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国内初!ペンギンを上から眺めるプールをつくる-都市型水族館への挑戦 #04
皆さん、こんにちは!
JCEL株式会社 代表の三坂です。
前回の私の記事では、「絶対に諦めないチーム」と題して、都市型水族館の理想と現実の壁についてお話しました。
まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください!
実はむずかしい、ペンギンの展示
「東京スカイツリータウンの水族館」のキーコンテンツは「ペンギンプール」。そして、「ペンギンプールを上から眺めるのがポイント」と決めたのですが…
国内の水族館はどこを見てもペンギン展示はアクリル板で完全に閉鎖されていて水槽を横から観るものしか見当たらない。
当然それには何か理由があると思い飼育員に尋ねてみると、
「ペンギンの糞はとても臭くて屋内での開放型の展示はナンセンス。実は飼育スタッフは毎日めちゃくちゃ臭い展示ルームで鼻をつまみながら掃除しているのですよ(笑)。」
と教えてくれた。
それでは今回のプランニングはまったく成立しないではないか!
プランニングの残り時間が迫って来ている中で途方に暮れるしかありませんでした。
日本の水族館の"ナンセンス"なコモンセンス
しかし、そこでいつもの「そもそも論に戻る」という癖が出てきました。
「そもそもペンギンは物凄いスピードで水中を泳ぐ生き物。水族館は大きなプールで展示したいと思うはず。国内には無くても世界のどこかで『大型屋内開放型ペンギンプール』にチャレンジしている水族館はあるのでは?」
検索してみるとありました!
米国マサチューセッツ州ボストンにあるニューイングランド水族館に大型屋内開放型ペンギンプールがあることがわかりました。
我々は早速ボストンに飛んで「日本の水族館のナンセンス」を解くことにしました。(さらっと書いていますが「ペンギンの臭いの検証」の為の海外出張の社内決済を取るのが極めて難儀であったことはご想像の通りです…)
ボストンの飼育員からの学び
ニューイングランド水族館はボストンのウォーターフロントに1969年に開業した歴史ある水族館です。施設は決して新しいとは言えないため、課題である「ペンギンの臭い」はある程度覚悟していました。
現地に着くとすぐに「臭い」の検証です。
水族館の入口を過ぎるとすぐ目の前に日本では見たことのない『大型屋内開放型ペンギンプール』が現れました。展示面積1,000㎡程はあるであろう巨大プールで100羽近いペンギンたちが縦横無尽に泳いでいます。
問題のペンギンの臭いは…
まったくしません(古い水族館独特の若干の「塩素臭」だけがしていました)。
近くにいたペンギンの世話をしている飼育員に片言の英語で尋ねました。
「ここの水族館のペンギンプールは完全開放型なのにどうして臭いがしないのか?特殊な消臭設備を設置しているのか?」
飼育員は、
「徹底的に掃除するんだよ!ペンギンの糞はとても臭いから放置するととんでもない悪臭を放つ。だから、我々はいつも綺麗にし続けるんだ。掃除しながらのお客様とのコミュニケーションも楽しいしね。」
と気さくに答えてくれた。
彼はそのままペンギンプールに消えていき、プールに浮かぶペンギンの陸場の清掃を始めた。スロープからペンギンを眺めるお客様と楽しそうに会話しながら…。
ペンギンの臭い解消だけでなく、コミュニティ創出のヒントまで与えてくれたボストンの飼育員に感謝!
JCEL株式会社 代表取締役 三坂伸也
三坂伸也の略歴
一級建築士
早稲田大学理工学部を卒業。
1985年大成建設(株)入社。
1989年オリックス(株)入社。
オリックス不動産(株)水族館事業部長、オリックス水族館(株)常務執行役員を経て、2014年12月オリックス水族館(株)代表取締役に就任。
京都水族館(京都市下京区)、すみだ水族館(東京都墨田区)の開発・運営責任者として陣頭指揮を執る。
2019年 2月JCEL(株)設立、代表取締役社長に就任
JCEL株式会社
国内で常に新たな水族館の形に挑戦をしてきた三坂伸也が代表を務めるJCEL株式会社。満を持して海外へ進出、「水族館の公園化」