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何でもすぐに答えを求める傾向があり、勉強中に少しでもわからない問題があると、怒り、説明を聞こうとしなくなります。どのように勉強を教えてあげるといいでしょうか。

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1.ストレス耐性、感情のコントロール、反応の抑制、目標への持続性、計画と優先順位付けが関わっていそう

まずは、どのような実行機能が関わっているかを理解するところが、最初のポイントではないでしょうか。うまくいかないとパニックになるということに近いですね。ストレス耐性感情のコントロール反応の抑制が主に関わっていそうです。そもそも勉強がしたいのかというところもあるかもしれません。やりたくないのにやらされているのであれば、少しでもできなければ怒って考えなくなるのも無理はないかと思います。そういう面では、目標への持続性計画と優先順位付けも関わっているかもしれません。

2.目標設定と優先順位の理解ができていて、勉強をしたいと思えているか

目標設定と優先順位の理解ができていて、勉強をしたいと思えているかどうかの確認をして、そこができていないとしたら、そこからです。勉強についての目標があり、嫌でも勉強をすることが自分には必要だと認識している状態である必要があります。年齢にもよりますが、単純に、お子さんとどうして勉強がしたいかを話し合うという方法が考えられます。勉強自体はやりたいとは思えなかったとしても、良い成績を取りたいとか、親や先生から褒められたいでもなんでもいいので、勉強をやる理由を本人から引き出せるといいでしょう。

それが引き出せたら、やりたいといっても、常に頑張れるわけではないことは許容しつつ、なんとか頑張るためにどんなことができるか(目標への持続性)、勉強をさぼって遊びたいとか、別のことを優先したいと思ったときに、どんな風に考えたらいいか(優先順位付け)、など、年齢に応じて、相談相手になってあげたり、アドバイスをしてあげたりしてあげるといいと思います。人間は、できることしかできないので、親が完璧主義にならないことは、どんな場面であっても重要だと思います。実行機能を鍛えるためには時間が必要で、鍛えるよりも先に、苦手だということを受け入れる、認める、尊重するということが大事です。

3.自分では頑張りたいと思うけれどできない場合

目標が立てられて、優先順位もついて、自分でも頑張りたいと思うのだけれど、わからないとすぐにイライラしてしまうということはあります。この場合は、ストレス耐性、感情のコントロール、反応の抑制が問題の中心だろうと思います。思い通りにならないとイライラしてしまう(ストレス耐性)。不確実なままモヤモヤを抱えておくことができない(ストレス耐性、感情のコントロール)。全部完璧じゃないと気が済まない(感情のコントロール)。イライラしたときに、発散せずにはおけない(反応の抑制)というような状態であることが推測できます。

まずは、短気で気難しい子だということを受け入れる必要があります。それは、親が受け入れるということもあるし、本人自身も、年齢によっては、自分の特徴を受け入れられるといいですね。若干話がずれますが、中高生ぐらいまでの子供が自分を変えたいというのは、必ずしもいいことであるとは限りません。自分を受け入れられていない、認められていないことの表れてあることも多いです。そういう時は、保護者は、応援しつつ、本人の変わりたいという思いは理解し尊重しつつも、「頑張ろうと思うことは素晴らしいことだけど、私としてはそこまで頑張らなくてもいいと思うよ」というスタンスである方が無難だろうと思います。

すぐに答えを求めるのであれば、すぐに答えを与えてあげる方が、その子に合った勉強法なのかもしれません。ざっと見ただけで理解できないと怒るのであれば、ざっと見ただけで理解できそうだと思える問題をやった方がいいのかもしれません。必ずしも、本人を変える、成長させる、鍛えるということが、最適解とは限りません。

4.はじめはサポートしてあげながら落ち着いて取り組むことを練習

あくまで、このような前提の上で、ストレス耐性、感情のコントロール、反応の抑制に関する困難に対してどう対処できるかということを考えていけるといいと思います。まずは、勉強場面なので、わからない問題があって、考えたくなくなるというのは、許容してあげるといいと思います。その上で、気持ちが落ち着くまで、待ってあげる。落ち着いたら、「一緒にやってあげるから大丈夫」と、励ましながら、少しずつ進めていきます。このように、最初は手取り足取りサポートを受けながら、一見大変そうなことでも、落ち着いてやればなんとかなるという経験を積むことが、ストレス耐性、感情のコントロール、反応の抑制を高めることにつながります。

5.「わからない」わずらわしさを抱える

徐々に簡単な声掛けで気持ちを落ち着けて取り組めるとか、そばで見ているだけでもひとりでできるようになるととてもいいと思います。答えが見たかったら、初めは見せてあげる。そこから徐々に、答えを見る前に、10秒考えてみない?と提案したり、答えをすぐに見せるのではなくて、本人は嫌がるかもしれないけれども、ヒントを出して数十秒時間を稼ぐということをやっていきます。この10秒~数十秒というのは、子供が速く答えを見たいのだけれども見られないという葛藤を抱える時間になります。10秒が難しかったら、3秒からでもいいので、徐々に伸ばしていけるといいでしょう。

6.完璧主義への対処

完璧主義への対処としては、間違いを経験させつつ、十分な励ましをするということになると思います。完璧主義な子は完璧主義なんだから仕方ないということは頭の片隅に置きつつ、少しでも緩められたらラッキーというスタンスで関わります。あまり間違えさせすぎるとやる気をなくしてしまうので、ちょっとした失敗と失敗した後の周りからの励ましを積み重ねていくのがいいだろうと思います。励ましというのは、「次はうまくいく」というのではなく、「それくらい間違えても大丈夫。確かに100点(1位)がいいけど、100点(1位)はそうそうとれないよ」、「点数(順位)よりも、どれだけ準備を頑張ったか、自分がどれだけ成長できたかが大事なんじゃない?」という方向性の励ましの方がいいと思います。

7.反応の抑制について

反応の抑制については、上記の通り、一緒に勉強しながら、その場で、「落ち着いて、リラックス」と声をかけることの他に、瞑想(座禅)、にらめっこなどの練習が考えられると思います。瞑想や座禅は、マインドフルネスとして心理学の実践で取り入れられていて、学校で行われることもあります。初めのうちは、ただ黙って座っているとか、動きたいのを必死に我慢するだけかもしれませんが、徐々に、自分の中の衝動も落ち着いてただ見つめていれば収まっていくということを理解していきます。身体で感じた不快感にすぐに反応するのではなく、じっくり観察してから反応する態度は、正に、反応の抑制が十分機能した状態と言えます。小学校低学年くらいの年齢だと、遊びの中で、反応の抑制を体験できた方がいいかもしれません。1つは、にらめっこのようなものがあります。笑わずに我慢することができるかどうか。遊びを通した小さなことの積み重ねが、より実践的な、パニックの抑制などにつながるはずです。

子供の瞑想(座禅)はこちらの本もご参照ください。


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