腰相撲

相撲には「粘り腰」という言葉がある。立会いの相手の攻撃に持ちこたえる粘り強い腰のことだ。そんないい意味を持つ「粘り腰」という言葉だが、語感だけを考えると、ちょっとそれはどうだろうと印象がある。
触るとネバネバした糸を引く腰周り。触った手の匂いを嗅いでみるとほんのり納豆臭が漂う勢いがある。
しかし、相撲の腰は粘り腰だけではなく、他の腰があるからから油断できない。

・美し腰
艶かしいライン。恰幅の良い相撲取りに何故か腰にあるくびれ。いや、本当はくびれてないが、錯覚のくびれなのか、概念としてのくびれなのか、とにかくくびれ。時に激しく、クネクネとした動きに観客の目も釘付け。

・爽やか腰
汗をかいてもべとつかない。擦るとミントっぽい香りがする。汗をかきがちの力士達も安心のデオドラント効果。取り組み中、相手の力士が高原にいるような気がしてくるのは、決して気のせいではない。

・滑らか腰
ツルツル、シコシコと滑らかな喉越し。食欲が無くても、いくらでもするするとお腹に入っていく。夏バテにもバッチリ。力士達の夏バテ対策は滑らか腰。ごっつぁんです。相撲だけにシコシコ(四股四股)。うわっ、驚くほどつまらねえ。

どの腰も恐らく相撲では役に立たないだろう。しかし、廃業したときにどの腰が役に立つのは、粘り腰か、他の腰か。評価のポイントはそこだと思う。

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