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一般に本を読むとたくさんの文字を読むことができる ―2021年1,2月―

知らんことが書いてある本を読んで記録するやつ。偉いので、一回やって飽きて終わらず、二度目ができる。偉いので。

複数の本を並行して読んでいるので、記録の境界を跨ぐ本が結構あるけど、基本的には記録の期間内 (今回は 1, 2 月) に読み終えたものを載せることにする。聖書みたいに全体が長すぎるやつはさすがに例外。

ところで、大抵の場合日本語はスラスラと読めてしまうので、普通のペースで本を読んでいると実は全然頭に残っていないことがある。その瞬間は文章を読んでいるから何か分かってはいるが、数日経つともう本筋すら忘れているみたいなことがあって気になる。特に全然詳しくない分野の本とかで顕著。

なので、よっぽど読みやすい本以外は基本的に毎日少しずつ読む (それを複数並行する) ことにしていて、特にちゃんと理解しているか怪しいと少しでも思ったやつは、その日読んだ分の要約を自分でまとめている。これで当然読書ペースは落ちてしまうが、今のところこのやり方が性には合っている。

しかし一方で、よく知らない幅広い分野の本に触れていくなら、ペース重視で普通に読んで量をこなしていったほうがいいのでは、とも思う。どうかな?

初期仏教 ブッダの思想をたどる

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Twitter でおすすめされたので。とはいえ、日本に渡来してきた仏教の教えはともかく、初期仏教のことは「形而上のことよりも実践的な哲学を重視してそう」みたいなぼんやりした認識しか持っておらず気になってはいたところなので、興味深く読めた。

そもそもどうやってブッダ本人の思想 (とされて伝わっているもの) を辿るのか、という点で、各部派の三蔵を分析して丁寧に共通部分を探り出すという現代の仏教学のアプローチ紹介が本書の前半。後半でそうして取り出された初期仏教の中心的な考え方が紹介されているという構成。なので「ブッダの思想」だけでなく、それを「たどる」ところまで含めた仏教学の入門という感じ。

聖書 (新共同訳)

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相変わらずチビチビ読み進めている。前回から、三大預言書を経て十二小預言書を読み、ようやく旧約聖書を読み終えた。預言書は全体的にテーマや語られていることが似通っていることが多く、なかなか読み進めるのはタフだった。ヨナ書みたいにわかりやすい物語があるやつは癒やし枠だった。

今は新約聖書に入り始めたところだが、さすがに旧約とは文書の性質からして全然違うので、読むべきところの密度が一気に上がったという印象。まあ最初だからかもしれないけど、内容的なペースを一定にしようとすると今後はわりと聖書読みのペースは落ちるかな。ゆっくりやろうぜ。

グリム童話―子どもに聞かせてよいか?

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適当に本を選んでいたら重いのばかりになって、助けを求めて本屋に行き、薄さだけを見て買った。そもそも、グリム童話を読んだことは、全然ないが……。

グリム童話に対してよくある(?)批判に筆者が応えてグリム童話を擁護する、というのを何パターンかやる本。個人的には、グリム童話を子供に聞かせてよいかどうかという点にはそこまで興味がなく、どちらかといえば回答の中で紹介される童話の研究や分析についての話が面白かった。

たとえば、童話や昔話には普通の漫画や小説の話とは違う、なんか「童話っぽさ」みたいなものがあるというのは自分でもなんとなく感じていたけど、その一面として「昔話に登場する人物は心の内部を持たない」(生きた人間としての描写ではなく物語の中で果たす機能に本質がある) とするマックス・リューティの分析はかなり得心がいく。

性欲の科学 なぜ男は「素人」に興奮し女は「男同士」に萌えるのか

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これも重い本が多いときに助けを求めて Amazon に行って買った。

人が何に性的興奮を覚えるのか (当然それは人によって違うので、どういう傾向があってなぜその違いが生まれるか) をテーマに、インターネット上のデータや過去の研究を幅広く紹介している。本の性質上、わりと浅く広くといった感じ。データや実験の紹介はともかく、脳のつくりの違いで様々な結果を説明しようとする点ではあまり突っ込んだ話がなく、推測や仮説にすぎないことが多いという印象。(本全体の読み味のために、あえて詳しい記述を省いているのかもしれない)

翻訳面では、重要なテクニカルタームがカタカナで書かれていて英語表記がなくて困るということがあった。たとえば「マジック・フー・フー」(エロティックロマンス小説において、主人公の女性が持つ不思議な (性的) 魅力で、ヒーローの男性を一撃で虜にしてしまうもの) について調べようと思っても、カタカナのままでは何も出てこないし英語表記も分からない。ちなみにこれは、色々頑張って調べたところ Magic Hoo-Hoo だった。

若い読者のための経済学史

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古代ギリシャの思想家から現代の経済学者まで、主だった経済学者 (経済思想家) と経済学の歴史をまとめた本。内容はてんこ盛りで重そうだが、40 の章に分かれていて各章は 10 ページ以下のことが多く、また語り口も分かりやすく相当に読みやすい。イェール大学出版局のこのシリーズは他にもあって、それらも気になるところ。

経済学上の主要な概念や分野などについてもさらってくれているので、聞いたことはあるけど実は全然内容知らんかったわ、みたいなものについて知ることもできる (恥ずかしい話だけどサブプライムローン危機とリーマン・ショックが大体どういうことだったのかとか、全く知りませんでした……)。とはいえ、経済学入門というより「経済学史」の本なので、詳細な理論や数学は出てこず、基本的には経済思想家たちの紹介といった趣で、何かを学ぶという気持ちでなくても読み物として面白いぐらい。

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