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幕開け #JCEL Gakkatsu!:Kickoff

コロンビア大学教育大学院(Teachers College, Columbia University, 通称TC)の山根です!2021年9月より当大学院の修士課程へ進学しています。在学中の有志で立ち上げたJCEL(Japanese⇔Columbia Education Loop)の第一回イベントが先日行われましたので、発信をかねてこちらのnoteに記録していきます。
JCELの活動に関心がある方、コロンビア大学・TC・海外大学院に関心のある方、日本の教育について考えたいという方にとって少しでも参考になれば幸いです。

【はじめに:JCELとは?】
JCELとはコロンビア大学在学中の学生を中心として、「10年後の日本の教育の未来を考える」ことをテーマに立ち上がった学生団体です。
定期的に「Gakkatsu」と称したミートアップを行っています。
詳細のゴールや、立ち上がった背景に関してはこちらの記事をご覧ください。

【Gakkatsu: Kickoff!:当日概要】
2021年11月19日。「Gakkatsu! Kickoff!」と称してJCEL初めてのイベントが開催された。参加者は5人の運営を含めて26名。「『10年後の教育を考える』という暑苦しいフレーズを掲げているような見ず知らずの団体にどれぐらいの人が関心を持ってくれるのだろうか」という心配は杞憂だった。

何よりうれしかったのはTC以外のプログラムから多くの方が参加してくれたこと。同大学内の国際公共政策大学院(School of International and Public Affairs, SIPA)やビジネススクール、エンジニアリングスクール等から参加者が集まってくれた。大学院だけではなく、学部生やニューヨーク在住中の社会人の方々も。JCELの目標の一つでもある、コミュニティの形成に向けてまずは一歩前進だ。

JCELの目的はコミュニティ形成に加えて、お互いの学びを深めながら、日本の教育に対する知見を深め未来像を作り上げていくこと。今日は第一回目ということで、まずは参加者にお互いのことや団体のことを知ってもらうことが最優先。アイスブレイクやキーノート、ディスカッション等盛りだくさんのアジェンダだ。

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まずはアイスブレイク。3~4人のグループに分かれ、「お互いの共通点を見つけ、グループ間で数を競う」という簡単なものだ。「みんな日本人!」「全員マスクしてる!」「みんなニューヨークにいる!」等、”そりゃそうだ”作戦で勝ちに来たグループから、一つ共通点が見つかるとそれを丁寧に深めていく大人なグループまで。それぞれ個性が出て面白かった。優勝チームにはポッキーを一袋ずつ。アメリカでも買えない訳ではないが、海外で日本のお菓子をもらうといい大人であろうと謎にテンションが上がるのだ。

アイスブレイクの後はJCELの顧問にこの度就いていただくことになった、サンドラ大喜多教授によるキーノートだ。日本へ出張されているということで、現地では深夜3時を回ってからのオンライン参戦。頭が上がらない。先生の研究内容の紹介から、先生が考える日本教育の10年後のビジョン、及びこれからのJCELに期待することに関してお話しいただいた。

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大喜多教授の専門分野はテクノロジーを活用した教育。個人的に特に面白かったのが「ドラえもんは良い教育用ロボットといえるだろうか?」という問いだった。例えば暗記パン。テスト前夜にのび太君がドラえもんに泣きつくと出てくる定番の道具だ。暗記パンを使えばなんでも覚えることができるし、テストでいい点数をとることができる。ただし長期的に見るとどうだろう。暗記パンに頼ることによってでしか記憶をすることができないことはのび太君にとって望ましいのだろうか?伝統的な教育を受けてきた僕などは反射的に「望ましくない」と言いたくなるが、必ずしもそうとも限らない。暗記パンが世の中に安価で普及しているのであれば、今までのように暗記に時間を費やす理由などないのかもしれないのだから・・・。自分の解釈も入り混じったお話となってしまったが、テクノロジーが今後の教育の中でどのような役割をになっていくのかを考えさせられるキーノートだった。

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キーノート後はサンドラ先生のスピーチを元に、「未来の教育はどうなっていると思うか」「自分は今後どのような取り組みをしていきたいか」というテーマでグループディスカッションを行った。「ここでいう教育とは公教育なのか、個人の幸せのためなのか何を指すのか定義しないと始まらない」「古典は必修であっていいのか?学習コンテンツを見直さないといけないのでは」「学校の役割は変わっているかもしれないが、なくなっていいわけではない。学校とは何のためにあるのか、先生の役割は何か、改めて考えなくてはいけない」等、様々な意見が飛び交う。中には「大喜多教授が言う教育は結局社会の経済発展しか視野に入れていない。教育とはもっと他に意味があるものなのでは」等の辛辣な意見も。賛否両論の意見が多く、参加者が日ごろからため込んでいるのであろう課題意識が垣間見えた時間だった。

こうして一回目のGakkatsu! Kickoffは終わった。話したりなかったのか、運営が片付けている40分の間教室に残って立ち話をしている参加者も数多く見られた。最後の参加者が教室を出た時には当初の終了時刻を約90分オーバーしていた。タイムキーピングの甘さや、ディスカッションの時間不足など、運営面では伸びしろしか見られないようなイベントだったが、まずは一歩目。この小さな火の種が今後何色に燃え盛っていくのか期待しながら、少しずつ空気を送り、薪をくべて行くことができればと思う。

【個人的感想・発見】
-「教育」というテーマに関して関心を持っている人は多い
このような短期間でこれだけの人数の方々に集まっていただけたのは、素直に望外だった。わざわざ留学という選択に多大な時間とお金を投資している人達がほとんどという意味では順当なのかもしれないが、多くの人に関心を持ってもらいやすいという点は教育という分野の大きな強みだと感じた。

-一方で、身近なテーマであるがゆえに、議論が事実に基づかずに空中戦になりやすい
呑みの席で「今の政治はここがダメだ」「最近の若者は~」という話で盛り上がるのはよくあることだ。教育もこのような席でやり玉にあがるテーマの一つではないだろうか。日本国内にいれば、誰しもが何かしらの形で教育を受けたことがあり、何かしらの感想を持っている。それ自体は素晴らしいことなのだが、自分の教育体験と現状の教育状況に乖離があることを忘れてしまうと議論の価値は一気に薄れてしまう。

-まずは事実を知ることが大事
「小学校から英語教育が始まる」「生徒が一人一台タブレットを持つようになる」ー新聞の紙面上で眺めるとインパクトが薄いかもしれないが、よくよく考えると教育現場は僕たちが学生の時から大きく変わっている。これらの事実を咀嚼することなく、自身の主観のみに基づいて議論を重ねてもそれは自己満足に過ぎない。自戒の意味も込めて、実のなるような議論が実現できるよう、今後知恵を絞っていきたい。

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【今後のスケジュール】
次回 Gakkatsu: 12/3(金)
次々回 Gakkatsu: 12/17(金)

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