ローライザー

ローライズのズボンは今でも履かれているのだろうか。昔から、ローライズに対してどう反応していいのか分からない。ズボンからはみ出したパンツが見えるときがあるのだが、これはどういうつもりなのだろう。どう反応するべきなのだろうか。素直にドキドキして良いのやら、見えていることをアピールしつつ爽やかにスルーするのが良いのやら、見て見ぬ振りをするのが良いのやら、どうすればいいのか分からない。Tバック的な物が見えてしまうと何が何やらさっぱりわからなくなる。
やはり、見えるのがパンツ的な微妙な物なのでこのような事態になってしまうのだと思う。できれば、どう反応すべきか分かりやすい物をローライズの中に仕込んで欲しい。

「ママー、あのお姉ちゃんのズボンからカブトムシが見えているよ」
「駄目よ、目を合わせちゃ」
ローライズの中に入れたカブトムシ。ちょろりと角が見え隠れ。ムシキングの名前をほしいままにするファッショナブルな女性。

「キャー、痴漢」
けたたましい女性の声と共にスポーンとローライズのズボンから飛び出す黒ヒゲ。ローライズの中に仕込まれた危機一髪。黒ヒゲが痴漢の顔を目掛けて飛んで行く。防犯効果も抜群。

「ねえ、お昼一緒に行かない」
同僚のOLからランチの誘い。しかし、残念ながら今日はお弁当を作ってきた。
「ごめん、今日はお弁当作って来たから」
とローライズの中から取り出す握り飯。二度と同僚から食事に誘ってもらえなくなった彼女だ。

ローライズのズボンからチラリと見えるブラジャー紐。ああっ、この人、間違えてブラジャーを穿いちゃってるよ。

千葉県には、大潮の夜にローライズを穿いた女性達が集まる海岸があるという。腰まで海に浸かって体を細かく震わせると、ローライズの中に詰まった沢山の小さな卵が海に向かって散って行く。ローライズの産卵だ。

個人的にはローライズのジーンズの中には、見果てぬ夢が詰まっていると思う。

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