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そして誰もいなくなった

高校時代の友人と会った。
彼女とは登下校も部活も一緒でよくカラオケに行ったり好きなアーティストのCDを貸し借りしていた。
毎日一緒にいても不思議と話題をは尽きなかった。この間撮ったプリが盛れたとか痩せたいとか好きな芸能人が昨日テレビに出ていたとかそんな他愛もない話を延々と続けていた。


数年ぶりに再開しても時間を感じさせないほど彼女との時間は気楽なものだった。
ただ不思議なことに、お互い積もる話もあるはずなのにあまり話が弾まなかった。ぽつぽつとした会話にちょくちょく訪れる沈黙に2人とも意味もなくスマホを触ってやり過ごした。
帰り際に「今からショッピングしに行くんだ」と生き生きした表情の彼女を見て、何となくこの時間が終わってホッとしているんじゃないかなとぼんやりと思った。
かくいう私もずっと会うのを楽しみにしていたのに、正直会っている時の時間よりも帰りに寄った本屋で立ち読みしたことの方がずっと楽しかった。


昔の友人に会っても楽しくない問題に気づいてしまった。友人のことが嫌いになったわけじゃない。むしろ大切な存在だ。だけど「会いたい」に「話したい」という気持ちがついてこない。ぶっちゃけ話すことがない。それよりも1人でサクッと美味しいものを食べに行ったり、趣味の検定の勉強をしている方がずっと幸福感がある。


28にもなると周りも皆結婚や出産で休日遊べる存在がだんだんといなくなっていく。だから遊べるうちに遊ばないと!と思うものの実際遊んでも話すことがないというジレンマに陥っている。ライフステージも同じで遊ぶ時間も金もあるのに肝心の話題がない。なんと悲しいこと...


生活環境が変化すると昔の友達と話が合わなくなる、というのをよく聞くけどきっと私は今まさにそれを実感しているんだろう。不思議と寂しいという気持ちはあまりない。というかもうそんなセンチメンタルな気分になるにはあまりには社会に揉まれすぎた。こうやって段々とみんな誰とも遊ばなくなって自分の身近な人間関係で事足りるようになっていくんだろう。
大人になるって虚しくて楽しいな。

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