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他愛ない日常の記述

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日ごろ思ったことをそのまま書こうと思います。
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#ショートショート

そこにいたはずの自分を探して

親バカが過ぎる程度に、娘を撮っている。 いつか嫌がられる… なんて口で言いつつ、信じたくない。別にいいや。 撮るにつれ、誰かを重ねた。 実家のアルバムを漁ると、30年前の子がいた。 娘と並べた。 瓜二つ、でも同じじゃない。 過日、別の写真にあった遊園地に来た。 約30年ぶりだった。 なのに「懐かしい」感覚はなかった。 当時の記憶は断片にも満たない。 細かく砕け、薄く均された砂粒のように掴めない。 案内板も、パンダの乗り物も、スワンボートも、 確かに写り込んで

日常:2019/4/29 僕が知ってる、この街は20代のまま

「中央線」と聞くと、同名の路線を3つ知っている。個人的に、朝のJR東海の中央本線に風情を感じる。早朝、ひとけのない都市部から走り出す。徐々に標高を上げ、住宅街を抜けて、霧の山間を走っていく。田舎の静けさと冷たい空気が、停車したドアから溢れ出る。ひと駅ずつ、ひと知れず、慣れた街を離れていく。 さて、この連休で、大阪から名古屋に帰ってきた。名古屋にはちょいちょい帰ってるけど、今回フリーな時間ができたので、出かけることにした。 滞在先の高蔵寺ニュータウンから、中央線に乗って、市

日常:2019/4/7 太陽の塔と、食って寝るだけのお花見

家族と休養のため、桜の名所でもある大阪万博公園までおでかけ。朝からテキトーなランチを仕込む。激しい運動ができないため、ただ食って寝ることを念頭に向かう。 オーサカモノレールを降り、幹線道路にかかった公園に続く橋へ。だいたいここで行列になる。近道でもあればいいが、近場で道路を越える橋はこの一本だけという単一障害点。負荷分散してくれることを願いたい。 待たされたのち入場。いつも見守ってくれる太郎さんに挨拶をして、花見スポットに向かう。 「こんにちは、太郎さん。」(これは別日

日常:2019/4/5 我がタンとサラスヴァティ

舌の表面がひび割れして痛みがあるため病院に。舌のひび割れなんて考えたことがなかった。調べると口腔の乾燥か、細菌か、ストレスか、が原因らしい。たぶん乾燥と歯ぎしりのせいだ。「ストレスが原因」って、いろんな病気で言われてそうで、あらゆるお医者さんがテキトーに言ってる気がしてならない。そんなこんな考えるうち、名前を呼ばれ、クスリを塗ってもらって終了。すぐには変わらない症状。外気は乾いて沁みる。 舌って、かんたんに割れてしまうらしい。スプリットタンという身体改造があるが、ピアスの要

日常:2019/3/29 年度末を探し歩いた

3月末、賑やかな新宿の深夜。喧騒をかわして、疲れた身体をホテルに運ぶ。送別会の群れが、至るところで笑い声をあげている。許されそうな雰囲気に甘えたい。年度末に置いてけぼりになりたい。まだ、タスクは終わっていないのである。 フラフラとたどり着いたホテル。受付のシュッとした男性が、ひしゃげた表情で「予約がありません」と言う。疲れた身体、すべてベッドに預ける気マンマンな僕は、わりと動揺してスマホの予約メールを確かめる。「宿泊日:4月28日」自分の誕生日だ。いや、ん、まて、今日は3月