短歌の15首連作です。
切断 丸田洋渡
死に際して夜に動いていたはずの監視カメラも ごといかれてた
開演時、鍵が掛けられていたのは数人に確認されている。
トロフィーは凶器になるから凶器にした 春は変に温かくて嫌だ
十五分隔てて浴びているものが血からお湯へと変わった それだけ
探偵の言うとおりに覗いてみれば細工がしてあった切断面
トロフィーを上半身は握りしめ少し離れている下半身
切断の理由は切りたかったから 桜の切り株からいいにおい
切ったあと抱きしめたりもしたかったけど そこは 良心っていうか
見て、それを思いだして、書く
【それぞれの間で十五年が経っている】
芸人が舞台袖から見ているよ あなたが出来る人かどうかを
たっぷりのバックダンサーを引き連れ祠の地下に入っていった
愛情により作られた合鍵が眠るあなたの部屋をこじ開ける
よりつらい方へと票が集まった主催者の想定の通りに
(ニュースから)咲いている桜の様子(ニュースから)死んだ人の様子
心は心がこもっている方へ傾く。こもっていると思われる方へ。
(他過去作品)
Empathize
幸運