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「モータの基礎がわかるモータ基本情報」@ ニデック

 モータを体系的に考えてみる

 ニデックさんが公開されている「モータ基本情報」の記事を、ちょっぴりコメントを添えて、ご紹介します。
 以前、関西支部の X(旧Twitter)でもお伝えしましたが、電験3種・2種の「機械」科目を一通り学習したぐらいの時期に、この記事をご覧になられると、なるほど! って気づきがあるように思います。
 各ページに勘所が子気味良く書かれており、実物写真や解説図が豊富に組み入れられています。

以下、ごく簡単ですが内容を紹介します。

1章 モータの体系を見直す

 記事の最初に、「電力を動力に変換する装置、あるいは電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する装置のこと」としてモータの紹介があり、エネルギー・フロー図が添えられています。
 入り口に、モータの構造図や写真ではなく、エネルギー変換のプロセスを示すところからも、専門家の観点・意識が感じられます。
 回路損、銅損・鉄損、機械損、発熱などは、その要因も含めて、電験1種や2種の学習でも、かならず意識するところです。

そこから先に進み、ページをめくって、モータを構成する材料の概説文などを読まれたころには、もう「なるほど感」をじんわりと感じ始められるのではないかなと想像します。
今までの経験や学習で得た知識が、なんとなく記事の内容に結びついてくる・・・そんな感覚があればよいなと思います。

ちなみに、お伝えが遅れましたが、ニデックさんでは、「モーター」ではなく、「モータ」と表現されます。ご承知おきを。

さらにページが進むと、ブラシレスDCモータの概説あたりから、後述される詳しい説明の前振りのような情報が、ポツリポツリと出てきたりします。読み流してしまいそうなところですが、マンガで言う「伏線」のような感じです。

また、モータの構成要素図も丁寧で、「機器設計の実際」を垣間見ることができます。
例えば、かご型誘導モータでは、導体バー(ロータバー)が斜めに描かれており、それが実物写真とも一致します。
なぜ、斜めなのか。
おそらく電験3種のテキストなどでは、このような図示/表現はないと思います(原理をわかりやすく説明するため、まっすぐな形状で図示される)。
他方、電験2種のテキストや大学講義で使用される電気機器のテキストでは、その設計上の理由や他の対策なども含めて概説があったかと思います。
ということで、何の対策であったかを思い出しつつ、眺めて頂くとよいかと思います。

2章 モータの基本を理解する

 ここからは、主だったモータの回転原理の基礎や特性が概説されています。ブラシレスDCモータの節では、回転動作のスイッチング・ロジックや位置検出について、工夫された図解があります。

全般を通して丁寧な説明が入っており、わかり易いと思いました。
要所では専門的な用語や特徴も表現されています。
例えば、誘導モータやステッピングモータとの違いとして、DCモータの「速度ゼロでも電流に比例したトルクを発生する」という特徴に触れ、大きな外力が加わっても電流を制御して停止位置を保持(位置決め制御)できることが、サーボ制御に用いられる理由(適性)であるとして紹介されています。

記事の書き手の方が示されている勘所を一通り理解するには、そこそこの基礎知識が求められるように思いましたが、別途、ニデックさんが用意されている「モータ用語集」も参考に、通読されると色々と気づきが得られてよいのではないかと思いましたので、あらためて紹介しました。

(参考)


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