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[2/9] 「ここは台所か? キッチンか?」

台所か? キッチンか?

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我が家のキッチンは大体こういう間取りになっている。黒い枠が壁で、人が通過できる範囲はちょうど逆 L の字の形をしている。冷蔵庫等の配置は今回はどうでもよくて (なぜ描いた)、ここには照明が 2 箇所あり、それぞれを操作するスイッチが壁についているのだが……。

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実はこのスイッチにかれこれ 10 年以上悩まされている。というのも……

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キッチンと、台所……?

キッチンは、台所だろ。

未だにどちらのスイッチが照明①, ②のどちらに対応しているのか覚えていない。

なお悪いことに、このスイッチは見た目で現在の ON/OFF が分からないトグル式になっている。なので、たとえば照明①だけが点いているときにこれを消そうと思っても一筋縄ではいかない。

もはや絶望しかないか。どちらの照明がキッチンと台所それぞれに対応しているのか、まるで他に利用価値のない情報を、貴重な脳の記憶容量を割いて覚えるしかないのか。

いや、まだ諦めるのは早い。キッチン=台所という常識をいちど疑ってみるべきだ。もしかしたら間取り業界では台所とキッチンにはそれぞれ定義があり、明確な違いが定められているかもしれない……! 「間取り業界」が存在するかどうかは、知らないが。

 しかし、綿密な調査の末に、台所とキッチンは同じということが分かってしまった。

結局、スイッチと照明の対応を覚えざるを得ないか。でもよく考えると、今まで 10 年以上もの間、対応を覚えずに過ごしてきたわけで、それで特に困っていることもない。

むしろ、普段の自分が対応のとれない照明とスイッチにどのように向き合っているかが気になってきた。

平均手数最小化

簡単なケースから最初に考えよう。照明がどちらも OFF の状態から、両方 ON にしようと思った場合。あるいはその逆。

こういうときは何も考えずに両方のスイッチを同時押しすれば 1 手で目的が達成できる。

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この方法が通用しない場合、つまり初期状態と目的状態が単純な反転になっていない場合、普段の自分はどうしているか。

たとえば、夜に冷蔵庫からなにかを取り出そうと思って、適当に片方の照明をつける。冷蔵庫からものを取り出しているうちに最初どのスイッチを押したかは当然忘れているので、照明を消すときにどちらのスイッチを押せばよいかが分からない……。といったシチュエーションはよくある。

そういうときは、やはり適当に片方のスイッチを押す。もしこれが「当たり」のスイッチなら、照明は目的の状態になっており操作は終了する。一方、これが「ハズレ」のスイッチだった場合。このとき照明の状態は目的の状態を反転したものになっている。なので、そこからスイッチを同時押しすれば目的状態へと移行できる。

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このように、とりあえず片方押す→ハズレなら同時押し、で上手くいくことがわかる。

書き出してみるとわりと当たり前ではあるが、自分でも気づかないうちに無意識にこの方法を習得していたというのはちょっと面白い。

一般の場合

より一般に、照明とスイッチがそれぞれ N 個ずつある場合、上記の手段はどういった方法に対応しているか?

基本的には、まず適当にスイッチを押して、スイッチと照明の対応を把握する。その後、目的の状態へ移行する。という流れを踏んでいるように思う。

スイッチが A, B, C, D, E, F, G, H の 8 個あったら、まず {A, B, C, D} を押して照明の変化を確認する。次に {A, B, E, F} を押して確認。最後に {A, C, E, G} を押して確認。これでスイッチと照明の対応が分かるので、あとは目的の状態へ行くためのスイッチを押せばよい。

このようにして最大 log_2(N) + 1 手で目的状態へ移行する、という方法の N=2 の場合が今回のケースに該当しそう。

とはいえ、照明が 2 個しかないという状態が功を奏して、陽にスイッチと照明の対応を復元しなくてもよい (対応を把握する作業中に運良く目的状態に行けるか、そうでなければ必ず目的状態の反転に辿り着く) という嬉しい性質があるのは大きい。無意識下で自然に習得できるような方法としては N=2 ぐらいで限界なのかもしれないなあ。

対応のとれない 3 個以上の照明とスイッチの組がある場所で日々生活している人がいたら話を聞いてみたい。

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