緒に脱走したときのことを思い出した。今頃あの二人は元気だろうか。空で撃ち落とされてはいないだろうか……。
もう随分歩いたところで、彼らが遠くに何かを発見した。
 列車だった。雪の中を列車が待っている。中には人も乗っているが、顔はあまり見えない。急いでと運転手に急かされ、列車の外側の手すりにみんなで掴まる。中には乗るスペースがなく、外の景色も見たいからといってこの位置になった。外から内側を覗き見ると、なんだか見たことのある人物が多い。
あのときの指揮官に似ている人や、あのとき駅を尋ねた人、理科の教科書で見た人……自分の人生で会ってきた人がいる。
 列車は出発し、心地いい加速で山を降り始める。雪で遠くまでは見えないが、太陽の光は雪越しに見えた。子どもたちははしゃいでいた。時折ハイビスカスが目に入る。

 列車のアナウンスが入る。次は〜学校前、と私の学校の名前が入る。なんて都合がいい列車なんだろう。雪の風が頬にあたる。とても冷たい。しかし、なんとなくこの列車事態が暖かい気がした。彼らは笑っている。なんだか、もう死ぬみたいな夢だなあと思った。あの時脱走できずに見ている長い夢なのか。

 列車は学校についた。何事も無かったように学校は建っている。列車は私たちだけを下ろして、更に下っていった。何故か子どもたちの親が迎えに来ていた。もしかしてかなり長い時間過ごしていたのかもしれない。
 子どもたちが帰っていく中、未来くんは振り返って、私に近づいてくる。
 目があって、私も応じて、彼とキスをした。彼は耳元で、「夢じゃないよ」と囁いた。もしかしてあのとき助けてくれた──と言いかけると、彼はとぼけて、笑って、親のところへ行った。彼の目からは悲しさは消えていた。私はあのときのように雪の道に倒れてみた。雪が気持ちよかった。
(*これは一度メモしたものをツイートしたもので、本当の記録とは少し違いますが、できるだけ細部を補ったパターンとして挙げました。)

走馬灯

 かつての友だちがみんな出てきて、一緒に卒業式の証書授与の練習をした。本番が無いことは、僕も含め、全員が知っていた。

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後記

 何度も見るので、「天井が低い」はショッピングモールもの、「30年」は船デパート、「そして牛丼に到る」は牛丼と呼んでいます。生まれてきてそれぞれ50回ずつは見ていると思います。行くたびに細部が変わっていてとても楽しいです。慣れてしまって、初手でその夢だと気づくので、「今日はショッピングモール回だ」と嬉しくなったりします。

 基本的に、実体験感が濃いもの︰異常&SF=6:4くらいです。人によっては完全な架空のもの(自分も出てこなかったり、空の上で過ごしていたり)は見ないという人もいると思います。
 あと、夢の中はほとんど晴れています。夢の中で雨が降っていたことは人生上でも10回未満です。

 夢は自分だけが見られる最高の物語だと昔から思っています。色んな方々の魅力的な夢を聞けたらいいなと思います。みなさんも是非夢で盛りあがりましょう。

2020/04/23

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○短歌12首連作「誰」

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