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コクとキレの二元論の中で~マルエフに考える

アサヒビールからの新商品、マルエフ。とてもレトロな佇まいで「ぬくもり」「やさしさ」をコンセプトにしたビールとのことです。で、実はこれリバイバル商品、1986年にアサヒビールを危機から救ったコクキレビールの復活なのです。えー、あの昭和コクキレビールが令和に「ぬくもり」「やさしさ」で復活するとは。1986年にアサヒビールが膨大なモニター調査の結果、従来のビールの常識を覆して出したコクキレビール。「コクがあるけどキレがある」というコンセプトなのでそう呼んでますが…。1986年といえば、私が社会に出た二年目。日々、深夜まで粉を売っていた頃です。その粉屋には残業食という仕組みがあり、夜に営業から戻って皆で残業しながら店屋物をいただくというものです。で、この頃、アサヒビールの新製品にちなんで、あらゆる人を「コク派」か「キレ派」に分けるのが流行ってました。「お前は典型的なキレ派だ」とか、「一見はキレ派に見えるけど実はコク派」とか、「あの社長がコク派で大変だった」など馬鹿な話をしながら残業食をいただきます。展開されるのは、コクとキレの二元論です。天使と悪魔、善と悪、大空と大地、光と闇、対局の二つで物事を表します。そんな二元論の対局のコクとキレが共存しているビールなのです。天使と悪魔が内在されているビールです。凄いインパクトがありました。その後のスーパードライ旋風で影が薄くはなりましたが、今のアサヒビールがあるのは、やっぱりこのコクキレビールだったんじやないかと思います。そして、このダイバーシティの時代に二元論ビールが復活し、「ぬくもり」「やさしさ」をコンセプトにコンビニの棚に大量に並ぶ、とっても今らしいと感じます。コクキレビール誕生の翌年である1987年にはスーパードライが誕生。「辛口・生」を前面に出し、おーキレに振り切ったんだとその時は感じました。まさにバブル、振り切る時代だったのです。スーパードライがあまりに売れたので、ラインが回らずにコクキレビールはその後に生産停止となります。マルエフという名前でレトロチックな外観での再販売、凄いと思います。コンセプトはつくるものです。そして、このロゴもいいよねぇ。


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