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[12/29] 本って知らんことばっか書いてあってすごい ―2020年11,12月―

この世界のことを何も知らないので世界の国の場所を覚えてから、はや半年。相変わらず知らないことばっかりだなあと日々を過ごしているうちに、あることに気がついた。

本って知らんことばっか書いてあってすごい。

そこで、11 月頭頃から色んな本を読み始めた。特に興味関心のある分野・問題があるというわけではないので、Amazon や物理本屋をさまよってピンと来た本を適当に選んでいる。せっかくなので、記録もしよう!

記録といっても、読み終えるたびに読書記録ツールみたいなのに残していくような純粋な記録というよりは、こんな本読んだなあと定期的に振り返るような形にしたかったので note に書くことにした。あと、ちゃんとした書評みたいなものではなく、振り返りながら雑な感想を添えていくぐらいの、ふわっとした感じで……。もともと全く無知な分野の本とかも雑多に読んでいるからね。

イスラームとは何か〜その宗教・社会・文化

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イスラームのことって、何も知らね~と思ったので。大まかな成り立ち・歴史・教義について、基礎的な用語からざっと入門できるし全体的に読みやすくて良かった。

聖書 (新共同訳)

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基本的に読み終えた本だけ記録しようと思ってたけど、例外的にこれだけは読んでいる途中だけど書いておく。

正直あまり深い意味とか目的とかはないが、なぜか毎日少しずつ読み進めていて通読を目指す勢いに……。まあ、そういう感じなので、読んでいてどうも退屈だな~って箇所は結構な勢いで斜め読みしているが、いまのところ飛ばすことはなく進んでいる。

旧約から読み始めていて、現状三大預言書を読んでいるあたり。あくまで特に信仰心もなく宗教的人間でもない自分から見て、という話にはなるが、面白く読める部分も結構ある。

各種創作物で触れる機会の多い有名エピソード達はもちろんのこと、信仰を通して普遍的な問いを議論・考察する「ヨブ記」や「コヘレトの言葉」は読み応えがある。一方で、淡々と歴史的記述が続くあたりはなかなか読み進めるのが大変な印象。

通読達成がいつになるか分からないけど、それまでの間でも適宜振り返っていこうかな。

汚穢と禁忌

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聖書の「レビ記」には律法の色々な規定が書かれているが、その中に清浄なものと不浄なものに関する規定がある。特に「こういう生き物は食べてよいが、一方でこういう生き物たちは汚れている」みたいな決まりがたくさん書かれているけど、これってそもそもどういうこと?汚れているって何だ?と思ったので。

自分には文化人類学とかの素養もなければ、そもそも人文系の本をしっかり読んだ経験も大してないので、読むのは結構大変だった。色々な研究者の論を引用しながら、それぞれに反論を加えたり、自説の補強としたりしていて、その分量がなかなか多い。なので「今の主題は何か」「今筆者は何を明らかにしようとしているのか」「今紹介された論の主張は何で、それに対する筆者の立場は何か」みたいなことをちゃんと意識しながら読まないとすぐ迷子になる。こういうのも読書慣れかな……。

肝心の中身はとても良かった。「汚れ」そのものについても勿論のこと、それ以前に「汚れたものが聖なる祭式において用いられることがあるのはなぜか」という問いに迫るための前提として祭式・儀式論が展開されており、非常に興味深かった。特に、儀式は社会的現実を創り出すことのできる、創造的な行為である、という見方は今まで持っていなかった。

初版 金枝篇 上

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なんか有名な古典なので。中心となる論やフレイザー自身の未開文化に対する物の見方は、先に挙げた「汚穢と禁忌」でも鋭く批判されていて、それ自体が直接なにかの参考になることはあまりなさそう。

個人的には、とにかく膨大な量の事例が載っている、一種の事典のようなものとして楽しむものかなという感覚。

一応そのうち下巻も読むと思うけど、まあまあ体力を使うのでしばらく間を置くかも。

ヴィクトリア朝英国人の日常生活 上:貴族から労働者階級まで

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本屋で見かけて気になったので。タイトル通り、ヴィクトリア朝英国人の日常生活を、朝の目覚めの時間から順に詳細に解き明かしていく本。

特筆すべきは、実際に筆者がヴィクトリア朝の生活を実践するグループに所属して、この本に書かれているような生活の多くの部分を経験していること。資料の渉猟による解説だけでなく、実際の体験に基づいて「あれが良かった」「これは大変だった」と詳細な感想が述べられている。

そういうわけで内容は基本的に面白いのだが、(ある種仕方のないことかもしれないが) 記述量がかなり服飾関係に偏っている気がした。上巻 (起床から身だしなみを整えて仕事に行ったり家事をするまで) だから余計にそうなのかもしれないが、幅広い性別・年齢・身分にわたって、服装の生地や縫製技術、化粧品などの組成が非常に事細かに記されている。そのあたりの分野への興味関心が薄いと (自分は薄い) 退屈な章が多くなってしまうかも。

なので、いまのところ積極的に下巻を買うぞという気にはなれていない。とはいえ、服飾関係への偏りは上巻ということもあるだろうし、内容は文句なく面白いと思うので、本屋で次に何を買うか迷ったら手を出してしまうかもしれないな。

演劇入門

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舞台における「リアル」とは何かについて、しっかりと解説されている書。

「リアル」であるとはどういうことか、から始まって、なぜそれを実現することが難しいのか、その困難にいかに立ち向かうか、ということが非常に論理的に説明されているのが印象的だった。

各論的な技術紹介でも、精神論的な創作論でもなく、「リアル」についての問いを「コンテクストの共有」という観点から理論立てて考察しており、その点についてはシンプルに好感が持てた。

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