見出し画像

「予防医学」をきっかけにして、昨日まで会ったこともなかった8人が、会社をつくってしまった話(2)

(前回からの続きです。)合同会社JC1の小林柚香里です。国際予防医学協会のアカデミック講座にダメもとで応募してから数週間後、「【ジャーナルクラブ】最終選考結果のご案内」というタイトルのメールが届いていました。

少し緊張しながら早速メールを開くと、結果は「合格」。半分驚き、半分嬉しさのちょっと複雑な心境でしたが、早速、入学手続きを済ませて、開校式の旅程の手配をしました。

その後、ジャーナル・クラブの一期生として入学審査に合格したのは、私含めて女性4名、男性4名、合計8名。同じ協会で学んでいたとはいえ、全員お互いに知らない同士。職業も住んでいるところも九州、関西、関東とバラバラでした。

開校式は2022年12月18日、新宿のパークハイアット・ホテルで夕方から行われました。当日は午後1時から5時ごろまで東海道新幹線の東京―大阪間が運休となり、九州や関西から向かっていたメンバーが開校式に間に合わず欠席。

私は幸い朝のうちに飛行機で東京入りしていたため、出席することができました。開校式ではプログラムの内容についてはまだ詳細の説明はなく、出席したメンバーと「これって、一体、何やるんだろうね?」と呑気に話していたのを覚えています。

論文に取り組むうちに、医学の面白さと奥深さを知った

2023年が明けて1月。事務局から「この中から研究したい論文を選んでください」と英語の論文のリストが送られてきました。Nature, The Lancet, English Journal of Medicine, Cellなど、どれも著名な医学/科学雑誌に掲載された研究論文でした。内容を精読する時間もなかったので、タイトルだけで選びました。

ジャーナルクラブの事前説明会でやっとプログラムの詳細が明かされました。「選んだ論文を題材として、一般参加者に向けた研究発表会を開催する。メディアにも声を掛けるかも知れない。君たちには学会と同じようにプレゼンテーションしてもらい、質疑応答にも対応してもらいます。」と聞かされました。仕事でプレゼンテーションは何度もやっているものの、もちろん医学論文は初めての経験。さすがに気が引き締まる思いでした。

プログラムが始まり、毎月一回、白澤先生が院長をされている「お茶の水健康長寿クリニック」の会議室で行われたレビュー会では、白澤先生が時間をかけて私たちの担当する論文の解説をしてくださいました。担当テーマに関連する参考論文をPubMed(医学分野の文献情報データベース)で検索して読む。わからない医学用語や概念が出てくれば、また調べる、の繰り返し。ゲノム解析の方法や、ヒトやマウスを使った実験結果の分析など、全く知らなかった世界の事を夢中で勉強しました。

ジャーナル・クラブでのレビュー会の準備は、それなりに時間もかかり、努力を伴うものでしたが、その代償として「ご褒美」が毎回付いてきたので頑張れたのかな、と今になって思います。

そのご褒美は、レビュー会が終わった後の白澤先生とのお食事会でした。先生が懇意にされているお店で、健康的な食事と美味しいワインをいただきながら、いつもあっという間に過ぎてしまう楽しい時間でした。初回の食事会の後、実は最終の新幹線で大阪に帰る予定だったのですが、この食事会は途中退席するには惜しいとわかった時点で、帰りの新幹線をキャンセル。ホテルを取った上で、心置きなく深夜まで楽しんだことを思い出します。

話題は医療や医学の世界の話だけでなく、先生が中学生の時に図書館の本を”A”から順番に読破した話、「日本のセザンヌ」と称されたお父様の白澤實画伯の絵の話、バッハと音楽の話など、時間を忘れて聞き入りました。ワインが進むにつれて、医療とは、信仰とは、という深〜い話にもなりました。
レビュー会とお食事会のために、毎月大阪―東京間を往復した数ヶ月間。その度に新しい知識と大いなる刺激を授かりました。

そして、いつしかプレゼンテーションも完成し、いよいよ研究発表会の前日、その夜、わたしに大きな転機が訪れることなど何も知らずに、
いつもの様に伊丹空港から羽田行きの飛行機に乗り込みました。

#予防医学
#ジャーナルクラブ
#創業
#健康マニア