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411 ユーザーが直感的に使えるWebサイトとは、ユーザーの予測を裏切らないWebサイト。(稲田)2023/10/10

クロスモーダル現象(感覚間相互作用)という名称を始めて聞きました。

クロスモーダルとは、視覚と触覚、聴覚と嗅覚、味覚と嗅覚など人間の感覚に五感が相互に作用し合う現象のこと。例えば、人間は風鈴の音色を聞いて清涼感を感じたり、実際の室温は変わらなくても、部屋の照明を青色系にすると涼しく、オレンジ系の暖色にすると温かくなったように感じたりする。感覚間相互作用とも呼ばれる。この現象に着目し、商品・新規事業開発や広告などマーケティング活動にクロスモーダルを取り入れる動きが広がっている。

https://www.nikkei.com/compass/theme/98944

言われてみれば当たり前だし、日常的に接していることだと思うのですが、あまり意識的に言語化していなかったなと思いました。

NHKの30分番組『サイエンスZERO』でもクロスモーダル現象を取り上げていて分かりやすい実験が面白かったです。

チョコレートの実験

  • ポジティブな曲を聴くと甘く感じる

  • ネガティブな曲を聴くと苦く感じる

視覚の実験

  • レモンの香りを嗅ぐと遅く感じる(動体視力が鋭敏になる?)

  • バニラの香りを嗅ぐと速く感じる

クロスモーダル現象が起きる理由として「脳の負荷を下げるために周囲の状況から "甘い/苦い" などの大まかな方向性を脳が予測するため」という仮説が立てられているそうです。立証されているかはぼくには分かりませんが、いかにもありそうな話だと思いました。ぼくたちの脳は基本的にさぼりたがるので。

周囲の状況から脳が大まかに「これはポジティブな内容そう/これはネガティブな内容そう」と予測を立てるのであれば、Webサイトなんてその集合体ですよね。デザインから情報のレイアウト、文章、見出し、小見出し、キャッチコピー、掲載する画像、ボタンの色や配置場所にいたるまでWebサイトはユーザーに予測してもらうことだらけです。

「ユーザーが直感的に使えるWebサイトであるべき」とはWeb制作者であれば誰もが受け入れる鉄則です。ぼくもそうでした。でも、直感的に使えるWebサイトについてそれ以上深く考えたことがありませんでした。

「ユーザーが直感的に使えるWebサイトとは、ユーザーの予測を裏切らないWebサイト」と言い換えられるかもしれません。そう考えるとサイト設計やページ設計、コンテンツ設計であるべき姿のヒントが見えてくる感じがします。Web制作者の皆さんには「何を今さら…」といったことかもしれませんが、ぼくにとっては大切なヒントになりそうです。嬉しい。

ささいな文章にも応用できる

製造業のクライアントにWebコンテンツ用にテキストを書いていただくと、接続詞として「ですが」を多用する傾向にあります。

「長野県は工業が県内総生産の約3分の1を占め、歴史的に製造業が盛んな地域ですが、南信地方である諏訪もそのひとつです」

こんな感じですね。よく見ます。逆説の接続詞である「ですが」を順説または添加・累加として使っている。「反することを言うんだな」と脳に予測を立てさせているのに内容的にはそうではないので混乱します。小さなことですが、文章ひとつにもユーザーの予測は発生します。メールやチャットでも分かりやすい/分かりにくいがありますよね。それも同じだと思います。ユーザーの予測を裏切らないという思考や姿勢はどんな業務にも応用ができそうです。

ちなみに前述の例文は下記のように改善できます。

「長野県の県内総生産は工業が約3分の1を占めます。歴史的に製造業が盛んな地域であり、南信地方である諏訪もそのひとつです」

  • 文章は意識的に短く

  • 不用意に「ですが」を使わない

これを守るだけでも読みやすい文章(予測を裏切らない文章)は書けるはずです。ぜひお試しください。

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