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絶対に諦めないチーム-都市型水族館への挑戦 #03
皆さん、こんにちは!
JCEL株式会社 代表の三坂です。
前回の私の記事では、「誰もやらないことをやる」と題して、京都、そして東京スカイツリーを舞台とした、新たな挑戦の始まりについてご紹介しています。
まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください!
都市型水族館への挑戦
我々がアプローチした「東京スカイツリータウン開発」の責任者は都市型水族館の考え方に「面白い!この開発では新しいコミュニティの創出を目指している。本件は至急検討する。」と前向きな反応。
しかし既に当該開発は基本設計を終えようとしている段階でした。
我々は小規模の水族館を想定していましたがそれでも延床面積5,000㎡の確保をお願いしました。
基本設計完了時点ということで、ほぼテナント区画はすでに構築され、それだけの面積を確保するには西棟の最上階4階及び5階の一部を合算する形しか選択肢はないとのこと。更に当然ながら当該区画には水族館に対応する構造仕様は備わっていないとのこと。
誰でもわかることですが水族館というのはとてつもない重量の施設でして、通常の商業施設の床過重の最低でも3~4倍、ちょっとした大水槽を設置するとなると10倍以上の耐荷重が必要になります。
そんなものを建物の最上階に設置するって…。
理想と現実
開発全体を設計していたのは国内随一の設計事務所。
設計担当者は「このタイミング(基本設計完了時)で水族館を入れたいというのはナンセンス。そんなことをしたら全面的な設計変更となり、開発スケジュールそのものに支障をきたす可能性が大きい。」との反応(当然ですし、設計者としては正しい判断)。
しかし、都市型水族館に興味を持ってくれた開発責任者は「諦めるのは早い。どうしたら出来るかを徹底的に検証しましょう!その上で成立条件が不合理であれば断念する。」と熱いコメント。
設計者も「開発者がそこまで腹を括るなら全面的に協力しましょう!但し、早急な検証及び決断が必要。1ヶ月以内にプランニングが完成しなければ諦めてください。」
我々はすぐに検証作業に取り掛かることになりました。
課題解決のポイントは、
「床過重を軽減するために極力水量を減らすこと。特に水深の深い水槽はNG、平均的な水深は1m程度。」。
水深1ⅿで1トンの過重が発生します。2mで2トン、3mで3トン…。
一方で水族館の目玉商品と言えば「大水槽」。それは最低でも5~6mの水深が無いと物足りなく感じるでしょう。残念ながら今回の条件には合致してきません。
水深1mでも存在感のある水槽を作りたい!
急がば回れ
1ヶ月以内にプランニング完了という期限は刻一刻と迫って来ていましたが、一向に解決策は浮かびませんでした。
水族館の目玉商品である『大水槽』とは何なのか?
先入観を捨てて改めてゼロから考えてみることから始めました(遠回りのようですが埒が明かない時には重要な手法です)。
水族館事業の可能性を教えてくれた新江ノ島水族館で感じた大水槽の魅力は、
目の前に広がる吸い込まれるような『大きな水』の存在
大きな水』の中を魚たちが群れになって自由に泳ぐ姿
やはり『大きな水』が不可欠のようです。
水深1mという制限と『大きな水』との共存…それは明らかに相容れない関係に思えたのですが、
「そうか!大水槽を横に寝かせて上から眺めれば成立する!」
物理的にはひらめきました。
しかし、展示的に水面を上から眺めて存在感のあるいきものとは…
エラ呼吸の魚類は基本的には水中に居て、水面からは視認性が悪い。
水面に白鳥でも居たら存在感はあるが、大水槽の魅力である「群れになって自由に泳ぐ姿」は再現できない。
大きな水深不要、水面近くで活動、群れになって泳ぐ…
「そうだ!ペンギンの群れが広々したプールでスイスイ泳いでいたら美しい!しかも、水面に浮かぶ陸場を歩く愛らしい姿が上から眺められたら嬉しい!」(白鳥というのは中らずと雖も遠からず…自由な発想は大切ですね!笑)
これでキーコンテンツは決まった!
我々は早速プランニング作業に取り掛かりました。
JCEL株式会社 代表取締役 三坂伸也
三坂伸也の略歴
一級建築士
早稲田大学理工学部を卒業。
1985年大成建設(株)入社。
1989年オリックス(株)入社。
オリックス不動産(株)水族館事業部長、オリックス水族館(株)常務執行役員を経て、2014年12月オリックス水族館(株)代表取締役に就任。
京都水族館(京都市下京区)、すみだ水族館(東京都墨田区)の開発・運営責任者として陣頭指揮を執る。
2019年 2月JCEL(株)設立、代表取締役社長に就任
JCEL株式会社
国内で常に新たな水族館の形に挑戦をしてきた三坂伸也が代表を務めるJCEL株式会社。満を持して海外へ進出、「水族館の公園化」